猫を預かる仕組みとは?永年預り制度

アニドネ認定団体の「NPO法人猫と人を繋ぐツキネコ北海道」には猫の「永年預り制度」という仕組みがあります。
言葉だけを聞くと「?どうゆうこと?」と一瞬考えてしまうこの制度。
アニドネスタッフがその仕組みの詳細を根掘り葉掘りお聞きしました。
答えてくださったのは、ツキネコ代表の吉井美穂子さんです。

利用者の声から始まった制度でした

ーきっかけを教えてください。
「もう6~7年ほど前になるかと思います。そのころで60代後半くらいの女性が『猫をレンタルしてほしい』を保護猫カフェにいらしたんです。もちろんレンタルなんてとんでもない、と最初は思いましたよ。しかしじっくりお話を聞くと、ご自身の生活環境をよくよく考えてのご要望だったんです。
ご主人に先立たれ、子供たちは万が一を考えたとき猫を引き取ることは反対している、そんな状況だけれどもどうしても猫と暮らしたい、であれば自分に何かあった際には頼れる場所が欲しいということだったんです。
その後、猫を預かっていただくことのなるのですが、その女性自身も大変元気になられました。猫と暮らすことで生活に潤いと活気が出たんですよね。」

 

ー制度の内容を教えてください。
「猫と暮らしたい高齢の方が対象です。預かっていただくために、猫飼育に必要なものは、すべてツキネコで用意します。猫砂だけは、ご自身で買っていただいております。フードや医療費もツキネコ負担であることをお伝えします。
しかし、実は医療費を請求する方はとても少なくて、、。預かってくださる方々は、ツキネコの保護活動のこともよくご存知の方なので、請求はされないことが多いのです。みなさん、当然猫好きな方々なので所有権はツキネコにある猫だけれども、ご自身の愛猫として暮らしてくださいます。自分の猫は万が一なにかあったときにツキネコが面倒をみてくれる、その安心がある制度が永年預り制度、というふうに考えてくださっているようです。」

 

150名の預りさん。拡大中です

ー現在はどのような方が参加してますか?
「ここ1年でメディアで取り上げられたり、百貨店でのイベントの際にチラシ配布をしていることもあり、150名くらいに増えております。最初はシニア猫のみの預りをお願いしていたのですが、現在は猫が苦手な若い猫やウィルスを保持している猫などの飼育をお願いをしています。預かってくださる方は、時間にも生活にも余裕がある方が多いですね。ですので猫と向き合い暮らしを楽しんでおられますよ。」

 

ー預かる猫は選べないのはなぜですか?
「まったく選べないわけではないんですよ。ある程度の中から選んでもらっています。といいますのが、預かってくださる高齢の方々も70歳でも大変若い方もいます。そんな方は、元気な猫を複数預かっても大丈夫です。同じ70歳でもゆったりとしたシニア猫を暮らすほうが向いている方も多々おられます。ですので、みなさまとじっくり話をして向いている猫をご提案するようにしています。
実は制度のスタート時はシニア猫ばかりを預かってもらっていたのですが、預かった途端に亡くなってしまうことがありました。それは預かった方も悲しいだけで、、。ですので、最近は猫の年齢は問わず、にしています。」

 

ー預りから戻ってきた猫は何匹ですか?
「実は、1匹のみ、です。この方は男性の方でしたが、ご自身が入院されることになってお返ししたいと来られました。退院したのち、また来られましたが、猫と暮らせなくて寂しい、と泣いておられました。」

 

ーなにかトラブルはありましたか?
「猫を飼育した経験がない方もいます。そんな方は猫がいかにすばしっこいかわからなくて家から逃がしてしまった、ということもありました。そんなときは、ツキネコスタッフが出動して捜索したこともあります(見つかりました)。お預けした責任はツキネコにあるので、私たちも全力でフォローをしています。」

みなが幸せになるよう概念を変えたい

ー保護活動をしている団体さんへメッセージがあれば
「ツキネコのようにシェルターがある団体さんであれば同じことができると思います。保護活動をしているとキャパシティが重要です。ツキネコとしては預かってくださる方がシェルター外にいることでレスキューする頭数が増えます。札幌の中央区で運営しているのでスペースの問題で保護頭数は限られます。ですが、まだまだレスキューすべき猫は北海道には多くいます。
そして、預かってくださる方も半ば諦めていた猫との暮らしが実現します。基本的には長く預かってくださいます。そして猫も施設で多数と暮らすとストレスを感じます。自分のペースでゆったり暮らせる場所があるに越したことはないんです。ですから、保護活動をしているみなが行えばいいのに、と思っているんですよ。」

 

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お話を聞いてのアニドネスタッフの感想です。
過去海外の保護施設で聞いた話です。自分が飼育できなくて犬を連れてきた男性に保護施設のスタッフは「ありがとう」と言いました。高齢になり、散歩もつらいようだったら犬にとってはあまりよくない、勇気をもってつらい決断してくれてありがとう、という言葉でした。そして、あなたよりももっといい飼い主を探すから安心して、とのメッセージも。

日本人の感覚からすると、違和感を感じるかもしれません。

もちろん、人も猫も犬もずっと健康でどちらか先に旅立っても大丈夫な環境が整えられていることがベストでしょう。

ただ、それが出来なかったときに犬猫たちを救える仕組みはもっとあってもいい、と思いました。

吉井さんは「私達は飼育希望者を年齢や性別、居住環境で判断することはしないようにしています。その個人個人とじっくり話をして決めます。もっとフラットに考えたいんですよね。循環する仕組みを作りたいんです。」とおっしゃっていたことが印象に残っています。

賛否両論あるかもしれませんが、保護のひとつのカタチである、と感じました。