幸せなペットを増やそう

犬を迎える前に知ってほしい!犬と一緒に暮らすことの大変さ

SNSやインターネットで犬と暮らす人の様子を見てみると、その生活は楽しさに満ちています。愛犬と一緒に公園や海へ遊びに行く写真や、やってきたばかりの子犬がお家の中で遊ぶ動画などを見ていると、犬との暮らしがとても楽しいものに見えると思います。もちろん愛犬のいる暮らしはとても素晴らしいものですが、今回はあえて、犬を迎えることの大変さに焦点を当ててみたいと思います。

理想とのギャップが不幸な犬を増やす

犬を家族として迎え入れると、たくさんの幸せを運んできてくれるかけがえのない存在になるでしょう。犬との暮らしがとても楽しいことは、紛れもなく事実です。しかし、犬と一緒に暮らすことの大変さを理解しないまま迎えてしまうと、理想と現実のギャップに苦しむことになるかもしれません。

私は子供のころから動物が大好きで、いつか犬と一緒に暮らしたいと思っていました。長年の夢が叶って愛犬むーたんを迎えることが決まった時は、とてもワクワクしたものです。しかし、子犬と一緒に暮らすというのは、思った以上に大変なことでした。犬を迎えることの楽しみを教えてくれる情報はたくさんありましたが、犬と暮らす大変さを知る機会はなかったのです。

犬と暮らす大変さを知らずに犬を迎えてしまい、その大変さから飼育放棄をしてしまう飼い主は、残念ながら今の日本にも一定数存在します。裏を返せば、犬と暮らすことの大変さをあらかじめ理解しておけば、不幸な犬を減らすことはできると思うのです。そこでここではあえて、犬を迎えることの大変さをまとめたいと思います。

 

犬との暮らしで大変なこと

子犬を迎えた途端に激変する生活

子犬のお世話は意外と大変です。トイレの場所はなかなか覚えてくれないし、夜鳴きはするし、食事もこまめにあげなくてはなりません。言葉を使わない子犬とのコミュニケーションは慣れていないと難しい上、ワクチン接種が完了するまではお散歩にも行けないので犬友達もできず、一番不安な迎えたばかりの頃は特に、気軽に相談できる人が身近にいません。

今でこそむーたんのことが大好きな私ですが、むーたんが子犬の頃は想像以上の出来事の連続で、ややノイローゼ気味になってしまった経験があります。このことは『愛犬と暮らし始めてから、ペットショップに行けなくなったワケ』の記事でも触れているので、合わせて読んでみてください。

犬は吠える動物

犬が吠えないようにするためのトレーニングもありますが、大前提として犬は吠える動物です。絶対に吠えない犬などいません。ペットショップで「この犬種はあまり吠えないですよ。」と言われても、ある程度はその子が吠えてしまうことは想定しておくべきです。もし「ペット不可のマンションに住んでいるから吠えない犬を迎えたい。」という考えがあるなら、その考えは捨ててください。

私と一緒に暮らしているむーたんはヨークシャーテリアという犬種で、古くから愛玩犬として親しまれてきたため、狩猟犬や牧羊犬と比べると、比較的おとなしい性質だと言えます。確かにむーたんはとてもおとなしい、心穏やかな性格の持ち主ではありますが、それでもインターホンが鳴った時はものすごく吠えますし、聞き慣れない音がしたときや驚いた時なども吠えます。ごはんを食べたいのに私がいつまでも寝ていて起きない時も、大きな声で吠えて起こしにきます。

それから、ペットショップなどでよく言われる「吠えにくい犬種」「女の子はおとなしい」という説も、残念ながらあてにできません。私の実家にもヨークシャーテリアの女の子がいるのですが、その子はむーたんと同じ犬種であるにも関わらず、とても元気でよく動き、そしてよく吠えます。

もちろん、女の子の方がおとなしく、犬種によって性質が異なるという説を100%否定しているわけではありません。ただ、「日本人はまめ」「オランダ人は背が高い」というのと同じくらいの信ぴょう性だと考えておいたほうが無難です。雑な日本人や背の低いオランダ人がいるように、元気いっぱいな女の子もいれば、運動大好きな愛玩犬だっているのです。

ある程度の運動は必要

基本的に犬は運動することが好きです。我が家のおとなしいむーたんも、お家の中でボールを投げれば喜んで取りに行きますし、お散歩に行くと楽しそうに歩きます。(ちなみに子犬はいきなりお散歩に行っても歩けません。お散歩をするにはそのための練習が必要になります。)

体の小さな子でもある程度の運動は必要ですから、ゴールデンレトリーバーや柴犬のように体が大きい子や、ジャックラッセルテリアやダックスフンドのように狩猟犬として愛されてきた犬種なら、当然それなりの運動量が必要になります。運動量が足りていないとストレスがたまって、無駄吠えにつながることもあるので、子犬を迎える前に自分がきちんとお散歩時間を確保できるかどうかも考えておいた方がいいでしょう。

それから、体の小さな犬は毎日お散歩に行く必要がないので、「お散歩に行かなくていい体の小さい子が欲しい。」と考えている方もいるかもしれません。しかし、子犬の体のサイズがどうなるのかは、正直誰にもわかりません。ペットショップに行けば目安の体重が書かれていることもありますが、あれはあくまで目安です。成犬時の体重が2kg程度と予想されている子犬が、4kg以上に成長することはよくあること。人間でも平均的な身長の両親から背の高い子供が生まれることがあるように、体の小さい母犬と父犬から生まれた子犬が大きくならない保証はどこにもないのです。お散歩に行く時間が全く取れないなら、犬を迎えることは諦めた方がいいでしょう。

思い通りにはならない

犬はとても感性豊かな動物です。そして、明確な意思を持っています。飼い主の体調が悪い時でも遊びたがるし、仕事で疲れて帰ってもお散歩に行きたがります。テレビをゆっくりみたいときでも構って欲しい時はしっかりアピールしてきます。

「きちんとトレーニングして賢い子に育てれば平気。」と考える方もいるかもしれませんが、賢い犬に育てるためには、それに見合うだけの時間と労力と愛情をかけて確かな信頼関係を構築し、しっかりトレーニングをする必要があります。犬と飼い主を結ぶのは信頼関係であって、服従関係ではありません。飼い主の思い通りなる犬など絶対にいないのです。

最後に

子犬を迎えるということは、決して楽しいことばかりではありません。大変なこともあれば、思ったようにいかないこともあります。どんなに疲れていても遊んであげないといけないときはあるし、吠え声がうるさすぎて少し距離を置きたくなることもあるでしょう。

それでも、大変なことを少しずつ乗り越えていけば、愛犬はあなたにとって最高のパートナーになってくれるはずです。SNSなどで見かける幸せそうな飼い主さんたちも、みんなそうやって乗り越えてきているのです。犬を迎えることの大変さについて、一人でも多くの人に知って頂けたら嬉しいです。

 

 

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