多頭飼育崩壊 広大な北海道での過酷なレスキュー
アニマル・ドネーションでは、皆様からお預かりした緊急支援基金を、10頭以上の多頭飼育崩壊レスキューに入り、5頭以上引き取られた団体様へお届けしています。
今回は、2024年6月から9月にかけて、根室管内の多頭飼育崩壊現場から33頭の猫をレスキューした『特定非営利活動法人猫と人を繋ぐツキネコ北海道』さんへ、6月30日に330,000円をお届けしました。
レスキューの詳細と基金の使い途について、代表の吉井さんにお話をうかがいました。
札幌から約430km・車で約10時間…根室管内での過酷なレスキュー
ーレスキューの依頼はどこからありましたか
「レスキューの依頼は、根室振興局・町役場の職員の方からありました。
北海道の東端、根室管内にて、飼い主の方が経済的困窮に陥り、最寄りの町役場に相談を持ちかけたことで猫の多頭飼育崩壊の事態が明らかになりました。
当初、現場確認を行った根室振興局から北海道本庁に相談をしましたが、対応は難しいとの判断で、民間団体へ相談するしかなくツキネコ北海道へ連絡があったのです」
ーレスキューの経緯を教えてください
「2024年6月26日に根室振興局の職員の方と、町役場の担当者も立ち会い、視察と今後の打ち合わせをしました。飼い主は長年にわたり、猫たちの世話を自力で続けてきましたが、住居はすでに猫たちに侵食されており、建物の天井は朽ち、猫たちは屋根裏に自由に出入りする状態でした。
それでも、飼い主は懸命に働きながら猫たちの面倒を見ており、愛情を感じる一方、年齢的にも体力的にもこれ以上の飼育継続は非常に困難であると判断せざるを得ませんでした。人馴れしている猫が多く、保護後のケアや譲渡活動を進めやすいことが幸いでした。町役場の職員の方が今後しっかり見守ってくださるとのことで、猫達の生殖制限と保護に向けて準備していくことになりました。
9月3日・4日ツキネコを臨時休業にして、大型レンタカーを借りてスタッフ6名で現地に向かいました。現地のボランティアさん達も駆けつけてくださり朽ち果てていたお部屋のお掃除を行い、改めて飼い主の方と根室振興局・町役場の職員の方と今後の打ち合わせを行いました。子猫15頭と母猫1頭を連れて9月4日に札幌へ。
その後、クリニックの先生が現地にて不妊去勢の手術やワクチン接種・健康診断を行ってくださり、9月17日に成猫17頭がツキネコに保護されました」
「健康診断・ワクチン・便検査・耳垢検査・軟便の子が数頭いたので通院し、整腸剤の処方を受けました。また、風邪治療の通院費に使わせていただきました」
眼球摘出から譲渡へ 幸せになった「いのしかちょう」
ー現在の猫たちの様子はいかがでしょうか
「今回レスキューされた33頭のうち、残念ながら4頭は虹の橋に旅立ってしまいましたが、1頭は預かりボランティアさんのお宅で、残る28頭はそれぞれに新たな生活をスタートさせ、里親さんの元で元気に暮らしております。 とりわけ印象深いのが『いのしかちょう』です。保護当初から状態が非常に悪く、眼球の摘出手術を受けることになった他、口内環境の悪化も深刻で食事をとるのもやっとという状況でした。そのため、しばらくの間は代表がつきっきりでケアを続けてきました。
体調は徐々に回復し、落ち着いて過ごせるようになりましたが、正直なところ、この子の体の状態や年齢を考えると、譲渡は難しいかもしれない…と感じていたのも事実です。
ところが、ツキネコのSNSで紹介された『いのしかちょう』を見た方が一目惚れをしてくださり、『永年預かり』というかたちで家族に迎えてくださいました。今では『とにかく可愛くて仕方がないんです』と嬉しいご報告をいただいており、穏やかで幸せな日々を過ごしています。
また、現地から引き出せていない猫に関しては行政側との連動がなかなか取れず止まっている状況ですが、飼い主さんの生活状況も厳しく、フードの支援を定期的に行いながら残った猫達のレスキューを継続していきます」

ー支援者様へのメッセージをお願いいたします
「根室管内は札幌から距離・交通事情ともに非常にアクセスが困難な場所であり(約430キロ 車で約10時間)活動には多大な移動時間・人員・資金が必要となります。一度に大量の猫を引き出すことは当団体のキャパシティを超えるため、現地や近隣のボランティア、行政の皆様と協力体制を取りながら、猫たちを少しずつ保護したいと考えております。現在も、現地で暮らす猫たちのために、猫用フードなどの物資を定期的に支援しております。引き続き、あたたかいご支援とご協力のほどよろしくお願いいたします」
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