認定団体の活動レポート

保護猫と暮らす幸せをいつまでも!広がる「永年預かり制度®️」の輪

「年齢を理由に、猫との暮らしを諦めたくない」

猫を愛する皆さんなら、誰しもそう思うのではないでしょうか。しかし保護猫の譲渡には、年齢制限が設けられているのが一般的です。

 

その問題を解決すべく特定非営利活動法人 猫と人を繋ぐツキネコ北海道では「永年預かり制度®️」というシステムを確立しています。これは高齢者の方に保護猫を「譲渡する」のではなく「預かってもらう」システムで万一の事があった場合には、ツキネコ北海道がその猫を引き取ります。

 

この記事では「永年預かり制度®️」に関する素敵なエピソードを二つご紹介します。一つ目は、施設に入られる事になった永年預かりのKさん(88歳)が自ら新しい永年預かりさん(71歳)を探し、幸せを繋いだ黒猫クロシくんのお話、そして二つ目は、沖縄から横須賀まで“空を飛んだ“保護猫ハーバちゃんのお話です。

里親さんから新たな里親さんへ 幸せのバトンタッチ

永年預かりを利用して、3年5ヶ月の間、十勝からの保護猫クロシくんをとても可愛がって暮らしていた88歳の里親Kさんから、ツキネコへ「そろそろ施設に入ることになりました」と連絡が入りました。

ツキネコでは、猫を戻してもらうのも忍びない、と思っていたところ、なんとKさんご自身が鍼の先生を介して、新たな永年預かりさんを探して来られたのです。

保護猫クロシくん幸せのバトンタッチ
左が88歳のKさん、右が71歳の新しい永年預かりさん

今まで使っていた猫のものを一式と、愛情いっぱいの取扱説明書までつけて、クロシくんは、71歳の新しい里親さんの元へ。そこには偶然にも以前飼っていた、クロシくんにそっくりな黒猫の写真が飾られていたそうです。

猫の取扱説明書
愛情あふれるクロシくんの“取扱説明書“
保護猫クロシくん
“肥満気味なので要注意“と取説に書かれてしまったクロシくん(笑)

とはいえ、Kさんにとっては、住み慣れたお家を離れ、家族ともいえるクロシくんとのお別れで複雑な思いもあった事と思います。クロシくんも最初は慣れないせいか食事も取れていない、というのを電話で聞いたKさんは思わずペットロスになるところでしたが、新しい永年預かりさんが、いつでもKさんを施設に迎えにきて、クロシくんに会わせて下さるという事で、実際に行ってみるとクロシくんも安心したようで、Kさんはペットロスを免れることが出来ました。

沖縄の保護猫ハーバちゃん空を飛ぶ〜全国に広がる「永年預かり」の輪

次は沖縄で保護されたハーバちゃんが、空を飛んで、横須賀の永年預かりさんの元へやって来たお話です。

飛行機に乗る猫のハーバちゃん
飛行機の手荷物タグをつけて

ツキネコは北海道なのに、なぜ沖縄の猫が…?それは、ツキネコのボランティア仲間のOさんが、会社の定年を機に沖縄に短期移住をして、野良猫保護活動に参加する様になった事がきっかけです。

 

Oさんが目にされた沖縄の野良猫事情は、畑や植物に糞尿することで住民に忌み嫌われ、時には目を背けたくなるような虐待行為も行われており、一握りのボランティアさん達が必死に手弁当でTNR活動や、保護活動をするものの県内での譲渡はほぼ難しい現状でした。

 

そのとき永年預かりを希望をされていたのが、横須賀にお住まいのTさん。86才とご高齢で、これまでのツキネコの経験から、身体の小さめのメス猫で、性格はおっとりしている猫が向いていると判断し、実際に会うことはできない為、Tさん、担当ボランティアさん、ツキネコとのLINEグループを作り、数匹の猫の動画や画像を送りマッチングをしていき、最終的に沖縄のハーバちゃんに白羽の矢が立ちました。

保護猫ハーバちゃん里親さんの里親さんの元へ
ハーバちゃん新しいお家に着きました

移動はもちろん飛行機です。Tさんの娘さんが全面サポートしていたので、カーゴへの引き取りの際の詳細などを事前にお伝えして当日はスムーズにハーバちゃんの引き取りができました。ハーバちゃんは、長旅の疲れも見せず、暖かな陽が射す場所を陣取ってまるで、長いことこのお家にいる様子だったそうです。

保護猫と永年預かりさん
Tさんとハーバちゃん、すっかり仲良しです
保護猫ハーバちゃんと里親さん
自由に遊ぶハーバちゃんを優しく見守ります

到着翌日とその後、Tさんからツキネコに届いたメッセージをご紹介します。

「昨日無事我が家に到着して、ホッとしました。今朝トイレに入り、又カリカリも 食べてくれて今私のそばにいます。 お腹いっぱい開いて 、手を触れさせてくれ 甘えてきて 嬉しいです。 これも愛情かけて育てて下さったからです。 感謝しかありません」

「常に私のそばにいましたが、2日前から好きな場所 二階のピアノの上や日当たりの良い部屋に私がいなくても 行動するようになり  楽しんでいます。夜は私の布団に入ってきます。  近所の野良ちゃん二匹が朝と夕がたにベランダで ガラス越しに見たり、鳥を見たりしています」

いくつになっても猫と共に暮らす幸せを諦めない。ツキネコから始まった「永年預かり制度®️」は、着実にその輪を広げています。

「永年預かり制度®️」への想い〜ツキネコ吉井代表インタビュー

ー 「永年預かり制度®️」について吉井代表の想いをお聞かせいただけますか

「私がお客様との会話の中でヒントを得て初めたこの【永年預かり制度®️人生100年、日本がこれから直面していく高齢化社会の中で大切な位置を占めていくように感じています。人間の健康寿命の観点からも様々な方面から、取材が相次いでいます。しかしながら肝心の保護団体やボランティアさんの方では、なかなか広がりが見えてきません。保護団体の組織力や対応能力などハードルが高いとのお声も聞きます。永年預かり制度を取り入れてもらえるように、各団体やボランティアさんのサポートもしっかりいしていきたいです。またツキネコも道内のみ対応していましたが、今後は全国を対象に永年預かり制度を普及していきたいです」

保護猫の永年預かりさんたちたち
猫と暮らす幸せをいつまでも

ー 2024年ツキネコさんの活動目標をお聞かせください

「お陰様でツキネコ北海道も皆様からの信頼を元に大きく成長させてもらいました。それに伴い相談件数は増加の一途を辿り、道外からの保護猫の引き取りも受けています。行政だけでは解決できない案件も多く、今後は官民協働で解決できるような仕組み作りに取り組みたいと考えています」

 

この「永年預かり制度®️」が全国へ広がり、猫と高齢者の方々の幸せなエピソードがたくさん聞かれますように、ツキネコ北海道さんへのご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

 

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