公益財団法人 神奈川県動物愛護協会

啓発団体

(2013年11月15日掲載開始)

1958年の設立当初より、動物病院を併設した保護施設で「動物愛護」の向上を目指し活動

60年前の創立当初から犬猫の殺処分を減らすための不妊去勢手術を実施し、保護動物の譲渡活動、啓発活動を行っています。
また犬猫ばかりではなく、動物全体に対する福祉への認識向上と、不幸な一生を余儀なくされる動物がいなくなることを目標に、アライグマ防除計画では唯一保護譲渡を行い、害鳥と呼ばれるカラスやドバトでも傷病があればできる限り治療にあたります。救える動物の生命を放置することが無いよう努めています。

活動内容

全国からの相談に対応。「動物福祉検定」を用いて、動物福祉に関する知識保有者を育成

 

犬猫の保護は、動物病院と保護施設を所有する団体として現在は傷病や老齢の犬猫を中心に救済。譲渡条件は、飼育ができなくなり保護の依頼が多い状況(住居・年齢・経済状態など)を基準に作成していますので、安易な飼育にならないよう丁寧に説明しています。

 

また、相談の半数を占めるノラ猫に関する問題については、問題となっている事象を取り除き、世話をする方の地域猫活動(TNR*)を支援し、積極的にトラブル解決に取り組んでいます。

*TNRとはTrap(保護)Neuter(不妊去勢)Return(戻す)こと

動物関連の電話相談は例年3000件程あり、北海道から沖縄まで、芋虫から鯨まで様々なご相談内容に出来る限り対応しています。

 

さらに、2017年2月から始めた新事業「動物福祉検定」は、動物の愛護及び福祉に関心のある方々が、犬猫ばかりでなく、家庭動物全般、展示動物、産業動物、実験動物、野生動物等の法律の違いや問題点などを学べます。一人でも多くの人に日本の現状を理解して頂き、最終的には動物福祉士の養成により日本の動物問題の解決に携わる人材育成を目指します。

今後のビジョン

動物に関するいろいろなセミナーを開催して問題解決、活動の推進に貢献

 

地域猫活動を進めるためのノウハウ共有やセミナーを実施し、地域や現場の方々のスキルアップを支援します。また法改正や問題等、世の中に知らせなければならない内容のセミナーの頻度を上げて開催する予定です。
小・中学校などの講演依頼や少人数のグループからのセミナー依頼にも応じることで、将来的な動物福祉への基礎を培っていきます。

 

さらに今後のステップアップとして「動物福祉検定」は、2年後には中級試験を実施、5年後には各所で実習を終えた動物福祉士検定を行い、実際の問題に適切に対応のできる人材育成を目指します。

寄付使途

ノラ猫の繁殖防止および地域猫推進活動費用、活動拠点の整備費、その他非営利活動費

スタッフからのメッセージ

神奈川県動物愛護協会 

会長 山田 佐代子さん

「私は、1994年度に神奈川県動物愛護協会評議員に就任し、2000年度から第7代目の会長を務めさせていただいております。幼少より動物は好きでしたが、28歳の時、レジ袋に入れられ捨てられていた乳飲み子猫をゴミ箱から拾ってきたことをきっかけに動物愛護にかかわるようになりました。 動物と暮らすことは人の心に豊かさをもたらし、心身の健康や幸福な時を与えてくれます。しかしそれは、共に暮らす動物が人や家庭に安心と信頼を委ねているからこそで、幼児が母を慕うように全面的な信頼があることで、人の心に幸福感をもたらすのだと思います。 戦後13年目に創立した協会の歴史や時代背景を振り返りますと、戦後の日本は動物に対して誤った方向に意識を向けてしまったように感じています。明治時代に始まった近代日本の動物愛護活動は、動物を苦しめることなく扱う事が人としての道徳であり、品格を高めるという思考を基盤としていましたが、戦争を経て戦後の復興時には、その思想が全て失われていたように思います。 例えば、狂犬病予防法によるノラ犬の大量処分と並行して、血統証のある犬の販売が推進され、一般家庭では血統の定かな犬の飼育が豊かな生活のステータスという認識が広がりました。犬の飼育者に『愛犬』という言葉を定着させることが活動の一つになっていた時代、愛護活動の意図に反し、血統証のある犬が大切な愛犬となり、雑種は番犬としてぞんざいに扱っても当然という風潮へと進み、幼齢の犬猫がペットショップの店頭に並ぶことになります。そして、動物飼育を禁じた集合住宅の増加、近代的な生活=清潔という意識の拡大とともに、都心にも点在していた畜産業は、臭気苦情から地方へと追いやられていき、動物と触れ合う機会のない人々が増える結果をもたらします。 そして、日本独特の『愛護』という言葉が、『可愛い』『可哀そう』という感情的な意味を含めて『大切にする』と解釈されるため、動物と触れ合う機会がなく感情を動かされない人にとっては全く無関係な活動に映ることになりました。先進諸国では、家畜においても最低限守られるべき5つの自由として『福祉』の概念を打ち立てており、感情に左右されない判断を基礎にしていますが、日本では未だに「動物と福祉は結びつかない」という議論も根強く、動物への対応を複雑にしています。 日本では日本人に合った思想を確立するのであれば、近代日本の動物愛護の祖と言われる広井辰太郎の言葉にある『人間の品格』を、どのように『動物愛護』に組み込むのか、つまり、人のあり方としてどのように動物に接するべきかを再考すべきだと思います。
1973年に制定された『動物の保護及び管理に関する法律』は、1999年に初めて見直しが行われ、26年の長い一つのトンネルを抜けました。ようやく動物が『生命あるもの』として扱われるようになり、法の名称も『動物の愛護及び管理に関する法律』に変更し、5年毎に法の見直しが行われています。しかし、成熟した体制を作るにはこれからも長い年月がかかる事でしょう。その一助となるために、今後も活動を続けて行きます」

