認定団体の活動レポート

目の前の保護犬猫のためにできること~将来に向けた取り組みとともに

2022年、アニドネの認定団体となった「特定非営利活動法人 動物愛護団体LYSTA」さんは、福島県いわき市で活動する保護団体です。殺処分の多さが全国でもワースト級の福島県。多頭飼育崩壊への対応や動物愛護の勉強会の開催など、奮闘する鈴木代表に最近の活動についてお話を伺いました。

 

続く猫の多頭飼育崩壊を目の当たりにして

ー多頭飼育崩壊の現場へのレスキューの依頼は多いのでしょうか

 

「多頭飼育崩壊の相談は度々あります。毎度苦闘しながらの対応となります。今回ご紹介するのは、家で猫を飼育していたものの、不妊去勢手術しなかったため増えてしまったというケースです。家の中と外を自由に出入りできる状態であったため、近隣住民から増えすぎた猫たちが厄介者として扱われてしまっており、苦情を受けた区長さんから相談がありました。血族同士の交配でシャムネコばかり25頭の不妊去勢手術を行いました。手術費用について、地域に住まわれている方たちが募金を募ってくださいました。地域がら、現場の頭数を減らすことが急務だったため、子猫7頭は当団体で引き取ることにしました」

 

猫の多頭飼育崩壊
猫の多頭飼育崩壊からのレスキュー

 

「このような現場をなくすためには、TNRが何より重要です。LYSTAでは、獣医師を招いてシェルター内に『いわきTNR病院』を設けていて、月に1度、猫の不妊去勢手術を実施しています。

 

多頭現場や高齢者の方でご自身で連れてくることが困難な現場は、捕獲〜リリースまでをサポートもしています。交通事故や暑さ寒さなど、過酷な環境で生きていかなければいけない不幸な命を増やさないため、また保健所の収容頭数を減らすためにも、猫の不妊去勢手術をスピード感をもって進めていくことが最重要課題だと思い活動しています」

 

保健所から引き出した犬たちにも新しい家族を

ー保健所からの引き取りについて教えてください

 

「保健所からは、そのとき一番ひきとったほうがいい子を引き取るようにしています。
カラちゃんは、収容から6か月も経っていて、警戒心が強くビビリでフィラリア陽性だったこともあり、一般譲渡が難しかった子でした。
カラちゃんが遺棄されていた場所は、これまでも同じ血族のような特徴のある子が繰り返し遺棄されている場所でした。
『カラちゃん』というお名前は、イタリア語で『最愛の』という意味だそうです。ここで人とのコミュニケーションが恐くないことを知ってもらい、最愛の家族ができることを願っています」

 

保健所からの保護犬
警戒心強めのカラちゃん、「最愛の」家族を待っています

 

「テンちゃんは保健所からひきとり、新しいご家族のもとへLYSTAを卒業していった保護犬。譲渡後、目の奥が癌化してしまい、眼球摘出の手術をしていただきました。
お届けした初日から『ここはぼくの家』とくつろいで、帰る私たちを見向きしなかったテンちゃん。
おでかけがてら顔を見せに来てくれました」

 

卒業していった元保護犬
卒業生テンちゃんが遊びに来てくれました

県の動物愛護の取り組みに関心を持ってもらうため勉強会を開催

ー草の根の活動以外に行った取り組みはありますか?

 

「今年2月、福島県は、福島県動物愛護管理推進計画(改定案)について県民からパブリックコメントを募集しました。この計画は、今後10年、県の動物愛護をどう進めていくのかを左右するとても重要なものです。殺処分ワースト常連の福島県、ひとりでも多くのひとにこの問題に関心をもってほしいと、他の団体さんと共同で勉強会を開催しました。参加くださった中学生たちと課題を共有し、意見交換をしました。勉強会の中で新たな意見もいただいたので、県議会議員、議会議員の方々にもご協力をいただきながら、行政にも引き続きアプローチをしていきたいと思っています」

 

勉強会の様子
県の動物愛護計画の勉強会には中学生も参加

 

ー日ごろの活動を支えてくれているボランティアさんやスタッフさんをご紹介ください

 

「鈴木さんは、週に3回、もう8年ほどボランティアに通ってくださっています。
作業の後は必ず各部屋を回って、犬猫たちのブラッシングをしたりおやつをあげたりしてくれているので、みんな鈴木さんが大好きです」

 

ボランティアの鈴木さん
犬猫に大人気の鈴木さん

 

 

「スタッフの西山は、2011年9月にLYSTAが設立される前の、311の被災ペット仮設シェルターのボランティアで代表と出会いました。それから当団体のスタッフとなって7年間。現在では、シェルターですごす犬猫たちの体調管理や、病気を抱える犬猫への投薬は、西山がリーダーとなり行っています。

 

また、スタッフの片寄は、体力が自慢。気持ちの詰まった重い支援物資を倉庫に運ぶのに活躍します。TNRで草が生い茂った現場や山奥の現場でも、先頭に立ちズンズン進んでいき、頼もしい存在です」

 

スタッフ西山さん、片寄さん
スタッフ西山さん、片寄さん

 

 

 

ー最後に、ご支援くださる皆様にメッセージをお願いします

 

「2009年に子猫を保護したことをきっかけにこの活動に携わるようになり、2011年の震災をきっかけに団体として活動を始めました。311で生かされたこの手で救える命があるなら、喜んでこの手を差し出そうと一念発起しました。

 

現在はいわき市の『継続できる殺処分ゼロのスタートラインに立つ』ことを目指し、殺処分ワースト常連の福島県の殺処分減少に寄与できるように取り組んでいます。この活動にご支援のほどをよろしくお願いいたします」

 

LYSTAさんのもとに引き取られた犬猫たちそれぞれに、保護に至った厳しい背景があります。その子の幸せに真摯に向き合いながら、殺処分ゼロに向けて活動を続けるLYSTAさんに、ぜひ温かいご支援をお願いいたします。

 

 

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