寄付したお金の使い途レポート

【ツキネコ北海道】(余市)多頭飼育崩壊による基金の使い途について

アニマル・ドネーションでは、皆さまからお預かりした緊急支援基金を10頭以上の多頭飼育崩壊レスキューに入り5頭以上引き取られた団体様へお届けしています。

2021年3月に、多頭飼育崩壊レスキューを行った保護団体『猫と人を繋ぐツキネコ北海道』さんに、緊急支援基金として2件分の260,000円をお届けしました。

今回は、1件目のレスキューの詳細と基金の使い道について、代表の吉井さんにお話をうかがいました。

 

孤独死した高齢者宅で多頭飼育崩壊

北海道札幌を拠点に猫の保護活動を行っている『猫と人を繋ぐツキネコ北海道』さんは、2021年2月に北海道余市町で多頭飼育崩壊のレスキューを実施しました。

 

ー多頭飼育崩壊のレスキュー依頼はどこからありましたか?

「今回は、後志総合振興局という行政機関からの依頼でした。『孤独死された高齢者の方の家に20匹以上の猫が残っているので協働でレスキューしたい』という連絡があったのです。そこで、役場の方と待ち合わせをして視察に向かいました」

 

ーどのような状況でしたか?

「故人宅には誰も住んでおらず、家の中に何匹の猫がいるのか誰にもわからない状態でした。遺族の方が置き餌をして猫たちの命をつないでくれていましたが、餌の奪い合いや共食いが起きていた形跡がありました。何より心が重くなったのは、白骨化した死骸が2匹ほど目に入ったことです。

 

 

電気、ガス、水道も止まっていて廃墟のようになっているお家は、外にいるのと同じくらいの寒さでした。猫たちも過酷な生活を強いられていたことが見て取れ、当団体も早急なレスキューが必要だと思いました。猫が繁殖してこれ以上増える前に、一日でも早くこの家から全頭出救出したいという遺族の方の強い気持ちもありました。

 

 

しかし、当団体のある札幌から相談現場の余市までは60キロの距離があるので、冬の時期は容易に行くことができません。そのため、行政の方に捕獲器での捕獲をお願いしました。現地に生きていた猫の総数は25匹でした。当団体のほかにも2ヵ所の保健所に18匹の猫たちが保護され、すでに15匹が譲渡されています」

 

ー今回の寄付の用途を教えてください。

「血液検査、ワクチン代(2回)、耳垢検査、駆虫薬に使わせていただきました」

 

 

ーその後の猫たちはどのように過ごしていますか。

少し臆病な“シナノ”と“ジョナゴールド”の2匹は、当団体で運営している猫カフェ・ツキネコカフェでケージ管理しながら、猫風邪のケアと人慣れ修行をしているところです。スタッフやボランティアさん、お客様と遊んでもらっているうちに、安心した顔つきに変わってきました。

 

現在のシナノくん&ジョナゴールドくん

 

また、栄養不良で腸内環境が悪く痩せていた“星の金か”は、現在は一時預かりボランティアさんのもとで食事療法をお願いしています。劣悪な環境にいたにも関わらず、甘えん坊で優しい子です」

 

現在の星の金かちゃん

適正飼育の啓蒙を続けていきたい

ー最後に、支援者の皆さまにメッセージをお願いいたします。

「孤独死の背景で一緒に道連れになってしまうのが犬や猫のペットたちです。

当団体は高齢の方に猫を預かってもらう『永年預かり』というシステムを設けており、高齢の方がペットと暮らし、癒しや生き甲斐のために一緒に生活するサポートをしております。高齢の方がペットを飼うことを否定はしませんが、自分の年齢にあった頭数や飼い方、そして周りのサポートが大事だと思っています。独居老人の問題、多頭飼育崩壊とゴミ屋敷問題、適正飼育の指導については、徹底が急がれます。どんなに愛情があっても、結果的に猫たちが不幸になってしまう飼い方をなくすために、今後も多くの人に向けて適正飼育の啓蒙をしていくことが大事だとあらためて思いました」

 

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