神奈川県動物愛護協会

所長 伊澤 彩さん

「大学卒業後、物流会社に入社しました。しかし、幼い頃から動物関係の仕事に就きたいという思いが捨てきれず、野生動物の専門学校に通う為に仕事を退職しました。専門学校では野生動物のことを学んでいたので、就職先も野生動物にかかわる仕事に就きたいと考えていました。そんな時期にたまたま通学途中で仔猫の兄弟を保護し、飼い始めることになりました。この事がきっかけで、野生動物以上に身近な犬や猫にも興味を持ち、当協会で実習させてもらうことになりました。実習中、ペットとして飼われている動物たちや、野良猫の現状など何となく知ってはいながらどこか他人事と思っていた問題が今、その場で沢山起きているということを目の当たりにし、動物の保護や譲渡に付き添わせていただいたりするなかで、自分も何か力になりたいと思いスタッフを希望し働くこととなりました。
この仕事を始めて一番感じることは、自分もそうであったように、今の動物たちの問題の現状を知っている人が本当に少ないという事です。例えば毎年多くの犬・猫が人間の都合で飼えなくなる等の理由から、棄てられたり、保健所に連れていかれたりしています。当協会にも毎年多くの保護依頼があり、可能な限りの保護を行い、新しい飼い主探しの活動をすすめています。そんな現状の中、一般的に犬や猫を飼いたいと思ったとき、一番初めに思いつくのはやはりペットショプで買うという方が多いのではないでしょうか。でもそれはペットショップで買う方がいいからというより、それだけ飼い主を探している動物がペットショップ以外にも多くいるという事を知らないからという方が多いと思います。やはり現状を知っていってもらうことが大切で、普及啓発活動を通して動物に対しての意識を少しずつでも高めていくことが課題だと思っています」

基本情報

団体名

公益財団法人 神奈川県動物愛護協会

住所

神奈川県横浜市港北区篠原台町6-41

TEL

045-421-5592

メールアドレス

mail@kspca.jp
*メールでの問い合わせは不可

HP

http://www.kspca.jp/

代表者

会長 山田佐代子

会員構成

有(賛助会員:個人193名 法人3社 財政支援賛助会員:個人76名)その他「ノラ猫減らしたい賛助会員:115名」
*2018年8月現在

活動収支報告

http://www.kspca.jp/about-kspca/houkokusyo.html

詳細情報

活動開始日

1958年4月(法人化:1958年4月23日)

