【新潟動物ネットワーク】猫の相談対応773件!忘れられないレスキュー
「新潟動物ネットワーク」さん(以下NDNさん)は、主に新潟県内で、保護・譲渡、TNR、学校訪問、イベント開催など、各班に分かれてさまざまな活動に取り組まれています。シェルターや保護施設は保有せず、代表の岡田 朋子さんをはじめスタッフさんや預かりボランティアさんが、レスキューした猫を中心に一時預かりしています。
今回ご紹介するのは、さまざまな班のなかでも「猫班」での活動です。一般の方から相談を受け、ともに問題解決に取り組まれています。昨年は、なんと773件の猫相談に対応!そのうち、多頭飼育崩壊が35件もありました。
数多くの問題に対応されているNDNさんでは、「のら猫不妊・去勢手術助成金制度」を設けており、その制度を活用して多頭飼育崩壊の対応やTNRのお手伝いをされています。また、月3回の譲渡会だけでなく、町内会や行政と連携して地域猫活動も行われています。
代表の岡田さんにお話を伺いました。
キャリーケースの中で育った子猫たちをレスキュー
ー数多くの猫相談のなかで、思い出深いレスキューがあればお話をお聞かせください。
「2022年5月初めに、『猫がたくさんいるお家がある、子猫もいるようだ』と相談がありました。NDNのスタッフが相談者さんと一緒に様子を見に行くと、家の中に成猫が2頭(父猫・母猫)、300gほどの乳飲み子猫が6頭。そして、その家の飼い主が『他にもいる』と連れてきたのは、1個のキャリーケースに3頭一緒に入っている、生後半年ほどの子猫たちでした。ぎゅうぎゅうに入れられた子猫たち・・・。驚くことに『兄妹3頭、このキャリーケースで飼っている』というではありませんか!」
ー全部で11頭もの猫を多頭飼育しているだけでなく、キャリーケースの狭い中でも飼われていたのですね・・・。
「緊急性を感じたため、まずは父猫以外の10頭を翌日に保護し、母猫とキャリーケースの中の子猫3頭は不妊去勢手術をしました。そして、10頭はそれぞれNDNのスタッフや預かりボランティアさんで保護しました。猫に執着する飼い主に配慮し、父猫は残念ながらレスキューできませんでしたが、不妊去勢手術を施すことができ家の中へ戻すことに。
さらに、外で餌やりをしている猫が4頭いました。しかし不妊去勢手術はどの子にもしておらず、このままではすぐにまた猫が増えるのは目に見えておりましたので、外の猫4頭にも手術をしました。その後4頭すべてリリースする予定でしたが、その内の1頭を『どうしても家の中に入れたい』との飼い主の要望で、やむなく飼い主の家へ。残りの3頭はリリースできました」
ー猫をレスキューするだけでなく、飼い主が納得するように進めることも大切ですね。
「外が幸せなわけではありませんが、飼い主の猫に対する執着は異常で、家の中の猫を『閉所に閉じ込める』危険性があるため、本当は中には入れたくなかったのです。しかし完全に手放してしまうと、また他から猫を持ち込んだり増やす恐れがあることから、成猫2頭は飼い主の元に戻し、見守りを行うこととしました」
心を閉ざした子猫たちの奇跡のような出会い
ーキャリーケースの中にいた子猫たちはその後いかがでしょうか?
「キャリーケースで育った3頭は特殊な生い立ちのため、最初はなかなか心を開いてくれませんでした。ところが、理解のある里親さんと出会い、3頭一緒に譲渡が決定!『全部ひっくるめて受け入れます』と、ありがたい言葉をいただき、猫たちにとって素晴らしい環境を整えて愛情深く迎えてくださいました。
『キキョウちゃん』『モモちゃん』『ハナナちゃん』という可愛らしい名前をつけていただき、今ではのびのびと暮らしています。
多頭飼育崩壊は、通常の猫相談と比べると猫の状態が悪いことが多々あり、さらに頭数が多いために望むようなゴールにたどり着けないこともあります。不幸な現場を見るたびに辛い思いをすることがありますが、その先にある幸せな暮らしを見ると、また頑張ろうという気持ちになります」
保健所に収容される前に「できること」から
ー以前、NDNさんのモットーは「その時に“必要”な問題に対して、できることを行うこと」とお伺いしました。現在の主な活動について教えていただけますか?
「活動をスタートした当初は、保健所や動物保護管理センターから犬や猫を引きだし、保護・譲渡することがメインでした。今は『センターに収容されないための活動』にシフトしています。『猫を拾った』『餌やりしていたら増えてしまった』『近所から苦情が来た』など、一般の方から日々寄せられる相談はさまざま。時には行政と連携しながら、センターに猫が収容されないよう、未然に防止するような活動を行っています」
2022年は厳しい寒さや大雪だけでなく、夏に大雨の被害もあった新潟県。それでも年間773件もの猫相談だけでなく、幅広い活動をされているNDNさんに、アニドネも気が引き締まる想いです。
今後とも、新潟動物ネットワークさんへのご支援をよろしくお願いいたします。
いつもご支援いただき、ありがとうございます。
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