【社会福祉法人 日本介助犬協会】4年ぶりの対面での開催!介助犬フェスタ2023
社会福祉法人 日本介助犬協会さんでは、介助犬について楽しく知ることができるイベント『介助犬フェスタ』を開催しています。
介助犬を知り身近に感じてほしいとの想いを込めて行われているこのイベントは今年で13回目。2020年から新型コロナウイルスの影響でオンラインのみでの開催が続いていましたが、今年は愛・地球博記念公園内の地球市民交流センターにて4年ぶりに対面で開催されました。たくさんの人や犬が集まった活気あふれるイベントの様子をレポートいたします。
見る、知る、感じる、そして楽しむ!
毎年5月の休日に開催されていた介助犬フェスタですが、今年は初の平日開催、しかも現地でのイベントとその様子をYouTubeにて生配信する初のハイブリット開催。職員の方にお話を伺ったところ、初の試みのため楽しみな反面ドキドキも大きいとのことでした。
コロナ禍でのこの3年間はYouTubeやライブ配信など様々な工夫の中でイベントを開催されていましたが、遠方にお住いの方や会場までは来ることが難しい障がいを持った方にも参加していただきやすいというメリットもあり、今回のハイブリット開催となったそうです。どんなに厳しい状況になっても、一人でも多くの方に楽しみながら介助犬のことを知ってほしい、そして広めてほしいという強い思いを感じました。
会場ではステージで様々なイベントが行われているほか、実際に犬と触れ合える体験コーナーや、チャリティグッズが買えるブースなどが並んでいます。日本介助犬協会さんの活動報告や、介助犬使用者さんの想いなどが分かる展示コーナーも。犬を連れて参加できるイベントとして定着してきているとのことで、平日にもかかわらず本当に多くの方がワンちゃんたちと一緒に楽しんでいました。
介助犬の凄さが分かる!デモンストレーション
ステージでは介助犬が普段どのようなお仕事をしているのか実際に見ることができるデモンストレーションが行われました。介助犬は手や足に障がいのある方をお手伝いしている犬で、この日のステージにはまずPR犬のピトくんが登場。
手や足に障がいのある方の中には物を掴む力が弱い方も多く、何か落としてしまったときに自分で拾うのは危ないため家族の帰りを待ったりすることもあるそうです。しかし介助犬がそばにいてくれればすぐに拾って持ってきてくれます。上手にできたピトくんに会場から自然と大きな拍手が沸き起こりました。
その他にも靴と靴下を脱がせて洗濯カゴの中に靴下を入れたり、冷蔵庫の中のペットボトルを手元まで持ってくるというお仕事も見せてくれました。障がいのある方は何かお願いしたいことがあるとき、家族であっても「今忙しいかな…頼んでも大丈夫かな」などと申し訳なく思いためらってしまうこともあるそうですが、介助犬なら喜んで遊びの感覚でお手伝いしてくれるので気兼ねなくお願いができます。デモンストレーションの間、ずっと尻尾をブンブン振りながら楽しそうにお仕事紹介をしてくれたのがとても印象的でした。
2回目のステージにはPR犬のナビちゃんが登場。緊急時に助けを呼ぶことができる携帯電話を探して持ってきてくれます。携帯電話は必ずしもいつも同じ場所に置いてあるとは限らないため、どこにあるのか分からない状態で探すのですが、驚いたことに匂いではなく「四角い形にストラップ」というのを覚えてキョロキョロと周りを見て探しているのです!宝探しゲームのような感覚で楽しく訓練をしているのだそうですが、以前見学会に参加した際、トレーナーさんも一緒に訓練を楽しまれていた姿を思い出しました。
直接見て、聞いて、体験して、介助犬をもっと身近に
ステージには介助犬使用者さんが登壇され、普段どのような生活を送っているのかを直接聞ける貴重な時間もありました。介助犬はその方の障がいに合わせて作業ができるようにオーダーメイドでトレーニングされているのですが、自分で起き上がろうとすると1時間かかっていたという生活が、介助犬と暮らし始めるとたったの5分でできるようになったそうです。
事前にインスタグラムで募集されていた質問にも答えていただけました。「街で見かけたときはどのように声をかけたらいいですか?」との質問には「犬側ではなくて人側から声をかけてほしい」とのお答えが。犬側から話しかけてしまうと間に犬が入ってしまうので、人側からの方が話しやすいそうです。街で出会ったとき、いざとなると「どうしたらいいのだろう?」と声をかけることすら少し勇気がいると思いますが、このように使用者さんから生の声をお聞きできると「困っているところを見かけたらまずは声をかけてみよう!」と思えるのではないでしょうか。
※人が大好きな介助犬は喜んであいさつをしに近づいてしまうこともあるので、介助犬には直接声をかけたり触ったりせず、やさしく見守っていただけるようお願いいたします。もちろん困っている様子の使用者さんには「何かお手伝いしましょうか?」などと積極的にお声がけください!
