認定団体の活動レポート

【特定非営利活動法人 動物愛護団体LYSTA】殺処分ゼロへ向けて、新シェルター稼働!

2022年、アニドネの認定団体となった「特定非営利活動法人 動物愛護団体LYSTA」さんは、福島県いわき市で活動する保護団体です。殺処分の多さが全国でもワースト級の福島県。いわき市の殺処分ゼロの達成を通して、県全体に保護活動文化を広げていきたいと、奮闘する鈴木代表に最近の活動についてお話を伺いました。 

 

待望の新シェルター完成で新たなスタート

ー新シェルターについてお聞かせください

 

「旧シェルターは川に隣接した敷地に位置し、たびたび浸水被害にあいました。また犬猫たちが過ごすコンテナハウスは敷地内に点在していたため、ボランティアの方の効率的なお世話に支障がありました。水害から犬猫たちを守るため、11年間活動拠点としてきた旧シェルターからの移転を2年ほど前から検討し始めました。 

新シェルターは元介護施設を改装しました。2022年5月に改装工事がスタート、いったん完成後も、工事のやり直しや追加リフォームの必要が生じました。スタッフやボランティアさんの助けを借りて、ニス塗や照明の取り付けなど自分たちでできる作業を進めました。さまざまな困難を乗り越え、2022年11月、ついに待望の新施設が完成しました。旧シェルターからの100頭の犬猫の大移動も無事完了しております。室内ドッグランのような広いスペースでは、犬たちがのびのびと過ごしています。7つの部屋は、それぞれ猫たちのお部屋となります。 

里親様の元へ卒業していく子はもちろん、生涯LYSTAの保護っことして過ごすことになるとしても、ここで充実した日々を過ごさせてあげたい。スタッフやボランティアさんたちも水害の心配のない場所で効率を上げて活動することができます。この新たな地で、継続できるいわき市の殺処分ゼロを目指します」 

 

 

ー保護猫ふれあいサロンOhanaと新シェルターそれぞれの活動について教えてください

 

「JR湯本駅のすぐそばで運営している保護猫ふれあいサロンOhanaは、殺処分やTNR活動などをもっとたくさんの方に知っていただくことと、保護猫を里親さんにつなぐ機会を増やすために2017年にオープンしました。ここでは、40匹以上の猫がご縁を待っています。 

Ohanaと同様に、新シェルターでもふれあい活動をスタートするべく準備を開始します。また、Ohanaでは手狭であった不妊去勢手術は新シェルターにて行っていきます」

 

増やさない努力~TNR活動と多頭崩壊「予備軍」への啓発活動 

ー昨年のTNR活動について教えてください

 

「2015年から月に1回獣医師を招いて、地域猫の不妊去勢手術を行っています。 

手術の頭数は増加傾向で、ひと月で150頭以上の手術を実施することも多くなってきました。2022年の手術件数は1271件にのぼりました。所有者のいない猫、及び多頭飼育崩壊・崩壊予備軍の不妊去勢手術をスピード感をもって進めていくことが、殺処分ゼロへの近道との考えに立ち、地域のTNRを推進しています」 

 

 

 

ー多頭飼育崩壊の現場にも入られたそうですが、保護の経緯などお聞かせください

 

「LYSTAでは、昨年、高齢者の多頭飼育崩壊の現場から猫を21頭保護しました。ヘルパーの介護施設からのご相談で、ご高齢の姉妹で住んでいるご家庭で猫が増えてしまい、幾度となくゴミの処分や猫の手術、これ以上猫を増やさないことなどお話してきたにもかかわらず、改善されることがなかったということでした。早急に不妊去勢手術を施すため現地確認をしましたが、手術をしても猫たちを戻せる環境でないと判断し、全頭引き取りを申し出ました。飼い主様は手放したくないとのことで交渉は難航しましたが、猫たちには施設に会いに来れるからと説得して受け入れてもらいました。

高齢者とペットの問題は社会問題であると思っています。 多頭崩壊『予備軍』のうちに、かかわったケアマネージャーや支援センターの方から相談いただくことで、どうにもならない状態に至ることを防げる可能性があります。福祉関係の方にも、高齢者とペットの問題を周知していく必要があると感じます。今後、啓発活動として検討しているテーマの一つです」 

 

幸せをつかんだ保護犬猫たちと今後について

ー LYSTAさんから卒業した犬や猫についてご紹介いただけますか?

 

「まずはサンタくんと日和ちゃんをご紹介します。保健所からひきとりのサンタくんの里親様が、放浪していたところを保護した日和ちゃんも迎えてくださいました。2頭はそれぞれ保護した地域が近接しているうえ、顔も似ていることから、兄妹なのではないかと思います 」

 サンタ君と日和ちゃん

 

 

「みーちゃんは保健所に保護された猫でした。シニア猫で、保護当時ノミよけの首輪をしていたことから飼い猫もしくはお世話されていた猫だったと思われます。シニア猫は、子猫と違って譲渡が難しく、ほとんど里親さんが決まることがありません。そんなみーちゃんを快く引き受けてくださったのは、懇意にしているボランティア団体の代表のご友人でした。猫の飼育経験や知識があり、ボランティア精神旺盛な方です。里親様は高齢者であるため、別のボランティア仲間の方が後見人になられての譲渡となりました。飼育環境の向上によって犬猫の寿命が延びた昨今、高齢者への譲渡は、飼い主さんと犬猫の年齢のバランスが重要と考えます」 

 

 みーちゃんと里親様

 

 

「カール君は、福島原発事故から避難された方の仮設住宅に、犬とともに残されていました。住人の方は犬猫を置き去りにして引っ越ししてしまったとのことで、仮設住宅の近くの会社から相談があり、保護しました。 

 警戒区域内は、もともと不妊去勢手術や室内飼育が根付いておらず、その感覚で仮設住宅でも猫を増やし、震災から3~5年が経った頃に、置き去りにして新天地に引っ越してしまうケースが多くありました。また警戒区域で保護された犬に関しても、フィラリア予防がされておらず、フィラリア陽性の子がとても多かったです。 

その後、犬は里親が決まりましたが、カール君はシェルターでのんびり過ごしながらずっとの家族を待っています」 

 

お耳がかわいいカール君

 

 

ー最後に、今後について一言お聞かせください

 

「テレビ番組などでもたびたび取り上げられ、世間の保護犬猫への認知度が上がってきています。しかしながら、殺処分の多い福島県では、適正飼育の知識がないままだったり、保護犬猫を迎えることがまだまだ根付いていなかったり、譲渡会を開催しても来場者が1家族ということもあります。 

それでも、保護猫ふれあいサロンOhanaをとおして、一部の方たちの保護犬猫への意識や知識が徐々に変わってきていると感じています。これからもやれることからこつこつと頑張ってまいります」 

 

 

 

お近くにお住まいの方、近くまでお越しの機会がある方、ぜひ一度、保護猫ふれあいサロン、もしくは新シェルターへお立ち寄りください。また、定期開催の譲渡会についてはHPでご確認いただけます。

http://lysta.org/

 

今後ともLYSTAさんのご支援をどうぞよろしくお願い致します。

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