保護活動マニュアル

STEP4| 保護した犬の新しい家族募集、譲渡について

STEP4| 保護した猫の新しい家族募集、譲渡について

保護犬・保護猫の正式譲渡における注意点

この記事は 犬 猫 に当てはまる内容です

譲受希望者(家族として迎えたいという希望者)さんとの面談を終え、希望する保護犬や保護猫の譲渡が可能と判断したら、契約書を交わして正式な譲渡が成立します。

保護犬・保護猫のトライアルの仕方

正式譲渡になったら行うこと

トライアルを行わず面談後そのまま正式譲渡になる場合も、面談で聞いた家族構成や飼育環境に食い違いがないかなど、実際に犬猫を自宅にお届けして確認します。その理由としては、面談で好印象だったとしても実際に家にいくと物が散乱していて犬猫が暮らすには危険な環境だったり、室内は綺麗でも家の中と外を自由に行き来できる環境だったり、というケースもあるからです。残念なことに自宅訪問の結果、「譲渡できません」とお断りせざるをえないこともあります。

正式譲渡の際には、犬の場合は「狂犬病予防接種証明書」「ワクチン接種済証明書」、猫の場合は「ワクチン接種済証明書」「ウイルス検査結果」などの証明書を渡し、引き取る犬や猫を終生飼育することや、適正な飼育を行うことを約束する旨が書かれた譲渡契約書にサインをしてもらいます。そして、医療などにかかった費用として譲渡金を受け取ります。

譲渡契約書主な項目(一例)

  • ◇住所、氏名(譲渡元と譲渡先、双方が記入されているのが望ましい)
  • ◇譲渡動物の特定(年齢、性別、種類、特徴など)
  • ◇犬の場合/畜犬登録と狂犬病予防注射を行うこと
  • ◇不妊・去勢手術を行うこと(譲渡前に終わっていない場合)
  • ◇終生飼養すること
  • ◇適正な環境で飼養し、医療を受けさせること
  • ◇万が一、飼育困難になったときは連絡をすること
  • ◇法令違反や飼養に問題があり返還を求められた場合は、返還すること

記入済みの契約書を2部用意し、1部を譲渡元、1部を譲渡先(保護犬・保護猫の新しい家族)が保管します。

なお行政施設から引き出した保護犬・保護猫の譲渡が決定した場合には、団体から行政に対して報告書の提出が必要となります。

※弁護士監修の「正式譲渡契約書」を以下よりダウンロードすることができます。

 

譲渡後のアフターケア

正式に譲渡したからといって、それで終わりではありません。

新しい家族になった方には、定期的に迎えた犬や猫の健康状態や飼育状況について報告をしてもらいましょう。保護団体によってお願いしている期間や回数は異なりますが、最初の半年間は月に1回、その後は年に1回程度としているところが多いようです。どれくらいの頻度で、どれくらいの期間、報告してもらうか事前に決めておきましょう。

また、会報誌を送ったり、同窓会を開催したりして、新しい家族とのコミュニケーションを継続している団体もあります。

 

定期報告の目的とは

犬や猫が適正に飼育されているかを確認するほかに、飼育に関しての悩みや疑問に答える意味もあります。

「犬がなかなか家族になじんでくれない」「トイレのしつけがうまくできない」「先住猫との縄張り争いが絶えない」など、実際に一緒に暮らしてみて感じる戸惑いも多いものです。そうした新しい家族の不安や疑問をそのままにしておけば、せっかくお迎えした犬や猫との関係が悪くなったり、飼育放棄につながったりするかもしれません。日頃から気軽に相談できる窓口として信頼関係を保っておくことがとても大事です。

 

※弁護士監修の「正式譲渡契約書」は、保護団体および保護活動をされている方の判断と責任において、ダウンロードし利用できます。なお、公益社団法人アニマル・ドネーションは利用について責任を負いません。

保護犬・保護猫の正式譲渡についてのアドバイス

要らなくなったモノを他人にあげる場合と違って、命や感情がある犬猫を譲渡する場合、保護主の多くは、保護動物が新しい家族のもとで最期まで幸せに暮らすことを願うでしょう。譲り受けた犬猫をどのように扱ってもよいわけではないことや、保護主との関係が終わるわけではないことを理解していただくために、譲渡契約書は必要です。

契約書は、新しい家族と団体との間でトラブルになったときに効果を発揮する保険のようなものですが、契約書に書いてあるからといって、関係性がこじれた新しい家族を思い通りに動かすことは容易ではありません。契約書という保険を備えつつも、良好な関係づくりが重要であり、保護主側の人間力が問われているともいえます。
(春名・田中・細川法律事務所 シニアパートナー弁護士 細川敦史さん)

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