保護活動マニュアル

STEP4| 保護した犬の新しい家族募集、譲渡について

STEP4| 保護した猫の新しい家族募集、譲渡について

保護犬・保護猫のトライアルの仕方

この記事は 犬 猫 に当てはまる内容です

初めて犬や猫を飼う、すでに飼育している先住ペットがいる、など面談時に気がかりな要素があった時は正式譲渡を前提とした「トライアル」を行います。

保護犬・保護猫の正式譲渡における注意点

トライアル期間は1週間〜1ヵ月程度

犬や猫と新しい家族の相性を確かめるものですが、気軽にトライアルをして気軽に戻されては、犬や猫にとって大きなストレスとなります。「先住犬や先住猫と喧嘩が絶えない」「家族にアレルギーが発症した」など、予測できなかったことが起こらない限り、トライアルからそのまま正式な譲渡となることを譲受希望者(家族として迎えたいという希望者)さんに理解してもらいましょう。

動物にとっても人間にとっても、お互いが慣れるには少し時間がかかるものです。トライアル期間は、短くて1週間、長いところでは約1ヵ月程度を目安にしています。

なお団体によっては子犬や子猫は行わないケースもあるため、トライアル期間を設けるかどうかは事前に決めておきましょう。

 

トライアル開始時に用意してもらうもの

トライアル期間が始まる前までに、新しい家族の方には以下のもの(一例)を用意してもらいます。

  • ◇ケージ (トライアルする犬や猫の大きさに合ったもの)
  • ◇トイレ
  • ◇餌入れ、水入れ
  • ◇ペット用ベッド
  • ◇犬の場合/首輪またはハーネス、リード
  • ◇犬の場合/散歩用アイテム(ウンチ袋、ティッシュ、尿を流す用の水入れなど)
  • ◇猫の場合/爪研ぎ

 

トライアル開始時に行うこと

トライアルを始める時は、面談で聞いた家族構成や飼育環境に食い違いがないかなど、実際に犬猫を自宅にお届けして確認します。その理由としては、面談で好印象だったとしても実際に家にいくと物が散乱していて犬猫が暮らすには危険な環境だったり、室内は綺麗でも家の中と外を自由に行き来できる環境だったり、というケースもあるからです。残念なことに、自宅訪問の結果、トライアルをお断りせざるをえないこともあります。

またトライアル期間中のトラブルとして多いのが、脱走です。特に人馴れしていない元野犬や猫の場合、環境が変わったことでストレスを感じやすくなっており、玄関の開け閉めやちょっとした窓の開閉時に逃げ出してしまうこともあります。脱走防止対策を徹底してもらえるよう再度、お伝えしましょう。

最後に、トライアルを行うときも正式譲渡のように書類を交わします。トライアル契約書に記入してもらい、身分証のコピーと「譲渡金」(保護犬や保護猫にかかった医療費など)を受け取ります。

トライアルはあくまで成功すること(正式譲渡)が前提なので、開始時に譲渡金を受け取り、万が一返還になった場合にのみ返却するのが一般的です。事前に新しい家族の了解を得て、一部を交通費などの費用として受け取り、残りを返却しているケースもあるため、事前にどうするか決めておく必要があります。

※弁護士監修の「トライアル契約書」を以下よりダウンロードすることができます。

 

トライアル期間中に確認してもらうこと

これから先ずっと一緒に暮らしていけるのかを判断してもらう期間なので、以下のような視点を持つことを新しい家族になる方に理解してもらいましょう。

  • ◇犬の場合/家族との相性はどうか
  • ◇先住犬や先住猫との相性はどうか
  • ◇犬や猫に問題行動はないか
  • ◇犬や猫の健康状態はどうか
  • ◇家族にアレルギーが出るなど、予測していなかった事態はないか

 

トライアル期間終了後に行うこと

予定していたトライアル期間が終わった時点で、譲受希望者の意志を改めて確認し、正式譲渡となります。

ただし、「先住犬・猫との相性が悪く、お互いに体調不良になってしまった」などの場合は、無理に譲渡を進めずに返還してもらいましょう。

家族全員の意志が固まり、犬や猫との相性や健康状態に問題がなければ、犬の場合は「狂犬病予防接種証明書」「ワクチン接種済証明書」、猫の場合は「ワクチン接種済証明書」「ウイルス検査結果」などの証明書を渡し、「譲渡契約書」に記入してもらい譲渡成立となります。

 

※弁護士監修の「トライアル契約書」は、保護団体および保護活動をされている方の判断と責任において、ダウンロードし利用できます。なお、公益社団法人アニマル・ドネーションは利用について責任を負いません。

保護犬・保護猫のトライアルについてのアドバイス

トライアル期間は、新しい家族と保護犬・保護猫の双方が暮らしに慣れる期間ですが、保護されるまでに暮らしていた環境や人間との関係性によっては、なかなか心を開いてくれない犬や猫がいるかもしれません。初めてペットと暮らすご家庭などでは、飼育の仕方で戸惑うこともあるでしょう。不安を抱えたままの希望者さんに譲渡を決めると、のちに「やっぱり飼えないかも…」などの不幸な事態を引き起こしかねません。

保護団体さんは、お迎えした家族と定期的に連絡を取り、悩んだり不安を感じたりしたらいつでも相談できるような関係性を、作れるといいですよね。また、状況に応じてトライアル期間を延長するなど柔軟に対応することも大事だと思います。
(動物行動学専門医 入交眞巳さん)

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