様々なお話しを聞いた中でとくに印象的だったのが、「介助犬を知っている方はまだまだ少なく、お店などで入店を断られてしまうことがあるので、そんなときには『介助犬知ってるよ』などと一声かけてもらえるだけで心が救われることもあります」というお話。具体的にどうのようにお手伝いするのか分からなくても、こういう応援の仕方もあるのだと気付かされました。
当日予約制で車いすや介助犬トレーニングの体験ができるコーナーもありました。車いすに乗り使用者さんの目線になってみて初めて気づくことがあったり、車いすに座ったまま介助犬に指示を出して物を拾ってもらい「すごいね!」と褒めてみたり。普段なかなか経験できない貴重な時間を、犬たちと一緒に楽しまれていました。実際に触れ合える体験が、介助犬をもっと身近に感じてもらえるきっかけになるのだと思いました。
そばにいるだけで「心の支え」となってくれる犬の存在
日本介助犬協会さんでは、介助犬フェスタの他にも毎年『感謝の集い~認定報告会~』という大切なプログラムがあり、新たに認定を受けた介助犬ペアの報告会や昨年度の活動紹介等が行われます。2019年までは介助犬フェスタでの会員様限定コンテンツでしたが、新型コロナウイルスの影響で2020年よりオンライン開催となったことでどなたでも見ることができるようになっており、今年は介助犬フェスタとは別日に開催されました。
『感謝の集い2023』では、昨年度新たに認定された2組の介助犬ペア、聖マリアンナ医科大学病院の3代目勤務犬とハンドラーの認定報告が行われました。
介助犬との出会い、一緒に暮らし始めてからの変化、介助犬への想いなど、使用者さんの貴重なお話が映像や写真などで紹介されました。介助犬と暮らすようになって、これからも楽しく色々なことにチャレンジしてきたいという思いが生まれたそうです。使用者さんのお手伝いを普段どのようにしているのかも見ることができましたが、隣で優しく見つめたり、本当に使用者さんのことが大好き!という気持ちが伝わってきました。
日本介助犬協会さんでは介助犬に限らず、人と犬をつなぐ取り組み「Dog Intervention(犬による介入)」にも力を入れています。その活動の1つである動物介在療法(動物の持つ力を借りて人の精神的肉体的なケアをする補助療法)を取り入れている聖マリアンナ医科大学病院の3代目勤務犬ハクとハンドラー誕生のお話も。ハンドラーさんの「患者さんの『頑張ろうとする力』『病気を乗り越えようとする力』を、ハクがいい形で引き出してくれています」という言葉がとても印象的でした。そばにいることで癒されたり笑顔になったりするだけでなく、前に進む勇気や力も与えてくれるのですね。
『感謝の集い』は介助犬使用者さん、そのご家族、訓練に携わる全ての方のそれぞれの想いが溢れた素敵な報告会でした。みなさんの笑顔や涙を見ると、どれほど深い愛情を犬に注いでこられたのだろう、私には想像もできないほどの努力や想いがあって認定の日を迎えられたのだろうと、感動せずにはいられませんでした。報告会の最後には3頭とも足元で幸せそうに熟睡…というほっこりな場面も。ただそばにいてくれるだけでこんなにも癒しをくれる犬という素晴らしい存在が、これからも多くの方の心の支えとなってくれるのではないでしょうか。
このような素敵なイベントを通してまずは身近に感じていただき、一人でも多くの方が介助犬のことを知り、もっと理解が広まることを願っています。
『介助犬フェスタ2023』『感謝の集い2023』の様子は、日本介助犬協会さんの公式YouTubeにてアーカイブ公開中です。ぜひご覧ください!
YouTubeチャンネルはこちら→https://www.youtube.com/@JSDA
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