【人と動物の会 人と動物の未来センター・アミティエ】動物福祉の追求、それは動物のためだけでなく、人のためにも
月1度行われる譲渡会などのイベント「アミティエフェスタ」が開催された7月10日、施設を訪問してきました。米子自動車道湯原インターを降りて車を走らせること30分、山を抜けると、ぽつぽつとある住宅と、緑に覆われた農業・酪農地帯が見えてきます。その自然豊かな小高い丘に、アミティエさんの施設はありました。
当日は、所長である獣医師の高島一昭さんにご案内いただき、詳しくお話を伺うことができました。
「動物愛護活動」の場である「アミティエ」
「人と動物の会」は、獣医師である山根義久氏が立ち上げた公益財団法人「動物臨床医学研究所」内に、2011年に発足しました。そしてアミティエさんは、この財団が直接的に動物愛護活動を行うために開設された施設で、主として鳥取県・市の保健所からの犬・猫の受け入れと里親さんへの譲渡や普及活動を行っています。
アミティエさんが大切にしていること
「動物福祉」への強い思い
みなさんもご存じのように、動物には5つの自由が保障されなければならないことが提唱されています。アミティエさんでは、これら5つの自由を遵守するため、食事と健康の徹底管理、犬猫それぞれに適した飼育環境の整備にとても力を入れています。獣医師の介在はもちろんのこと、検疫室、隔離室もあり、全頭に病気の検査と治療を行い、また去勢不妊手術も全頭に行っているのです。病気の犬猫たちもしっかりと管理されています。
犬舎
1頭、1頭に十分なスペース。中にはクレートもあり、同時にクレートトレーニングも行っているそうです。
新猫舎
2021年9月にクラウドファンディングで新設した猫舎。猫の特性にあわせ、高さがあります。
壁面にはキャットウォーク。天井もぐるっと一周まわれます。
猫舎
こちらの猫舎も、中に自然の木が配置され、猫たちが登ったり降りたり、楽しんでいます。
ドッグ・ラン
もともとあった950㎡のドッグランに加えて400㎡のドッグランをクラウドファンディングで新設。他の犬が苦手なわんちゃんも、運動やトレーニングを心おきなく行えるようになりました。
365日、譲渡会
動物への負担を最小限にするため、アミティエさんでは譲渡会は他会場で行わず、希望者には保護犬・猫が暮らすアミティエさんの施設まで足を運んでもらうそうです。月1回、定期的にイベントを行いつつも、毎日休まずに施設をオープンして里親希望者を受け入れています。来場者も保護犬・猫たちの「いつもの様子」が見られるのは、大きなメリットでしょう。来場者が気軽にアクセスできる、そんな開かれた場づくりを目指しているそうです。
地域社会とのつながりを大切にしながら「動物愛護」を普及
アミティエさんがひと味違う点は、地域社会とのつながりをとても大切にしていること。鳥取県および鳥取市と提携し、鳥取県動物愛護センターとしても機能していることもその1つでしょう。地域の方への動物愛護の普及、施設と地域の共存はもとより、地域への貢献までも視野にいれているのです。まさに「動物と人との共存」を見据えた活動ではないでしょうか。
1)さまざまなイベントの開催
譲渡条件ともなる譲渡講習会だけでなく、犬のしつけ方教室も行うフェスタやチャリティコンサート、わんわん運動会などを開催し、地域の動物好きのみなさんとの交流を深めています。
◆5月に実施されたわんわん運動会
コロナ禍のため、安全対策をしっかりとって縮小した形での実施となりましたが、たくさんのわんちゃんと飼い主さんが参加しました。
◆チャリティコンサート
多くの人にアミティエの存在を知ってもらうため、コンサートを開催しています。今年は7月3日に市のホールで開催、ちびっこバイオリニストも登場しました。
◆創立8周年記念動物愛護フェスティバル
昨年9月の動物愛護週間に行った、年1度の大きなフェスティバル。定番の犬のしつけ方教室、公開セミナーのほか、運動会や写真コンテスト、ブースも出店して盛り上がりました。なんとSTU48のメンバーも地域応援として参加してくれました。
2)こども図書館
今年の4月には、「子ども図書館」が敷地内に開設しました。動物の保護施設にどうして図書館が?と思われるかもしれませんが、これも動物愛護の普及と地域貢献の一環とのこと。コロナ禍で外出の機会が減った子供たちに、動物と一緒に遊んだり、本を読んだり、ゆっくり過ごせる場所を提供することで、動物への愛護精神を学び、豊かな心を育む願いを込めてつくられました。開設に当たっては、6000冊を超える本が全国各地から寄贈されたそうです。
図書館は、フローリングの素敵な空間でゆったりくつろげます。奥には、クジラの骨格標本も!
そのほか、アミティエさんの施設自体が災害時の緊急避難所になっていたり、また、犯罪を犯して保護観察中の方の受け入れといった社会活動も行ったりしているとのお話も伺えました。
高島所長がお話の終盤で語ってくださった、「犬好きの人がふつうに犬を飼う、猫好きの人がふつうに猫を飼う、そんな世の中にしたいのです」という言葉が印象的でした。この言葉は額面通りではなく、人々が動物福祉を正しく理解したうえではじめて成り立つ「人と動物が幸せに共存できる世界」のことをおっしゃっているのだと思います。目の前の動物たちの保護はもちろんですが、動物愛護の普及という大きな視点に立って、動物だけのためではなく、人にも優しい世界を築くことを目指す、そんな活動をされている方々なのだと感じました。
*********************************
★「人と動物の会 人と動物の未来センター アミティエ」さんのご紹介ページはこちらからご覧いただけます。
※掲載の文章・写真はアニマル・ドネーションが許可を得て掲載しております。無断転載はお控えください。
*********************************