緊急支援〜後を絶たない猫の多頭飼育崩壊 北海道苫小牧の現場から
アニマル・ドネーションでは、皆様からお預かりした緊急支援基金を、10頭以上の多頭飼育崩壊レスキューに入り、5頭以上引き取られた団体様へお届けしています。
今回は、北海道を中心に活動する保護団体『特定非営利活動法人猫と人を繋ぐツキネコ北海道』さんへ、8月30日に290,000円をお届けしました。 レスキューの詳細と基金の使い途について、代表の吉井さんにお話をうかがいました。
ー多頭飼育崩壊のレスキュー依頼はどこからありましたか
「生活保護受給者である飼い主(85歳)が倒れ入院したことで多頭飼育崩壊が発覚。飼い主の健康状態が芳しくなく、今後入退院を繰り返す可能性があることで苫小牧市環境衛生部環境生活課からツキネコ北海道へ相談がきました。猫が増えた原因としては、窓を開けていいたら猫が入ってきてそのまま住み着き増えてしまったとのことでした」
ーレスキューの経緯について教えてください
「当初、北海道の動物関連の対応課に相談しましたが、現時点で対応は難しいと断られてしまいました。その後、残念なことに現地確認や捕獲時も北海道の職員が現場に来ること、その後を伺うような連絡は一切ありませんでした。
依頼があった時点では、飼い主は認知能力が要介護に至っていないため、即施設への入居は難しく、自宅でサポートを受けながら生活することとなりました(その後施設へ入所されました)。7月初め、現場の状況を確認するためにツキネコ北海道が現地へ向かいました」
ー現場の状況はいかがでしたか
「現地ではまず、苫小牧市役所の環境生活課、支援課の職員と打ち合わせを行いました。アパート(居間、洋室2部屋)の玄関は開かず、窓から入室。居間は糞尿、家具、ゴミで荒れ果てており、一部の床は見えていましたが大量のハエがわいており不衛生な環境でした。
飼い主の精神状態もあまり良くなく、突然職員さんに声を荒げたりすることから、認知の症状も見て取れました。この日、奥の洋室に入れさせてもらえず、飼い主曰く猫の数は10匹程度と言っていましたが、正確な猫の頭数の確認はできませんでした。(事前に現場確認をしている市役所職員も奥の部屋は確認できていないとのこと)猫たちはすり寄って来る子もおり、扱い自体は難しくなさそうな印象でした」
「7月16日にレスキュー開始。捕獲、手術検査の為に市役所各担当課(環境生活課、支援課、包括担当者)と共に現場へ。予想最高気温が30℃の暑さの中、糞尿や蝿や蜘蛛、ゴミだらけの狭い部屋で捕獲作業がスタートしました。
飼い主には自宅外で待機してもらい、前回確認ができなかった奥の部屋を開けると糞尿部屋となっており、とても人間が生活できる環境ではありませんでした。そして、この部屋にはすでに部屋の片隅で亡くなっている猫もいました。
目視で14~15匹いたが猫たちがあっという間に視界から消えてしまい驚いていると、壁に大きな穴が空いており猫が次々と吸い込まれていきました。この日に捕獲できなければ今後のレスキューも難しくなるので、アパートのオーナーさんに確認を取り壁を破壊。するとこの穴はアパートの天井裏や浴室下、壁裏につながっており迷路のようでとても追える状況ではありませんでした。結果、猫の正確な頭数確認や直接捕獲ができない状態となってしまいました。
急遽苫小牧市役所が所持している捕獲器を借りることができ室内に8台設置。
順次捕獲できた猫からキャリーバッグへ移し替え、市役所職員さんが動物病院へ搬送し健康診断、不妊去勢の手術、ワクチン接種などの医療行為を行いました。
初日の捕獲は17匹。その後は捕獲機を仕掛け、苫小牧市役所職員さんが捕獲し都度、病院へ。そしてツキネコへ入居を繰り返し、6日に分けて7月31日までに29匹がツキネコ北海道に入居しました」
ー今回の寄付は何にお使いになりましたか。
「血液検査・ウイルス検査・ワクチン代(2回)・耳垢検査・便検査・駆虫薬など、医療費に使わせて頂きました」
ー現在の猫たちの様子はいかがでしょうか?
「29匹をレスキューしましたが11月29日現在、
ー支援者様へのメッセージをお願いいたします。
「後を絶たない猫の多頭飼育崩壊案件は、今の時代背景を象徴していると感じずにはいられません。家族関係が希薄となり、孤立化していく人々。近隣住人との関わりが少なくなりコミニケーションがなくなっていく世の中で、取り残されていき声を出すこともできずにいる人々。そこに動物が介在することで、小さな命たちも翻弄されていくのです。
いつまで知らないふりをするのでしょう。私たちは声をあげていきましょう。人間と動物が本当の意味で共生できるその日が来るまで。これからもみなさまからの応援、よろしくお願いいたします」
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