寄付したお金の使い途レポート

【ツキネコ北海道】多頭飼育崩壊による緊急支援基金の使い途について

アニマル・ドネーションではみなさまからお預かりした緊急支援基金を、10頭以上の多頭飼育崩壊レスキューに入り5頭以上引き取られた団体様へお届けしています。
保護団体の『猫と人を繋ぐツキネコ北海道』さんに、2021年8月に220,000円をお届けしました。
代表の吉井さんに寄付金の使い途についてお聞きしました。

北海道函館で22頭の猫を保護

ー多頭飼育崩壊のレスキュー依頼はどこからありましたか?

「飼い主さんご本人からご連絡がありました」

 

ー現場にいた頭数などを教えてください。

「全部で22頭で、すべて当団体で保護しました」

 

ー現場の状況を教えてください。

「相談者は函館に住む50代のシングルマザーで、未成年のお子さんが2人おり生活保護を受給している方でした。
行政にも連動してもらうために、事前に渡島振興局に連絡をしましたが、残念ながらたらい回しになってしまいました。妊娠後期と思われる猫もいたため猶予がなく、行政との連動は諦めました。

自宅は賃貸の一軒家でしたが、玄関のサンルーフからすでにガラスが破れており、生活は困窮を極めている様に思いました。いきなり吠えてきたのはトイプードルで、犬も飼っているのは事前に聞いてなかったので驚きました。
相談者とは比較的穏やかに今後のことについてお話しすることはできました。しかし、体調が悪そうで週に何度かヘルパーさんが入り部屋のお掃除をしてもらっているそうです。

ですが、部屋の中は朽ち果てていて、親子が衛生的に生活ができているとは思えず、犬猫は適正に飼育されている状況ではありませんでした。2階にも猫がいるとのことで子供部屋に入らせてもらいましたが、子供達の生活状況を考えるとやるせない気持ちになりました。

生後2ヵ月ほどの3匹兄妹猫がいて、1匹が骨折していましたが、病院には行っていたことから猫達に愛情があるのは見て取れました。
相談者は猫数匹を残してほしいようでしたが、悩んだ末に全頭引き出しを決めました。札幌、函館間は往復500キロとかなり距離があるため、何かあっても簡単に行かれる場所ではありません。この家族に新しい生活の一歩を踏み出してもらうには、猫がいることは足枷になるのではと思い、私たちも全頭手放すことをすすめました。比較的人慣れしている猫が多かったものの、捕獲されたことがないため思った以上に捕獲に時間がかかりました。

 

 

その後、トンボ帰りで江別の飼い主のいない猫の不妊手術専門医【Mobile Vet Office】に向かいました。不妊・去勢をしていない猫は5匹で、他の成猫7匹は飼い主が手術済み。子猫達はみんな猫風邪に感染しており、すぐに治療を開始しました」

 

緊急支援金でメディカルチェックを実施

ー今回の寄付を何にお使いになりましたか。

「みなさまからの緊急支援金は、血液検査・ワクチン代(2回)・耳垢検査・駆虫薬に使わせていただきました」

 

ー支援者様へのメッセージをお願いいたします。

「相談者は猫それぞれに名前を付けて可愛がっていましたが、自分たちの生活がままならない中での多頭飼いには反対です。

猫が大好きで一緒に暮らしたい気持ちもわかりますが、猫には猫らしい生活、人間には人間らしい生活があります。どちらが破綻していてもダメなのです。適正飼育の啓蒙活動がもっと必要だと痛感しました。

そして今回は残念なことに、行政との連動ができませんでした。私たちはかねてから『猫の問題があるところには必ず社会の問題がある』と言っております。保護団体が多頭飼育崩壊を1つ解決するには、金銭的にも労力的にもとても大変です。どこの地区へ行っても行政と連動ができるように、こちらもアプローチを欠かさずに行いたいと思います」

 

 

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