海外情報レポート

「犬は犬らしく」。バリから見た、人間と動物の理想的な共生とは<海外情報レポート・バリ編③>

過去2回にわたってお伝えしてきたバリ島の動物福祉事情。

宗教や文化の違いによって、「犬」に対する意識がまるで異なっており、かなりショッキングな話題も多かったのではないでしょうか?

ラストになる今回のレポートでは、バリに長年住むすとうさんから見た日本のペット事情、そして日本に取り入れたいマインドなどをお伝えします。

Profile

すとう えり

🐾経歴🐾

ペットアロマウェルビーイング協会(Pet Aroma Well-being Association 略称:PAW)代表

仙台で「アロマアトリエ ファイブエレメンツ」を開業し、専門学校アニマルインターカレッジ(仙台)、中央動物専門学校(東京)などの教育機関にて“動物のためのアロマセラピー”の講師を務める。また、日本アロマコーディネータースクール「ペットアロマ講座」、全日本動物専門教育協会「ホリスティックアニマルアロマセラピー」の通信・通学講座開設にも携わる。

現在はバリ島を拠点にアロマアトリエ「Five elements Aroma Bali」を主宰し、インドネシアの天然原料を用いたハンドメイドソープやハーブウォーターなど、素材や工程にこだわったオリジナルアロマ商品のプロデュースに取り組み、バリ島と日本を繋いでいる。

(過去のすとうさんへの取材記事はこちら

 

 

 

ペットとも心地良い距離感やバランスを

ー日本のペット事情をどのように見ていますか? 

 

「バリ島よりもはるかに動物福祉の心が育まれていて、清潔に、大切にされている犬・猫がとても多い印象ですが、その反面で物質的で、過保護に感じる時もあります。

動物を愛する人が増えることはもちろん良いことだと思いますが、“ペットブーム”という風潮にはやはり違和感があります。日本のペットショップに行った時、良質で高価なおやつの数々や高級な服には正直ちょっと驚きます。私にとっても犬・猫は大切な家族ですが、犬という生き物を理解した上で、擬人化傾向にならないようにペットの気持ちをくみ取り、心を通わせたいものです。あまり依存が強くなると、お互いに負担がかかってしまうと思うので、ペットとの関係も心地良い距離感やバランスは大切だと思います」

 

ーご自身がペットを飼うときにはどのようなことを心がけていますか?

 

「ペットを飼育する責任として私は不妊・去勢手術を選択しましたが、たとえ性ホルモン分泌がされなくなったとしても、犬たちは動物の本能で様々なことを感じているようです。なので、彼らの体の中で起きている変化やリズムは出来るだけ把握して心身のサポートをしてあげたいと考えています。


愛することは甘やかすことや過保護にすることとは違います
。生殖・生体リズム、大きく言うと人もペットも地球リズムに同調して生きていけるように意識を向けていけたら良いですね」

 

すとうさんの愛犬たち


 

ー日本にも取り入れた方がいいと感じるバリのマインドがあれば教えてください。 

 

「バリ島では日本よりも犬や猫、人もそうですが(笑)、もっと『自由』に生きていると思います。日本の環境では放し飼いで動物を飼育するのはもちろん難しいですが、『犬は犬らしく』、『猫は猫らしく』というような、生き物の本来の生態、習性、本能をきちんと理解した上で、人間の暮らしに調和したペットの生き方をサポートしてあげながら共存できたら良いと思います」

 

ペットは飼い主を映す鏡のような存在。まずは自分を大切に

小川で暑さ対策をするバリ犬


 

ー動物と人間の共生について、どのような姿が理想だと思いますか?  

 

人は動物とコミュニケーションを取る時には言葉以上の感覚で相手を理解し、心を通わせます。これはとてもシンプルな方法ですが、実は洞察力や直感力を使っていて、人に本来備わっている生きる感覚が磨かれます。そういう感覚を高めて生きていけると、人は良き選択ができ、人生をさらに充実させることができるようになります。

 

バリに住んでいると、多様な文化、価値観の中で、違いを尊重することは難しいこともあります。でも、相手にリスペクトの心を持ってはじめて良好な関係のスタートラインに立つことができるのだと思っています。これは動物との関係も一緒だと考えています」

 

ー大切なペットと向き合う中で、私たちが日々心掛けた方が良いことはありますか?

 

「ペットのベースは飼い主にあり、飼い主であるあなたの生活リズム、体調、心理状態、考え方や物事の理解力、家族関係など、個々の深い部分が彼らの心身の健康に大きな影響を与えています。ペットはあなたを映す鏡のような存在とも言えます。自分を大切にすることが出来て、はじめてペットを含めた他者を思いやることができるのです。

 

飼い主さんが良くなれば、ペットとして一緒に暮らす動物たちもさらに良い環境で生きていきていくことができます。穏やかで安心できる空気に包まれながら、愛と調和の中で仲良く生きていくことが理想だと思います。

 

地球に生かさせてもらっている感謝の気持ちをもっと大切にしていきたいですね」

 

海辺で愛犬と戯れるすとうさん


 

ー最後に、すとうさんからメッセージをお願いします。

 

「バリ島での体験談は驚くこともあったかもしれません。今回のお話が、自分の当たり前の枠を越えた所での現実を「知る機会」となり、今のあなたの生き方、人と動物との関係、地球環境など様々な面において価値観を広げる助けになれば幸いです」

 

 

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海外情報レポート・バリ編は、愛犬を溺愛するあまりペットセラピストの資格を取得した、アニドネライターの安心院(あじみ)が執筆を担当させていただきました。

 

今回すとうさんのお話を伺い、文化や宗教の違いによってこんなにも動物と人間の向き合い方が変わってくるのだと衝撃を覚えました。

 

日本でも「ペットブーム」に象徴されるように、犬や猫などの愛玩動物を「商品」として扱うことが、様々な根深い問題を生み出しています。

バリの豊かな自然が生み出した「人間も動物もありのままに生きるマインド」は、日本で暮らす私たちも見習うべきなのかもしれません。

 

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