認定特定非営利活動法人 シャイン・オン・キッズ
介在団体
日本初のファシリティドッグ導入をはじめ “心のケア”に繋がるプログラムで闘病中の子どもたちを支援
「小児がんや重い病気とたたかう子どもと家族の支援のために」を理念に掲げ、治療中の子どもたちへ心のケアを中心に支援している団体です。
世界でもトップクラスの日本の医療ケアを受ける子どもたちに、心理社会的サポートや退院後の支援までをトータルケアとした支援体制の向上を社会課題として取り組んでいます。
日本で初めて✴︎ファシリティドッグの病院導入を実現し、AAI(Animal Assisted Interventions;動物介在介入)分野の関心を高めました。
✴︎ファシリティドッグとは病院などの施設で活動するため専門的なトレーニングを習得した犬。
活動内容
動物介在療法やアート介在療法を全国各地の病院や小児病棟へ展開
“ファシリティドッグ” と犬を扱う専門職 “ハンドラー”としての研修を修了した看護師がペアとなって病院へ派遣されます。ファシリティドッグとハンドラーは職員の一員として常勤し、子どもたちの治療や入院生活をサポートしています。
2010年に導入、2019年から候補犬を育成し、現在は4頭のファシリティドッグが派遣先の病院で活動中です。
ハンドラーに看護師を起用するのが特徴的で、疾患に応じた介入や感染対策の専門性にも強みがあります。
さらに、治療を乗り越えるたびに患者自身が色とりどりのビーズを繋げるアート介在療法も全国29の病院へ展開。動物介在療法とアート介在療法を心理社会的支援事業として全国の病院に広めています。
今後のビジョン
地域社会とファシリティドッグ育成の連携で病気の子どもたちや家族が孤立しない社会を構築
ファシリティドッグ国内育成事業のためにできた新しいトレーニング拠点と本部、二拠点での新体制の安定化と継続を図ります。
候補犬の育成拠点、地域の病院、難病の子どもと家族へのサポート活動をする特定非営利活動法人や地域における子育て支援の特定非営利活動法人と協働でトレーニングを実施。そして、入院中にファシリティドッグと関わりながら病気を乗り越えた子どもたちと退院後も交流を図り、トータルケアの体制作り強化を進めます。
ファシリティドッグ育成を地域社会と連携しながら、かつ退院した子どもたちとともに取り組むことで、新たなコミュニティを構築し、病気の子どもたちやその家族が孤立しない社会を目指していきます。
寄付使途
候補犬の育成費、フード代、医療費、拠点運営費、トレーナー費用、その他非営利活動費
この団体の活動・お金の使い途レポート
基本情報
- 団体名
認定特定非営利活動法人シャイン・オン・キッズ
- 住所
東京都 中央区 日本橋本町3-3-6 ワカ末ビル7階
- TEL
03-6202-7262
- メールアドレス
- 代表者
キンバリ・フォーサイス
- 活動収支報告
詳細情報
- 活動開始日
2005年9月(法人化2006年7月10日)
- 活動エリア
ファシリティドッグ活動エリア:静岡 ・神奈川・東京
ビーズアート活動エリア:全国29拠点
- スタッフ数
正社員(有給)10名 ボランティア10名 業務委託25名 *2024年10月現在
- 活動実績
日本の小児がん医療が世界トップクラスである一方で、”心のケア”という面ではまだ立ち遅れているという社会課題に取り組む。解決策として、長期入院を余儀なくされる小児がん、重い病気の子どもたちを独自の事業で支援。
【カウンセリング&サポート】
小児がんの治療に伴うさまざまなストレスについて、専門家に気軽に相談できるシステムの構築を目指し、臨床心理士を病院に派遣。期間:2007/4~2013 国立成育医療研究センター
2010/10~2013 大阪市立総合医療センター
成果:2012年に厚生労働省による小児がん医療・支援のあり方に関する検討会の報告書に、小児がん拠点病院の要件として「臨床心理士等の配置」が言及された。本成果をもって2013年に完了。現在は、下記の二つの事業を中心に展開。
【ビーズ・オブ・カレッジ】
色とりどりのガラスビーズを用いたアート介在療法。手術・輸血・化学療法など治療をひとつ乗り越えるたびに、治療を象徴するビーズを医療スタッフから一つ受け取り、患者自身が繋ぐ。期間:2009/10~ 米国Beads of Courageより日本で唯一公認を受け、運営を開始
地域:北海道/茨城/千葉/東京/神奈川/静岡/愛知/和歌山/大阪/兵庫/高知/福岡/沖縄
成果:“心のケア”に繋がるプログラムとして、全国29のこども病院や小児病棟で展開。【ファシリティドッグ】
犬を用いた動物介在療法。病院で活動するための専門的なトレーニングをつんだ犬 “ファシリティドッグ” と、看護師が犬を扱う専門職 “ハンドラー”になるための研修を修了してペアとなり病院に派遣。職員の一員として病院に常勤し、治療や入院生活をサポート。期間:2010/1~ 静岡県立こども病院
2012/7~ 神奈川県立こども医療センター
2019/8~ 東京都立小児総合医療センター
2021/7~ 国立成育医療研究センター
- 動物に対する福祉体制
1.国際基準を遵守したトレーニング補助
育成団体の世界的な統轄組織であるAssistance Dogs International(以下ADI)の認定育成団体、具体的にはハワイのマウイ島に所在するAssistance Dogs of Hawaiiから犬を確保。
