寄付したお金の使い途レポート

【特定非営利活動法人アルマ】 緊急支援基金の使い途について

アニマル・ドネーションではみなさまからお預かりした緊急支援基金を、10頭以上の多頭飼育崩壊レスキューに入り5頭以上引き取られた団体様へお届けしています。

今回は保護団体の『特定非営利活動法人アルマ』さんへ2023年2月に350,000円をお届けしました。

レスキューの詳細と基金の使い途について、代表の竹本さんにお話をうかがいました。

 

一般家庭における多頭飼育の崩壊で犠牲になった犬たち

ー多頭飼育レスキューの依頼はどこからありましたか?

「越谷市内における小型犬(マルチーズ)の多頭飼育家庭の飼い主から行政に放棄の相談があり、 行政(越谷市保健所)から越谷市の登録団体であるアルマに引取り相談がありました。 犬たちは住宅街の一般家庭にいて、吠え声の騒音や臭いなどもあったようです。 放棄される犬たちは保健所に収容、アルマは保健所から犬を引き取りました」

越谷市保健所に収容されていたマルチーズたち

ー現場の状況を教えてください。

「現場には76頭のマルチーズがいました。越谷市保健所を通して、2022年11月4日、11月11日、11月17日、12月1日、12月23日の5回に分けてレスキューを進めました」

 

ー一般家庭で76頭も飼育とは、かなり深刻な状況でしたね。

「一般家庭で飼われていた犬たちは不妊手術を施されておりませんでした。 最初に飼い主が迎えたと思われる犬は10歳を越えていました。 室内で特にオスメスを分けて飼っていたわけではなく、またメス犬にヒート(生理)があることの理解も乏しかったようです。 相談を受けた時点で、保健所が確認している頭数は犬76頭で、オスメス比は半々くらいでした。 保健所からの指導で、できるだけオスメスを分けましたが、妊娠しているメスもいて、放棄が急がれました。 犬たちは栄養状態が悪くやせており、毛玉が多く、排泄物が絡みついているような子も多くいました。 妊娠後期で今にも産みそうな犬、怪我をしている犬、弱っている犬、ヒートが確認されたメスを優先的に、最初の20頭を引き出しました」

 

生まれたばかりの子犬たち

ーその後、残りの犬たちはどうされたのですか?

「他団体様からも引き取り、順調にレスキューが進みました。 また越谷市保健所も一般譲渡犬として10頭ほどを市内の希望者に譲渡されました。 2022年12月末にはオス3頭となり、こちらも1月末に保健所で引取る予定と保護当時に聞いております。 保健所の説得で、飼い主の元に残す犬はメス2頭、オス2頭の合計4頭になりました。 残す犬たちの不妊手術は、アルマで動物病院に連れて行って実施し、飼い主宅に戻しました。 マイクロチップ登録も行っています」

多頭飼育現場から生まれた命とシニア犬の治療ケアを

ー今回のご寄付はどのようにお使いになりましたか?

引き取った犬全頭の不妊去勢手術はもちろんのこと、治療ケアが必要な犬たちに使わせていただきました。中でも

妊娠後期で出産した犬『マルカ』とシニア犬の『はるか』についてご紹介します」

 

出産を乗り越えたマルカちゃんとおっぱいを探し求める子犬たち

「マルカちゃんは、小さな体で6頭も妊娠しており、2022年11月5日、早産で出産しました。 最初の2頭は自力で出産したものの1頭は死産、もう1頭は臍の緒がかみ切れずに子犬が怪我を負いました(後に死亡)。 これを見て急いで動物病院へ出産のサポートを頼み、陣痛促進剤を使いながら残りの4頭は無事に産まれました。 出産後、おっぱいが出なかったために子犬を育てるのにも苦労しました。 乳飲み子ボランティアさんの協力も得て、無事に3頭は成長しております」

 

ーはるかちゃんについてもお聞かせいただけますか?

「はるかちゃんは、両前足の関節が曲がっていて推定10歳。両前足の肘の関節が曲がっており、真っすぐに足を伸ばして立つことができませんでした。 さらに、大きな乳腺腫瘍もありました。 12月に乳腺腫瘍の切除手術と避妊手術、歯科処置を施しました」

 

おびえながらも骨折診療を受けてくれたはるかちゃん

 

「乳腺腫瘍は病理検査の結果、良性腫瘍でした。 両前足については、整形外科に強い動物病院で診ていただいたところ、関節炎で変形したのではないかとの診断で片足ずつ整復手術を行いました。今、はるかちゃんの生活のクオリティを上げようと前足の負担を減らすため、車椅子の制作をオーダーしています。 現在は、一時預かり家庭で大切にケアをしていただいて、治療を進めています」

 

ー最後に寄付支援者の皆様へメッセージをお願いします。

「いつもアルマの活動を応援していただきありがとうございます。 今回のレスキューでは2カ月間で計35頭の犬たちを無事に引き出すことができました。 また引き出し後に出産した犬がいて、子犬が6頭産まれています(うち3頭は死産や出産後の栄養不良等で死亡)。 栄養も管理も行き届かない不衛生な環境で懸命に生きてきた子たちが、これから穏やかに幸せに暮らしていけるように引き続きサポートしていきます。 現在すでに約半数の犬たちの譲渡が進んでいます。 引き続きアルマの活動を応援していただきますと幸いです」

 

アルマさんは一戸建ての限られたシェルターと預かり家庭のボランティアさんのご協力を得て、命のバトンをつないでいます。引き取られた保護犬・保護猫たちは、譲渡会やシェルター見学会で出会うことができます。これからもアルマさんへのあたたかいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

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