活動エリア

神奈川県

スタッフ数

専従(有給)4人 アルバイト10人 ボランティア登録30人
*2018年8月現在

活動実績

2010 麻布大学講義、地域猫活動について開催
麻布大学・神奈川区とノラ猫の生息調査開始
2011 鎌倉映画を見る会講演、犬と猫と人間のより良い暮らし講演、キャットネットかまくら第10回小春日際講演、麻布大学講義
2012 ハッピーうさぎフォーラム講演、日本獣医学生協会セミナー講演、麻布大学講義、定期開催写真展内セミナー(2012年より継続)
2013 東京経済大学講義、麻布大学講義
2014 秦野中学校講演、東京経済大学講義、麻布大学講義、映画上映と飼主のいない猫のトラブル解決法開催
2015 田名中学校講演、麻布大学講義、横浜インターナショナルスクール講演、動物観研究会講演、神奈川県朝日新聞共催シンポジウムパネラー
2016 金沢区ねこ連絡会セミナー、動物と人の幸せプロジェクト講演、人と動物の関係学会講演、麻布大学講義、横浜市動物適正飼育推進員研修、保土ヶ谷区推進員研修、日本教育環境学会講演、犬の言葉を学ぶセミナー開催
2017 麻布大学講義2回、船橋市議会動物議員連盟セミナー、島に生きる猫を考えるシンポジウム開催
2016年度(2016.4.1~2017.3.31)
犬猫他の保護数:57頭
犬猫他の譲渡数:55頭
継続保護数  :57頭
里親会開催数 :26回
ノラ猫の手術数:642頭
相談電話総数 :3034件
見学実習総数 :241名

団体設立のきっかけ・沿革

団体設立以前に、日本動物愛護協会神奈川支部として活動していた内山登志子元県知事夫人が創立。日本動物愛護協会神奈川支部として野毛山動物園に寄贈されている動物慰霊碑は、内山登志子氏が彫刻家の安田周三郎氏に制作を依頼。その慰霊碑の石板には、雀の亡骸が彫刻してあり、小さな雀の死にも悼む心が込められている。内山登志子氏は、犬や猫の等の他、野生動物の保護活動も活発に行っていた。
<以下、施設での通常活動以外を記載>
初代会長 内山登志子 昭和33年 神奈川県知事夫人
・丹沢のシカ猟解禁への反対運動
・野生動物の生息地保護及び動物愛護の啓発看板50カ所設置
・動物愛護ポスター、チラシ等作成。会報「動愛」の発行配布
・特定地域にて犬猫の無料不妊去勢手術実施
第2代 小池鉄三 昭和37年
第3代 栗原忠夫 昭和38年 社会福祉法人 神奈川県老人福祉事業団専務理事
・野鳥の巣箱設置と生育状況調査
・野鳥の保護及び生息状況調査
・犬飼育所の環境調査
・犬の交換会(現在の里親探し)を実施
・野犬の実態調査
・神奈川県犬管理センターから譲渡された犬の飼育指導、健康診断、疾病治療を含む愛犬教室を実施
・映画で犬の首を切るシーンの発表に抗議
第4代 須川豊  昭和53年 神奈川県栄養短大学長
・神奈川県と契約し猫の引取り事業(約10ヵ月間)
・動物愛護相談員の養成に向け講習会を実施
第5代 岡崎千恵子 昭和56年 日本動物福祉協会茅ヶ崎支部長
・日本カインドネスクラブと共催し、講演会、映画会など実施
・動物愛護週間に愛護ポスター、写真展を実施
・中学校の子猫解剖に抗議
第6代 下里洋一  昭和63年 湘南動物愛護会代表
・協会施設における健康な動物への安楽死を廃止
・附属動物病院における犬猫の不妊去勢手術拡大
・ノラ猫の捕獲手術(TNR)の開始
・月1回のバザー及び譲渡会開始
・スペインの闘牛への反対活動
・雲仙普賢岳被災犬の里親探しと街頭募金開催
・阪神淡路被災犬の里親探し
・神奈川県災害時動物救護活動検討委員会委員就任
第7代 山田佐代子 平成11年 犬猫どうぶつ会代表
・神奈川県と提携しアライグマの保護活動開始
・春秋の定例街頭募金開始
・活動報告と動物問題の周知を兼ねた写真展を開始(年1回)
・動物販売のない店舗内にて月1回の譲渡会開始(2か所)
・県内全小学校に「ウサギ・ニワトリの扱い方」ポスター配布
・神奈川県鳥獣総合対策協議会サル対策専門部会委員就任
・神奈川県鳥獣総合対策協議会外来生物対策専門部会委員就任
・WSPA加盟
・神奈川県動物愛護推進協議会委員就任
・動物愛護法改正、ノラ猫問題等シンポジウムの開催(年1回)
・保護犬のドッグトレーニング開始
・動物愛護活動貢献者に神奈川県動物愛護協会賞の授与開始
・日本郵便の動物愛護寄附金分配を受けノラ猫500匹無料手術
・麻布大学、神奈川区と協働しノラ猫の実態調査開始
・公益財団法人へ移行
・動物福祉検定の開始

