認定団体の活動レポート

【社会福祉法人 日本介助犬協会】介助犬を楽しく学ぶ見学会

社会福祉法人 日本介助犬協会さんでは、愛知県長久手市にある介助犬総合訓練センター『シンシアの丘』で、定期的に見学会を開催されています。(新型コロナウイルス感染拡大状況をみながら、オンラインと併用の場合あり)介助犬について楽しく学べる見学会に参加してきましたので、その内容をレポートいたします。

 

介助犬を間近で見て学べる見学会

『シンシアの丘見学会』にはお子さん連れのご家族、ご夫婦、お一人でなど様々な方が参加されており、受付でまったりマイペースにお出迎えしてくれる犬たちに皆様さっそく癒やされていました。見学会では最初に介助犬の歴史、現状や課題、犬の育成・訓練などについてリアルなお話を聞くことができます。

 

ⓒ社会福祉法人 日本介助犬協会

 

介助犬とは、手や足に障がいのある方の日常生活の動作をお手伝いする犬です。ケープを着たらお仕事というわけではなく、障がい者の方が必要だと思ったタイミングがお仕事のときなので、犬が作業自体を楽しめる、人と一緒に作業をすることが好き、と思える訓練方法を用いているそう。犬が楽しみながら「遊びの延長」で動作を覚えられるように、そして決して無理をさせることなく、それぞれの個性を最大限に活かしてトレーニングしていることを知りました。

なぜ介助をするのが「犬」である必要があるのか?というお話もとても印象的でした。障がいのある方は何か頼みたいことがあるとき、やはりご家族であっても「こんなことで呼んでもいいかな…」と躊躇してしまったり諦めてしまったりすることも多いのだそうです。しかし、介助犬は「介助をしている」という意識はなく、落とした物を拾って渡したり、携帯電話を探して持っていったりすることは「遊びの延長」で、とても楽しそうにお手伝いしてくれるので、使用者さんは気兼ねなくお願いができるそう。

また基本的に介助犬の毎日のお世話は使用者さんが行うのですが、日々のお世話で使用者さんの生活リズムが整い張り合いも出てくることで、どんどん元気になっていく方も多いそうです。

 

ⓒ社会福祉法人 日本介助犬協会

介助犬と暮らすことでの安心感

今回はオンラインでしたが、介助犬使用者さんの貴重なお話も聞けました。

「介助犬と生活する前は近所へ買い物に行く目標くらいしか持てなかったが、一緒に暮らすようになって一人(と一頭)で買い物や旅行など様々な場所へ出かけたり、新たにチャレンジしたいことが出てきたりしました」

 

介助犬の普段のお手伝いの様子がわかる動画もありました。介助犬は、使用者さんの障がいの状態や生活のニーズに合わせてオーダーメイドでトレーニングされていますが、どんな作業も介助をしているというより遊んでいるつもりで、いつもお手伝いを心待ちにしているような顔で寄り添ってくれているそうです。

とくに印象的だったのは「介助犬が何でもできるわけではないけれど、犬がいるだけで街でいろいろな人が声をかけてくれて、何かあれば助けてもらえるかもしれないと思えるようになり、外出がしやすくなった」というお話。一人で外出することへの不安が減り、行きたいところに行きたいときに出かけられるということが、使用者さんにとっていかに大切なことか。そして介助犬がいつもそばにいてくれるということが、何よりも使用者さんの心の支えになっていると感じました。

 

※介助犬を街で見かけた際はお仕事中なので、触らず、声をかけず「やさしい無視」で心の中での応援をお願いいたします。もし介助犬使用者さんが困っている様子を見かけたときは、「何かお手伝いしましょうか?」などと積極的にお声がけください!

犬もトレーナーさんも楽しみながら訓練を

介助犬がどのように介助作業をしているのか、デモンストレーションでも見られました。「褒めることがとても大切なので、上手にできたときは大きな拍手をください!」とトレーナーさん。拍手が物足りないと不満げな顔をするとのことで、見ているこちらも何となく妙な気合いが入ります。

 

ⓒ社会福祉法人 日本介助犬協会

 

落とした物を拾うというのは介助犬の代表的なお仕事ですが、物を落としても合図があるまで取りにはいきません。薬など口に入れると危険な物の場合もあるので、しっかりと合図を待つのだそう。上手にできたときに全力で拍手を送ると、とても嬉しそうで微笑ましいドヤ顔を見ることができました。尻尾をブンブンふりながら本当に楽しそうに活き活きとお仕事をしているんだなと感じます。

 

ⓒ社会福祉法人 日本介助犬協会

 

靴や靴下を脱がせて、靴下を洗濯かごに入れるという介助作業もありました。見事なお仕事ぶりに、思わず「すごい!!」と歓声をあげるお子さんも。微笑ましい光景に会場が和み、見ている誰もが笑顔になります。

見学会では施設の内覧として、トレーニング室、犬舎、宿泊型訓練室などを見て回れます。トレーニング室では犬とトレーナーさんの普段の様子も垣間見れ、ふと疑問に思ったことにも気軽に答えていただけました。

 

ーどんな性格の子が介助犬に向いているのでしょうか?

「あまり真面目すぎず、オンオフの切り替えがない子の方が向いています」との意外なお答えも。

トレーナーさんと全力で遊び、私たち見学者にも目をキラキラさせながら近づいてあいさつしてくれる楽しそうな姿がとても印象的でした。

まずは「知る」ということの大切さ

身体障害者補助犬法が制定されてから今年で20年。障がい者が盲導犬、介助犬、聴導犬とともに社会参加することを拒んではならないとする法律ですが、補助犬と同様にまだまだ認知度が低いのが現状で、施設等に入るときに同伴拒否されてしまうこともしばしばあるそうです。今回様々なお話を聞いた中でとても印象的だったのは、施設側の同伴拒否の多くは「知らない」ことが原因であるということ。決して嫌で拒んでいるわけではなく、「法律を知らない」「受け入れ方を知らない」というのが理由なのだそうです。まずは生の声を聞き、自分の目で見て感じ取り、「正しく知る」ということが大切なのではないでしょうか。

 

介助を必要としている人に寄り添い、犬たちに深い愛情を注ぎ続け、一人でも多くの人に介助犬のことを知ってもらいたいと願う人たち。そして、楽しいことを求めて人に寄り添い、元気や勇気を与えて前向きな気持ちにさせてくれる犬たちの素晴らしさ。日本介助犬協会さんのモットーである「人にも動物にもやさしく楽しい社会をめざして」を体感できる見学会であり、改めて私たちが何かしらのカタチで支援できる場があることに感謝したいと思える時間でした。介助犬の認知・理解がもっと広まり、1組でも多くの介助犬ペアが幸せに暮らせることを願っています。

 

ⓒ社会福祉法人 日本介助犬協会

 

ⓒ社会福祉法人 日本介助犬協会

 

お近くにお住いの方、近くまでお越しの機会がある方、是非一度見学会にご参加ください!

https://s-dog.jp/activities

日本介助犬協会さんへのご支援をどうぞ宜しくお願い致します。

 

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