STORY with Pet

Vo.7 オリンピック 競泳(バタフライ)メダリスト 星奈津美さん

星奈津美さん アニドネ介在犬アンバサダー

自分もこれから勉強しながら、介在犬の活動を広めていきたい。

アニドネでは、さまざまな分野の第一線で活躍されている方へ、ペットとのスペシャルな関係をインタビューさせていただいています。

 

今回は、元競泳日本代表の星奈津美さんの登場です。オリンピック3大会連続出場、2大会で銅メダル獲得という偉業を成し遂げた星さんですが、プライベートでは大の動物好き。現在も2匹のキャバリアとともに楽しいペット生活を送っていらっしゃいます。そんな星さんが、このたびアニドネの『介在犬アンバサダー』に就任しました。星さんが介在犬に興味を抱いたきっかけや、アンバサダーとして今後どんな活動をされたいのかなどを伺いました。

2023年5月取材)

 

  • PROFILE
  • 1990821日、埼玉県越谷市生まれ。春日部共栄高校、早稲田大学卒業。
  • 1歳半から水泳を始め、高校では12年生でインターハイ連覇。
  • 3年の時には日本選手権で高校新記録を出し、北京五輪代表に選出。
    16歳で患ったバセドウ病のため一時競技を離れるも、
    苦難を乗り越え2012年ロンドン・2016年リオデジャネイロオリンピックに出場し、
  • 200mバラフライで2大会連続銅メダルを獲得した。
  •  現在は、講演や水泳教室で自身の経験を伝える傍ら、
  • バセドウ病の理解を促進する活動を行うなど、活動の場を広げている。
    また、2023年より全盲のスイマーで東京パラリンピック金メダリストの
  • 木村敬一選手のフォーム指導アドバイザーも務めている。
  •  日本水泳連盟アスリート委員東洋大学 非常勤講師
  • こしがやの未来を創る魅力宣伝大使
  • 著書に『明日に向かって』(2016年月/ベースボール・マガジン社)がある。

 

―今回、アニドネの介在犬アンバサダーに就任されたきっかけを教えてください。

 

「以前から犬に関する活動について関心があり、競技を離れて心身ともに少し余裕ができたので、できれば何か犬たちのために役立つことがしたいと考えるようになりました。とはいえ、漠然と犬に関わること、と言ってもたくさんあるので、どこで何をしたらよいのか、、、。そんなときに、知人からアニドネさんのことをご紹介いただいたのです。

代表の西平さんから、犬関連の社会貢献活動にもいろいろあること、人のために何らかの役割を果たす犬がいることなど、いろいろなお話を伺ました。その中で知ったのが、裁判所や病院などで人に寄り添う『動物介在活動』の存在です。“日本での介在犬の活動を世の中に広める活動にチャレンジしてみませんか”というオファーをいただき、アンバサダーの大役をお引き受けすることにしたのです。」

 

ー介在犬アンバサダーとして、今後の抱負をお聞かせください。

 

「まずは、私自身が介在犬のことを勉強して、その活動内容と役割をよく理解したいです。そのために、トレーニングされている様子を拝見したり、実際に裁判所や病院で介在犬の活動を見学したりしたいと思っています。

そして、自分の理解を深めながら、世の中に介在犬の存在意義とその活動内容を広く知ってもらえるよう広報していければと考えています。」

 

 

星さんの言葉がわかるかのように、カメラ目線を向けてくれた愛犬たち

 そばにいるだけで、人の支えになる犬の能力に注目

盲導犬や災害救助犬、セラピードッグなど、人のために何らかの役割をもって働く犬たちのことは、ご存じの方が多いでしょう。しかし、介在犬については、その名前さえ初めて耳にする方も多いのが実情です。

 

では、介在犬とはどんな活動を行う犬たちなのでしょうか。

 

近年、海外でも日本でも、犬は人間の感情に共感する潜在能力があるという実証結果が発表されています。介在犬とは、そんな犬本来の能力をもって、人間のさまざまなケアを目的として寄り添う犬のことをいいます。先に挙げた障害をもった方の生活をサポートする盲導犬、聴導犬、介助犬たちとは違い、「寄り添う」ことで緊張を和らげたり、気持ちを落ち着けたり、安心感を与えたりする役割を担うのです。活動場所はさまざまですが、いずれも犬には決して無理をさせず、あるがままの犬の特性を生かした活動内容となります。

