多頭飼育崩壊の現場〜難しさを乗り越えるために〜
アニマル・ドネーションではみなさまからお預かりした緊急支援基金を、多頭飼育崩壊のレスキューに入られた団体様へお届けしています。
長野県で保護活動をされている『一匹でも犬・ねこを救う会』さんでは今年の7月に多頭飼育崩壊に直面したため、2024年9月に支援金として350,000円をお届けしました。
今回は『一匹でも』さんに、当時の様子などに関してお話をお伺いしました。
タイミングがよく、奇跡的に子猫10匹保護
ー多頭飼育現場の全頭数、貴団体でレスキューした頭数を教えてください。
「全部で35頭(内、猫35頭)で、全頭団体でレスキューしました」
ー今回のレスキュー依頼はどこからありましたか?
「飼い主の親族からです」
ー今回のレスキューの背景、具体的な現場の状況などを教えてください。
「4年前に知り合いから貰った1匹の雌ねこを不妊手術せずに飼育しその猫が成長し発情。さらに野外へ脱走し妊娠・出産してしまい、そこから増えたようです。
本来ならもう少し頭数もいたはずですが、共食いや衰弱死などによりこの頭数でした。ライフラインは全てとまっており、夏も冬も完全締め切りな劣悪な宅内で猫たちは過ごしていました」
ーレスキュー当時、猫たちはどのような様子でしたか?
「レスキュー当時、人懐こい猫もいましたが、触れない猫も多数おりました。全頭が痩せておりましたが、幸いにも保護時、状態が重篤な猫はいませんでした。近親交配による疾患は何かしらあるかなと見ています。今回レスキューに入ったタイミングが良かったのか、奇跡的に子猫10匹保護ができました」
ー飼っていた飼い主はどのような方でしたか?
「飼い主は母子家庭状態で、未成年の子供3人をみながらなんとか生活をしておりました。
慎重に対応していた為、全頭保護(所有権放棄)するまでに時間を要してしまっていました。相談が来てから3年経過していました。飼い主との連絡が取れなかったり、生活面のサポートの提案も拒まれたり難儀しました」
ー今回の緊急支援基金は主に何に使われる予定ですか?
「不妊・去勢手術、寄生虫駆除、ワクチン、エイズ白血病血液検査などに使います」
同じ命として、できる限り、助けていきたい
ー今回はありがとうございました。最後に、支援者様へのメッセージをお願いいたします。
「全国的に報道される事が多くなった多頭飼育崩壊ですが、多機関連携していても、保護場所の問題・金銭面での問題は、これと言って解決策が確立されていません。また、当事者(飼い主)も特性があったり、スムーズに進む案件はごくわずかです。
飼いたい=飼えるではないこと、こうなる背景には幾重にも問題がからみあっていることをもっと知っていただきたいです。日本のこの先、高齢化社会・少子化に向け今後益々、多頭飼育や飼育放棄は増え続けるでしょう。市町村行政や、福祉部局との更なる連携強化・情報共有し崩壊する前に予防策もこうじていかなくてはと思い、現在も動いています。
全国で同じようにこのような案件に対応している行政や愛護団体をどう支えていくか、悩ましい限りですが、同じ命として、当会は見捨てることなく、できる限り、助けていきたいと思っています」
35頭という数ながら全頭を救出することが出来た『一匹でも』さんですが、当団体の見捨てないという強い信念ゆえに達成できたことだと思われます。
アニマル・ドネーションは引き続き『一匹でも』さんをサポートしていきたいと思いますので、これからもあたたかいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
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