寄付したお金の使い途レポート

【特定非営利活動法人アニマルレフュージ関西】緊急支援基金の使い途について

アニマル・ドネーションでは、皆様からお預かりした緊急支援基金を10頭以上の多頭飼育崩壊レスキューに入り5頭以上引き取られた団体様へお届けしています。

2023年2月に多頭飼育崩壊レスキューを行なった保護団体特定非営利活動法人アニマルレフュージ関西(通称アーク)』さんに 緊急支援基金として86,000円をお届けしました。

今回は、レスキューの詳細と基金の使い途について、担当の秋山さんにお話をうかがいました。

『命』が最優先の緊急レスキュー

ー多頭飼育崩壊のレスキュー依頼はどこからありましたか?
 
「飼い主と離れて暮らす親族から、群馬県を拠点に活動されている保護団体さんへ相談が寄せられました。連絡を受けた保護団体さんがすぐさま高崎で一人暮らしをしている飼い主の家を訪問して、多頭飼育崩壊が発覚したのが2022年9月初旬でした」

 

ー現場の状況を教えてください。

お部屋は糞尿にまみれ、原型を留めないキャットタワーの残骸が散乱していたり、息絶えた子の亡骸があったりしたそうです。猫170匹以上はいたそうですが、多頭飼育崩壊にありがちの『何匹いるかハッキリは分からない』状態でした。そして最初の訪問から数日後には飼い主が入院してしまい、”待ったなし”の命のレスキューが始まりました」

「とにかく”餓死させない”ために、毎日フードと水を届けながら、糞尿が堆積したお部屋も清掃せざるを得ません。この状況に、最初に相談を受けた保護団体さんを中心として、個人や団体で活動するボランティアが協力して取り組まれたと聞いています」

「そんな大変な作業のなかでも『昨日までふっくらしたお腹の猫がぺたんこになっている。けれど子猫は見当たらない』状況が発生します。『出産しても生きられない命』を生ませないために、”不妊手術”もまた急務です。早急に引き出しができた26匹を除く、全頭の不妊手術が実施されました。その作業が如何に大変であったかは、想像に難くありません

幸せな猫生を目指す里親探し

「残る猫は約150匹ですが、ボランティアで行っている保護団体で一斉に引き出すことは到底不可能な数です。現場でそのまま飼養しながら里親を探すことになりました。レスキュー活動の中心となっていた保護団体さんから、私達東京アークへ連絡があったのは、その様な状況の時でした」

「私達が現場に訪問した2023年2月には、染み付いたアンモニア臭は残るものの、当初の現場が想像できないほど、陽の光が入り明るく広々とした清潔な室内でした。レスキューに入られたボランティアさん達が清掃や改修をして下さったおかげです」

「まずは、私達で預かることが出来る10匹を引き受けました。里親が見つかり次第、順次引き出し予定でしたが、180頭もの猫が一緒に暮らすという特異な環境で育ってきたため、人に慣れておらず譲渡はなかなか進みません。2023年7月現在、3匹に里親が見つかり幸せな猫生のスタートを切ることができました」

複雑に原因が絡み合う多頭飼育崩壊とそこにある大切な『命』

始まりは『家族がもらってきた2匹』でした。数年間は不妊手術も行い、一般的な『猫との生活』を送っていた飼い主ですが、同居家族が病気を患い猫の管理が少し疎かになった、僅か半年で”どっと数が増えた”そうです。その後、同居家族が亡くなり一人暮らしとなった飼い主は、資金面もさることながら、80匹に迫る猫のお世話も追いつかなくなりました。けれど『100匹になった時は嬉しかった』と語る飼い主にとって、共に暮らす猫達は、”社会からの孤立”を忘れさせてくれる存在だったのではないでしょうか。

今回150匹にも及ぶ不妊手術の費用について、行政の支援は受けることができませんでした。曰く『殺処分になる猫に手術をして、どうなるんですか?』『全頭の責任をもつという念書を提出されるなら支援します』とのことで、結局、不妊手術の費用は全額ご支援者様の寄付で実施されたそうです。

長年教師をしていたという飼い主は、名前、誕生日、瞳の色、尻尾の形などを記載した171匹の猫のリストを作っていました。『個性のある猫たちが生まれるのが楽しみだった』と語る一方で、不衛生な環境のまま生活していた状況はまさに”セルフネグレクト”です。多頭飼育崩壊は、単純に飼い主が『ずぼら』だから起こるのではなく、”孤立”や”高齢化”による人間社会の歪が根底にあります。現在、飼い主は退院して自宅に戻っていますが、体力的にも資金的にも、猫150匹のお世話をひとりで行うことはできません。日々のお世話は、群馬を拠点に活動されている保護団体さんが継続してサポートされています。

ー今回の寄付を何にお使いになりましたか。

 

「主に医療費やフード代に使用させていただきました。
まず引き取り後に一般的な血液検査などの健康チェック・ワクチン接種とマイクロチップの挿入処置を行いました。(※不妊手術は引き受け前に実施済み)加えて、長年不衛生で劣悪な環境で生きてきたためか、ほとんどの子に脱水や血糖値の異常数値、皮膚の痒み、風邪症状などがあり、定期的な通院も必要でした。食物アレルギーを疑う子、血糖値を抑える必要がある子もいるため療法食や決まったフードも購入しています」

 

ー最後に、ご寄付くださる方へメッセージをお願い致します。

 

「いつもアークの活動をサポート下さり、誠にありがとうございます。
保護して半年、やっと一般家庭での生活にも慣れ、それぞれの個性が出てきました。残り7匹にも、1日も早く新しい家族を見つけられる様に日々お世話をしてまいりますので、引き続き応援のほどよろしくお願いいたします。皆様の温かいご支援に心より感謝申し上げます」

猫も人間と同じ大切な命です。処分ではなく救済しようと頑張る東京アークさんに、皆様の温かいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

 

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