海外情報レポート

スイス社会の犬との付き合い方

動物愛護の先進国として名高いスイス。

今回は、ご縁あってスイスで長年動物たちと共に暮らす今川玲子さんにお話を伺うことができました。

馬や犬、さまざまな動物たちと共に暮らしてきた今川さんですが、今回は犬とのスイスでの暮らし、そこから見えてきたスイス人の考え方をメインお伝えします。

 

Profile

 今川 玲子(いまがわ れいこ)

🐾経歴🐾
30年前に2人の子供を連れ、スイスに移住。アートギャラリー勤務を経て、銀行に勤めながら子育てをする。

 

「スイスに暮らすなら馬に乗りたい」とアイルランドから馬を迎え入れたのが、動物たちとの暮らしのはじまり。子どもと共に乗馬を楽しみ、ギニーピッグ、ヤギ、おし鳥、ウサギ、犬などを、ポリシーから最低2匹ずつ飼育。

現在は、地域猫のお世話をしながら定年退職者としてスイスに在住。

 

🐾メッセージ🐾

スイスの動物たちが「恵まれた環境下で手厚い保護を受けていること」「人や社会と共存していること」 を日本の人たちに少しでもアニマル・ドネーションを通じ、感じて頂けることを願っています。

街中どこでもウェルカム。わんちゃん!

電車から降りてくる犬や、カフェテラスでくつろぐ犬。

スイスの街中では、よく犬を見かけます。

 

電車などの公共交通機関では、犬用乗車賃を支払えばケージなしで乗ることができ、ほとんどのレストランに犬を連れて入ることが可能。レストランでは犬用の水が用意され、人より早く運ばれてくることもあるのだとか。

 

泊りがけの外出でも、家族と同じ部屋に泊まれるホテルが多く、一流と名の付くホテルでも特別ではなく受け入れてくれます。だから、食事や旅行、ハイキングにも、気軽に犬を連れて行けるスイス。そんなスイス社会の犬との付き合い方をご紹介します。

 

 

愛犬たちと行ったハイキング。後ろに見えるのは、スイスアルプスです

 

氷河の洞窟のなかに入る貴重な体験も、愛犬たちと一緒に

 

出会いは、生まれてくることを待つ時間から

スイスで動物を飼おうと思ったとき、ブリーダーから譲り受けるというのが基本スタイル。

ブリーダーに予約し、自然に生まれてくるのを待ちます。

 

ブリーダーは、予約をもとに生まれてくる頭数を調整、

生まれてからは、子犬を親元である程度育ててから飼い主へ引き渡します。

申し込みがあってはじめて生まれるシステムは、引き取り手のない命が増えすぎることを防いでいます。

 

◆譲渡時期

法律上、生後8週間での譲渡が可能ですが

「3か月は親と一緒に過ごさせてあげたい」というブリーダーの考えから12週間以降の譲渡が多いようです。

 

◆お値段

1匹あたりの売買価格は約20万円。

「血統書」を気にしないスイスでは、チャンピョン犬の子どもでも最大約30万円ほど。

一方、日本では平均価格1匹50万円~70万円ともいわれています。

 

ちなみに、スイスに30年住んでいる今川さん、一度も犬や猫の生態販売を見たことがありません。

ウサギやモルモット、ハムスターを見たことはありますが、犬や猫を小さいケージに入れて販売するという発想がスイス人にはきっと無いだろうとのこと。ペットショップでブリーダーを紹介してもらうことはあるそうです。

 

ブリーダーの他には、アニマルシェルターから引き取るという手もあります。

アニマルシェルターには、飼い主の老衰など仕方のない理由で預けられた動物たちが暮らしており

動物との出会いの場として広く認知されています。

 

無駄吠え、ダッシュ…させません!

犬を家族に迎えたら、まずはしっかり躾けるのがスイス流。

一時は法律で義務化されたこともありましたが、撤廃。今川さんのかかりつけの獣医がおっしゃるには、その理由が、義務化しなくてもみんな自主的にドッグスクールに通うから、というから驚きです。

 

躾けられた犬は、無駄吠えや噛み癖がないのはもちろん、知らない人や他の犬に吠えたり、猫を見かけてダッシュで追いかけたり、飼い主が何か食べているとき食べ物をねだったりはしません。

だからこそ、街なかでも気軽に犬を連れて歩けるんですね!

 

また、犬を飼う際のマナーのひとつ、散歩でのふんの処理ではちょっと便利な取り組みが。ふんを捨てるための「みどりのポスト」が道なかにあります。ふんを入れるポリ袋もセットであり、快適な散歩をサポートしてくれます。

犬のふんを回収するための「みどりのポスト」。散歩の途中に使えるよう、ある程度の距離間で道脇に設置されています

 

ふんを入れるためのポリ袋も用意されています

 

定期的に回収。こういったところに犬税が使用されています ※犬税:州にもよりますが、年間11000円ほどです

 

社会に受け入れられるマナー犬へ!

今回、今川さんにお話を聞いて、スイスの方は犬を人と同じように捉えていると感じました。

それは、公共の場・店舗で拒否されない、ペットショップが摘発されるという制度面だけで感じたことではありません。

「暑い日に薄手のニットを着せる=虐待」と考えることが一般的だというスイスに驚きました。

日本では、犬に服を着せる・着せないは見た目の観点のみで捉えている方が多いのではないでしょうか?服を着せることが決して悪い事ではありません。でも、本当に犬にとって居心地が良いのか?を考えるのがスイスの常識であり、その根底には犬の感覚を尊重し、気遣う、まるで人に対する心の砕き方と同じだと感じました。

 

人を気遣うように犬のことを考え、制度として確立されているスイス社会。そして、その社会の一員として受け入れてもらえるようお行儀よくしつける飼い主。まるで子どもにマナーを教え育てるようではありませんか?

愛犬にマナーを身に付けさせ一人前にすることで、社会に受け入れられ社会からも尊重される存在になっていくのではないでしょうか。また、それができる社会システムがスイスには整っているのだと感じました。

 

 

※掲載の文章・写真はアニマル・ドネーションが許可を得て掲載しております。無断転載はお控えください。