認定団体の活動レポート

【社会福祉法人 日本介助犬協会】動物介在療法で活躍。病院のみんなが愛するモリスの引退式

神奈川県にある聖マリアンナ医科大学病院(以下、聖マリアンナ)で「勤務犬」として活躍したスタンダードプードルのモリス。モリスの育成をしているのが、日本介助犬協会です。

先日行われたモリスの引退式にアニドネスタッフも参加してきました。

広い会場には、モリスに助けられた患者さん以外に医師や看護師、モリスの家族たち。愛あふれる引退式で犬のチカラをあらためて感じました。

 

 

週に2回通勤の真っ白なスタプー

日本介助犬協会では介助犬以外の育成も積極的に行なっています。「犬による介入(DI: Dog Intervention)」活動の1つが、犬の力を人間の病気治療に生かす動物介在療法。モリスはオランダ生まれで1歳半までスウェーデンで育った後、日本でトレーニングを受けました。聖マリアンナで動物介在療法を担当する勤務犬です。
2019年に初代勤務犬のミカ(黒のスタンダードプードル)から引き継ぎ、約4年の勤務となりました。

 

この笑顔でたくさんの患者さんの回復をサポートした

 

モリスが医療チームの一員として治療の一環を担う

「病院で犬が何するの?」と、おそらくほとんどの人の常識にはないと思われる取り組み。当然、何がいいのか、はわからないでしょう。アニドネスタッフすら、引退式に参加し、モリスが起こしてきた具体的な奇跡(この言葉は病院では使われていません。アニドネスタッフの感想です)を知るまでは、なんとなくしか分かってはいませんでした。

先代のミカとモリスの2匹は、8年間で約400件の動物介在療法を実施しました。非常に印象的だった話をご紹介しましょう。

障がいがあり、病気治療に取り組む女の子。例えば、レントゲンを撮るにも五人の医療従事者で押さえる、もしくは鎮静剤に頼っていたのに、モリスが寄り添うようになって、全く嫌がらなくなり笑顔で治療が受けられるようになったこと、にはとても驚きました。
「今日はモリスが一緒だから、頑張って治療をしよう!」と治療への不安を取り除き、前向きな気持ちへモリスが導いていたのです。

 

7歳で引退し、家庭犬として生きる

会場であったモリスは、元気そのもの。日本介助犬協会のトレーナーである水上さんに「まだ働けそうですが?」と聞いてみました。

「はい。働けます。すごく元気です。ただ、私たちは犬の環境を考慮し引退年齢を設定しています。例えば、当法人で育成をしている介助犬の引退年齢は10歳を目安にしています。介助犬は一人のユーザーさんに向き合いますが、病院の勤務犬であるモリスは多くの患者さんや医療従事者と触れ合います。より刺激のある環境にいることを鑑み、早めの引退にしているんです。」

つまり、犬の福祉を考えて、無理はさせない、と決めていました。

 

病院関係者、みんなモリスの大ファン

当然患者さんには惜しまれている事を想像していました。が、びっくりしたのは、看護師さんや病院長、大学長まで、病院スタッフたちが本当に名残惜しそうにしていたこと。病院という場所は、時として辛い治療や余命宣告などをせねばならないこともあります。そんな時に、にっこり微笑み寄り添うモリスの姿に救われたのは、患者さんだけではなかったのでしょう。

以下は病院関係者のコメントです。
「病院ですから最新の治療はもちろん大事。だけど言葉なく、ただ寄り添うモリスの姿に私たち医療従事者は、学ぶことがとても多かったんです」と。

 

当日会場には200名を超える方々が集まった。感極まって涙する人も多数。アニドネスタッフももれなく感涙

3代目はイケメンゴールデンのハクくん

会場には、3代目もきてました。綺麗な毛並みでぱっちり御目目、高い鼻を持つハクくん。
日本介助犬協会の専務理事 高柳友子さんはいいます。

「大事なことは、犬は『病気を治そう』なんて思ってないんです。彼らはただ楽しい、みんなのことが大好き、と思っているだけなんです。だから犬の特性を見極める、ということが何より大事で、私たちは犬には無理をさせず、人を救う活動を引き続き行なっていきます。」

犬大好きなアニドネスタッフ2名ともに、改めて犬の偉大さに感銘を受けた、引退式でした。

 

日本介助犬協会さんは寄付により介在療法に活躍する犬の育成をしています。日本ではまだ数頭です。ぜひ寄付でご支援ください。

 

 

3代目のハクくんと、ハンドラーの兒島看護師長と溝部看護師。左はハクくんをトレーニングした介助犬協会の水上言さん
常に笑っているように見えるモリス

 

 

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