団体のビジョン

犬猫ばかりではなく、動物全体に対する福祉への認識を高め、不幸な一生を余儀なくされる動物がいなくなることを目標に事業を展開。
創立時からの犬猫の保護譲渡は、同様の活動を行う個人・団体が増加しているため、動物病院と保護施設を所有する団体として傷病や老齢の犬猫の救済に枠を広げることを検討中。また、譲渡に関しては、長年の保護依頼理由から設けた譲渡条件を基準に、飼育不能になる可能性が高いと思われる住居状況・年齢・経済状態などがある飼育希望者には譲渡を行わず、その理由を伝えた上で、安易な飼育は考え直すよう丁寧に説明。
相談の半数を占めるノラ猫に関する問題については、問題となっている事象を取り除き、世話をする人への意識向上を目的とする地域猫活動を支援し、積極的にトラブル解決に取り組む。また、島嶼で起きているノイヌ、ノネコ問題に対しては、法的な問題とともに犬猫と野生動物の双方の良い方向の模索を継続。
動物虐待の立件に不可欠な動物法医学が獣医大学のカリキュラムに取り入れられる働きかけを行い、現在では未確立な警察との連携確立を目指す。
2017年2月から始めた新事業「動物福祉検定」を用いて、動物の愛護及び福祉に関心のある方々に、犬猫ばかりでなく、家庭動物全般、展示動物、産業動物、実験動物、野生動物など、人が区分した利用等による法律の違いや問題点等を受け伝える。そして、一人でも多くの方が日本の現状を理解し、最終的には動物福祉士の養成により日本の動物問題の解決に携わる人材育成を目指す。
現在の小学校教育では、犬猫の飼育の在り方もカリキュラムには含まれておらず、また保護者・教員にも知識や理解が薄い状況がある。そのため総合学習の時間を用いて、1年に1度は、動物の飼育等に関する教育の時間が設けられるよう働きかける。

団体の特色

約60年前の創立当初から犬猫の殺処分を減らすための不妊去勢手術の啓発と実践。財団法人として創立者の意志を堅持し、施設を守り続けている。
真に動物を救いたい方々が集い、啓発団体において、日本で唯一、動物保護施設と動物病院を持ち60年間の運営を行っている財団法人であることは大きな特徴である。
動物を保護する場合、獣医療は必須のため、30年前から獣医師が常勤し、現在は飼育スタッフの半数がアニマルヘルステクニシャンとしても勤務できる為、保護動物の健康管理は充実。
また外来生物法制定の際に、個人において新たなアライグマの飼育禁止から一定条件の基に飼育許可が得られるようにできたことは、「害獣」として撲滅を正当化する流れにささやかだけれども問題提起をしたと言える。
救える生命は微々たるものだが、アライグマなど外来種だけでなく、害鳥と呼ばれ傷病でさえ保護機関のないカラスやドバトにもできる対応をすることで、動物生命に人が無関心にならないよう尽力。
動物関連の相談は、例年2000~3000件程度対応しており、内容によっては1時間以上の時間を要する。また、北海道から沖縄までの全国エリアから、芋虫から鯨まで様々な動物相談があるため、出来る限り適切な応対ができるよう日々勉強。
日本の動物行政は、先進国の中で非常に遅れていると言われ続けているが、そこには日本の動物愛護活動自体を個人が個々の思いで行う活動が「動物愛護活動」とされてきた点も要因の一つ。動物福祉検定は、種により異なる動物の生態や福祉の内容、様々な法律の枠組みなど、基本的な事を動物に関心のある多くの方々が学べる先駆的な事業と捉えている。

活動内容

・動物愛護法改正に向けたシンポジウムの開催及び改正後の法を読み解くシンポジウムの開催
・ノラ猫問題の解決及び地域猫活動の推進に向けたセミナー
・島嶼のノイヌノネコ問題に関するシンポジウム
・ドッグトレーニングに関するセミナー
・大学と協働したノラ猫の生息調査
・ノラ猫に関するデータ収集と分析
・今後、家庭動物の他、展示動物、産業動物、実験動物、野生動物の各ジャンにおけるセミナーの開催を予定
・施設では、常時犬15頭、猫40頭、その他(アライグマ、ハクビシン、ウサギ、ハト、カラスなど)10頭程度を保護し、年間約60匹程度を譲渡
・附属動物病院では、ノラ猫や譲渡前の一時保護をしている動物に対する診療は利益を得ない形で実施

定期イベント

犬猫の譲渡会:
月3回(定例:2017年12月より1ヵ所追加)
年3回(動物愛護週間イベント)
年1回(日本大学学園祭)
チャリティバザー:月1回(六角橋商店街内)

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