犬嫌いな人の気持ち、きちんと理解していますか?
犬嫌いな人の気持ち、きちんと理解していますか?
2018/07/11
愛犬への愛で盲目に…
何よりも大切な存在であるむーたんが他の人に好かれているのを見ると、私たちはとても嬉しい気持ちになります。特に子犬の頃は、よちよちした歩き方で多くの人の注目を集め、いろんなところから「可愛い〜!」という声をかけてもらっていたので、むーたんのことを嫌いな人なんていない、と思い込んでいました。
お散歩中、むーたんはすれ違う人の足元に近づいて匂いを嗅ごうとします。「世の中の人は全員、子犬が大好きなはず!」と思い込んでいた私は、むーたんを制するわけでもなく、様子を見ながら好きなようにさせていました。
足元にやってきたむーたんを見て「わー、可愛いー!」と言ってくれる人がほとんどでしたが、中には「うわ!」と言って逃げる人もいました。初めのうち、私はそんな人を見て「こんな小さくて可愛い子犬に対して、なぜあんな対応をするんだろう…。」と不思議に思っていたのです。
犬が嫌いな人の気持ちを考える
▼ 慣れない大型犬の存在
私は小さな頃から犬が好きで、いつか名犬ラッシーのような大きなコリー犬と遊ぶのが夢でした。しかし、実際に一緒に暮らしたことがあるのは小型犬だけ。むーたんはヨークシャーテリアの中でも小柄な子で、体重は1.8kgしかありませんし、実家にいるヨーキーも2.5kg程度の大きさです。大型犬への憧れはあるのですが、身近な存在ではなかったのです。
ある日、むーたんと一緒にお散歩に出かけると向こうから大きなワンちゃんがやってきました。頭だけでむーたんの体以上の大きさがあります。道を右往左往するむーたんとは違い、飼い主さんのそばを離れずにまっすぐ歩いてきました。その歩き方や落ち着いた様子から、しっかりトレーニングできている子だということはわかったのですが、それでも近くにやってきて、むーたんのことをクンクンしているのを見た時、私はとても恐ろしく感じました。
もしその子に噛まれたりしたら、おそらくむーたんは即死するでしょう。向こうにとっては遊びのつもりでじゃれただけでも、むーたんが大怪我をしてしまう可能性だってあります。そう思うと怖くて怖くて、早くその子にいなくなってほしいと思いました。
▼ 大型犬の飼い主さんの気持ち
大型犬は体が大きいからこそ、小型犬以上に飼い主さんがきっちりトレーニングをして、賢い子に育てます。私がすれ違った大きなワンちゃんも、吠えたり飛びかかってきたりすることなく、とってもお利口さんでいい子でした。飼い主さんもとても優しそうな女の人で、ふたりの様子を見ているだけで、その子が飼い主さんにとってとても大切な存在であることがわかります。
そんな飼い主さんの気持ちを十分理解しているはずなのに、私はその大型犬から早く離れたいと思ってしまったのです。
▼ 犬への恐怖心が原因なことも
犬を苦手だという知り合いに、なぜ嫌いなのか尋ねると、「怖いから」と言っていました。子供の頃、大きな犬に追いかけられたことがあって、それから犬をみると身構えてしまうのだそうです。
子どもの頃から犬が大好きで、毎日むーたんと一緒に暮らしている私ですら犬を怖いと思うことがあるなら、過去に嫌な思いをしている人は、私以上に犬への恐怖心は大きいはずです。他にも、犬に噛まれたり吠えられたりした経験が犬嫌いに繋がっているケースも、きっとあるのだろうと思いました。
飼い主として気をつけるべきこと
むーたんに対してネガティブな反応をされるのはあまり気分のいいことではありませんが、相手が犬嫌いの人であれば、こちら側の対応で行動を変えられるはずです。犬嫌いな人の足元にむーたんを近づければ、嫌な顔をされるのは当然のこと。
そこで、むーたんが人の足元へ向かおうとしているときは、きちんと制止するようにしました。相手が「可愛い!」と言ってくれれば近づけるし、特に何も言われなければ、不用意に近づけないようにしました。また、人の家の玄関先やお店の前でトイレをさせないようにすることも気をつけました。
「世の中の人はみんなむーたんのことを好き!」という変な自信は捨てて、犬嫌いな人のことを意識するようになってから、むーたんに対してネガティブな反応をされることはほとんどなくなりました。
愛犬を社会的に受け入れてもらうために
飼い主としては、愛犬と一緒に出かけられるスポットが増えるのは嬉しいことです。また、犬と暮らす上で必要な設備が整っていくのも嬉しいことです。しかし、犬嫌いな人や犬アレルギーの人もたくさんいる人間社会において、愛犬にとっていい環境を整えていくためには、何よりも犬嫌いな人への配慮と彼らの理解を得ることが必要だと思うのです。
犬が身近にいる環境でも、彼らが問題なく快適に暮らすことができれば、犬へのネガティブイメージを和らげることができるでしょう。
「愛犬が大切だから。」「うちの子はおとなしいから大丈夫。」という考えでルールやマナーを破ったり、犬嫌いな人への配慮に欠けた行動をしたりしていると、いつまでも犬嫌いな人の理解を得ることはできないばかりか、飼い主に対するネガティブイメージまで膨らんでしまい、両者の溝は深くなる一方だと思うのです。
最後に
幸いなことに、現代の日本では愛犬と一緒に過ごせるスポットが少しずつ増えてきていますし、メディアやSNSなどで取り上げられる犬の話題もポジティブなものがほとんどです。今以上に犬を好きだと言ってくれる人を増やせるよう、私たち飼い主も意識して行動できたらいいですね。
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