認定団体の活動レポート

【特定非営利活動法人アルマ】はかない命と向き合う毎日 幸せな未来を願って

アルマさんは東京都葛飾区に一戸建てのシェルターを構え、犬や猫たちの短い命の「最後の砦」として保護活動を行なっています。地域猫のTNR活動も含めると、20年間に渡って動物福祉活動を継続してきた団体です。最近は行政への犬や猫の収容数は減少したものの、各地で頻発する「多頭飼育崩壊」や高齢化によって増加した「飼育放棄」の相談依頼に奮闘されています。今回は、代表の竹本さんに最近の活動についてお話を伺いました。

保護した負傷猫の医療費へ 手術を乗り越えて

ー最近、保護した犬や猫について印象に残っているお話を聞かせていただきますか?

「はい。5月に保護した負傷猫と飼い主の方が亡くなって引き取った犬のお話をお伝えします。まずは猫についてご紹介します。ある日曜日に『歩道の植え込みに入って動けなくなっている猫を見かけたが、どうしたらいいでしょうか?』と犬の散歩中に猫を見つけた方から相談がありました。あいにく日曜日は愛護センターが休日のため警察に通報しても翌日の搬送になってしまうでしょう。命に関わることなので、アルマのスタッフ1名に現場を見に行ってもらいました」

身動きが取れなくなっていた負傷猫ちゃん

 

「現場へ駆けつけてみると、その猫は前足だけでずりずりと体を引きずりながら植え込みの中へ隠れてしまったそう。なんとか捕獲をして連れ帰ってもらい、動物病院にて諸検査と治療をお願いしました。どうやら耳カットをされているので、地域猫ちゃんのようです。体重3キロのメスで推定1歳前後と診断。検査の結果は、骨盤骨折でした」

骨盤骨折していた猫の画像

「血尿が出ており、もしも膀胱が破裂していたら大変です。今回は、経過観察で膀胱の正常な機能も確認していただき、貧血の改善もみてもらいました。とはいえ、すぐに自力でごはんを食べられず、補液と強制給餌もしてもらいました。体力の回復を待って、外科手術のできる病院へ相談。事故から2週間が経過しており、骨の癒着が始まっているかもしれず、手術自体が可能なのか分かりませんでした。このままでは歩けるような回復は難しいが、まだ若い猫なのでなんとか治してあげたい。そんな思いで、なんとか今月中に手術を受けられることに。骨盤骨折の整復を施し、骨折している箇所を2枚のプレートで繋ぐ手術をしてもらいました。医療費はかかりますが、皆様からのご支援のおかげで手術を依頼することができました。いつもありがとうございます。またブログでも経過をご報告いたします」

今後も歩行回復に向けて、未来ある猫ちゃんを応援せずにはいられません。

飼い主の分も力強く生きて 高齢犬パオくんの新しい一歩へ

ー次に、飼い主が亡くなって引き取った犬の話についてもお聞かせください

「この子が2年前に引き取ったパオくんです。15歳のときからアルマへやってきて、この春17歳の誕生日を迎えました。少し後ろ足の衰えを感じるものの、まだまだ元気に生活できています」

現在17歳のパオくん 優しい表情に癒やされます

「引取り時から右前足に腫瘤があり、昨年秋も病院で簡単な細胞診検査をしてもらってました。結果は非上皮性細胞との所見。ところが最近、腫瘤が以前より大きくなってきた気がしたので、診察を受けました。実際は5ミリ腫瘤が大きくなったようですが、直近で見るともっと大きくなったように思えます」

 

病理検査のために細胞を採取後、止血用の圧着包帯を巻いています

 

「腫瘤を小さくする手術には麻酔をかけられるだけの体力がいります。現在のパオくんは心肥大と気管支が一部細くなっている為、心臓の薬と気管支拡張剤を服用中です。体力的に手術が可能なのか、全身チェックをしてもらいました。血液検査の結果は優等生とのこと!17歳にして肝臓も腎臓も正常値で安心しました」

 

手術を受けられるか診察結果を待つパオくん ハアハアと緊張している様子

ーその後、パオくんの具合はいかがですか?

「残念ながら病理検査の結果、腫瘤は『血管周皮腫』という低悪性度の腫瘍でした。遠隔転移する確率は低く、小さくする手術は出血や浸潤の原因になり、細胞が増殖する可能性もあることから手術をしないことになりました。また完全切除の場合は手術を2回に分けることも検討され、皮膚移植も必要になるうえに麻酔下の手術を複数回行うことは心臓疾患のある犬には負担が大きくなる心配もありました。

腫瘍の成長を見ると、2年間で緩やかに大きくなっており、普通に歩けている様子から犬自身に大きな痛みや苦痛はないと思われます。万が一、自壊や出血があっても死に至るようなことはなく、出血や自壊の手当をしてあげればよいとのこと。皮膚は伸びるので、もしかしたら寿命までこのままで行けるかもしれないとの診断でした。そのような理由から今回は手術の負担の方が大きいと判断しました。これからも経過を診てもらいます」

匂いを嗅ぐのが大好きなパオくん

 

猫とも仲良くできる穏やかな性格です

飼い主が亡くなられてから、縁あってアルマのシェルターで余生を過ごすパオくん。これ以上腫瘤が大きくならずに穏やかな毎日を送られるよう見守っております。そして、パオくんはやさしい性格でシェルターにいる他の犬とも仲良く過ごせるけれど、とても気をつかってしまうそう。どうかパオくんがまたゆっくりと一人でお昼寝ができるようなやさしいご家族に出会えますように。

ー最後にアニドネ支援者様へメッセージをお願いいたします。

「いつもあたたかい応援をありがとうございます。今回も皆様からご支援いただいたおかげで、アルマに縁のあった子たちへ手術や検査を受けさせる選択ができました。これからも『諦めない精神』で保護活動を継続してまいりますので、引き続きお力添えのほどお願い申し上げます」

アルマさんは、ブログでも活動報告を更新されています。基本的に毎週日曜日はオープンシェルターも行なってますので、新しい家族のお迎えを考えている方は、ぜひチェックしてみてください。

これからもアルマさんの活動へのあたたかいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

*********************************

「特定非営利活動法人アルマさんへのご紹介ページはこちらからご覧いただけます。

 

※掲載の文章・写真はアニマル・ドネーションが許可を得て掲載しております。無断転載はお控えください。

*********************************