ADIの育成ガイドラインは「犬をポジティブ・トレーニングに基づく方法で育成する」(犬が”できること”を大切に、小さな成功体験を積み重ねる方法。失敗した時に体罰や精神的な強制に基づく方法を使わないトレーニング法)など、犬の福祉を守るための指針などが明記されている。国内育成本格化も、本方法を踏襲。また、育成にかかる時間や技術、コスト面の観点とファシリティドッグの適性には遺伝的な要素も大きく影響することを鑑み、最初の段階で適した犬を厳しく選定。犬の生涯の限られた時間を大切にするためにも、ファシリティドッグの輩出に実績がある団体、たとえば ”働く犬”のブリーディングを専門的に行うCareer Dogs Australia 等から子犬を確保している。2.ハンドラー研修のカリキュラム
活動中の犬の安全を守るのがハンドラーの大切な役割の一つ。このため、研修も国際的な標準カリキュラムとなっているボニー・バーゲン博士考案の「SMARTEST DOG TRAININGモデルプログラム」に基づき、約80時間の過程修了を必須としている。各国の補助犬育成団体で教材として活用されており、犬が学ぶ方法の理論や、犬のストレスを示すボディーランゲージの読み取り方・対処法など、犬の福祉に配慮できるハンドリングや日頃の飼育管理が習得できるように重点が置かれている。ハンドラー研修後、最終試験合格が必須となっており、活動開始後も年に1回のインストラクターによるフォローアップ・評価が義務付けられている。3.アドバイザリーボードによるガバナンスの構築
国際基準に沿った育成・運用をしているが、日本の現状に合わせていくことも必要とし、アドバイザリーボードを設置。「ファシリティドッグである前に1頭の健やかな犬」として成長を支えられる事業づくりのために、専門の立場からアドバイスをいただく。久世明香(獣医師、博士)麻布大学獣医学部動物応用科学科 伴侶動物学研究室 講師。獣医行動診療科認定医として、イヌやネコのこころのケアに携わり、日本獣医動物行動研究会の幹事を務める。
高柳友子(医師、博士)社会福祉法人日本介助犬協会理事長/愛知医科大学
医学部客員教授。厚生科学研究介助犬研究班に従事し,2002年身体障害者補助犬法制定に貢献。西村亮平(獣医師、博士)東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻獣
医外科学研究室 教授。中央環境審議会動物愛護部会の委員として、動物の愛護及び管理に関する法律の改正にかかわる。山本真理子(博士)帝京科学大学アニマルサイエンス学科 講師。”働く犬”を研究テーマにUCデービス校で博士研究員を務めた経歴から、日米の使役犬事情に詳しい。
4.ファシリティドッグの引退について
画一的な決まりはないが、犬の健康寿命を考慮し、10歳をひとつの目安にしている。年相応の体力と、犬のモチベーションのバランス(例:通勤する意思、ボディランゲージあるか?)を考慮し、ドッグトレーナー・獣医師らと協議した上で調整。また生活リズムの急な変化で負担をかけない工夫を図るため、年に1回のドッグトレーナーによる定期フォローアップ結果を元に、6~8歳頃から少しずつ業務量を調整。これまで引退したベイリーとヨギの二頭は共に10歳での引退。引退後の暮らしにかかる費用について、現役を退いた後であっても犬のQOL(クオリティオブライフ)を保証したいという考えから、ご理解を得られる個人/法人スポンサー企業の支援を一部活用している。
- 団体設立のきっかけ・沿革
都内の病院で2歳を目前にして、白血病で亡くなった男の子タイラー・フェリスの両親が、日本で小児がんや重い病気を患っている子どもたちとご家族への支援を理念に基金設立。
2006年特定非営利活動法人タイラー基金設立
2007年カウンセリング・サポート活動開始
2009年アート介在活動「ビーズ・オブ・カレッジ」開始
2010年日本初のファシリティドッグ誕生、静岡の病院にて動物介在活動開始
2012年東京都より「認定」取得を機に、団体名を特定非営利活動法人シャイン・オン・キッズに変更
2013年厚生労働省の報告書に小児がん病棟の要件として「臨床心理士等の配置」が言及される成果を持ってカウンセリング活動は完了
現在は、1.闘病中の子どもたちやご家族を力づける活動、2.医療チームと治療の充実のための活動、3.小児がんの認知を高める活動になることを目標として、アート介在療法と動物介在療法をこども病院や小児がん拠点病院を中心に全国へ広めている。
- 活動内容
ファシリティドッグ・ドッグトレーナーによるトレーニングを兼ねた動物介在活動
1. 育成拠点でのトレーニング
場所:仮育成拠点(神奈川県三浦郡)
参加:約135名/年
(過去入院中にファシリティドッグと関わり、退院した子どもを含む)2.地域の病院、難病の子どもと家族を支える活動をする特定非営利活動法人と協働したトレーニング
場所:神奈川県立こども医療センター、東京都立小児総合医療センター、静岡県立こども病院、協働非営利団体施設(こどもホスピス、患者家族滞在施設、他)
参加:約110名/年3.地域の子育て支援特定非営利活動法人と協働トレーニング
場所:協働非営利団体の活動先(地域センター、図書館などの公共施設、学童、他)
参加:約50名/年
(過去に入院中にファシリティドッグと関わり、退院した子どもを含む)
- 定期イベント
なし
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