その一例を下記に紹介しましょう。

 

◆裁判所で証言する際に寄り添い、ストレスを和らげる(コートハウスドッグ)

◆病院内で入院患者や手術前の子供に安心感を与える(ホスピタルドッグ)

◆発達障害などで生きづらさを抱える人の心を解きほぐす

◆少年院や少女院の青年たちと触れ合うことで、彼らの成長を促す

◆子供たちが読む本を寄り添って聞くことで、子供の学力向上を促す

 

人と犬との関係が良好であれば、一緒にいることで双方に「幸せホルモン」と呼ばれるオキシトシンが分泌されると考えられています。たとえば、ある病院では、診療室に入ったとたん、緊張で泣きだしてしまった幼子が、介在犬(ホスピタルドッグ)に触れているうちに徐々に緊張がほぐれ、泣き止み、ちゃんと診察を受けられるようになったという報告も。

 

日本では、まだまだ介在犬の存在はあまり知られてなく頭数も少ないですが、病院や児童相談所、図書館などさまざまな場所で活躍が期待されています。今後、アンバサダーに就任された星さんの活動を通じて、より多くの人に犬の能力への認知と介在犬の活動意義が認知され、介在犬の活躍の場がさらに増えることが期待されます。

 

 

 犬は私を支えてくれるパートナー。これまでも、これからも

 

-小さい頃から犬を飼っていらしたそうですが、星さんにとって愛犬とはどんな存在ですか?

 

「ひとことで言うなら、私の競技人生を支えてくれたパートナーですね。

私は小学生から大学生にいたるまで、ずっと水泳中心の生活をしてきました。好きな競技とはいえ、練習はきつくて、家に帰ってきたらクタクタ。それでも、玄関を開けた途端に飛びついてくる愛犬を抱っこすると、疲れも吹っ飛ぶ感じでした。思うような練習やレースができず落ち込んだときには、私の顔を覗き込んでペロペロと舐めてくれました。きっと、愛犬なりに慰め、励ましてくれていたのだと思います。犬は、人間の感情を理解できるのですよね。私は、犬と一緒に暮らすなかでそう実感しています。」

 

 

-ご結婚された今も愛犬と一緒に暮らしておられるそうですね。愛犬を迎えたきっかけは?

 

「はい、主人も動物が大好きなので、現在、キャバリア2頭と暮らしています。最初にハル太を迎えたのは20205月、新型コロナの流行が始まり、外出自粛や講演会などの仕事のキャンセルが増え、家に引きこもる生活になって、すごく気持ちが沈んでしまったのです。そんな生活を変えたいと思ったのが、犬を迎えようとおもったきっかけです。

ハル太がうちに来てからは、家にいても笑顔が絶えなくなりましたし、朝晩の散歩で外の空気を吸い、太陽の光を浴びる生活が習慣になり、気持ちが晴れ晴れしてきました。

その後、ハル太の遊び相手をつくってあげたくて、ふゆ太を迎えました。2頭ともキャバリアですが、お兄ちゃんのハル太はすごく甘えん坊、弟のふゆ太はやんちゃ坊主で社交性旺盛とまったく違う性格で、双方の行動やしぐさを見ているだけで心が癒されます。」

 

 

-愛犬と一緒に暮らすなかで、もっと世の中がこうあったらいいなと思うがあれば、お聞かせください。

 

「海外に遠征に行った際に、電車やレストラン、駅などさまざまな場所で犬を連れた人を目にしました。今、日本でも犬を連れては入れるカフェやレストラン、犬と一緒に泊まれるホテルなども増えてきましたが、海外に比べるとまだ少ないですよね。もちろん、犬を好まない人やアレルギーの人もいらっしゃるので、一概にどこでもOKというわけにはいかないと思いますが、日本でも犬連れで外出することの理解がもう少し広まればいいと思います。そのためにも、介在犬アンバサダーとして、これから頑張っていきたいと思っています。」

 

右:ハル太くん。左:ふゆ太くん。常に星さんのことを目で追いかけていて撮影中も「大好き!」のキモチがあふれていました

 

 

これからの星奈津美さんの活躍にご期待ください。

なお、メディアからの介在犬アンバサダーや星さんの活動に関するお問い合わせはこちらからお願いいたします。

 

 

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