熊本市動物愛護センター【前編:施設紹介】
アニマル・ドネーションでは、
行政施設への取材を積極的に行っています。
行政の施設というのは、
いわゆる「保健所」や「動物愛護センター」と
呼ばれている施設です。
都道府県や市町村の予算によって運営管理されています。
少し前までは、動物を引き取り処分する場であった行政の施設が、
ここ数年の間に徐々に「新しい飼い主を探す場」に変わってきました。
ペットは家族、という風潮と共に、
処分することが解決策ではないと
行政全体で考えていく流れが出来てきたのでしょう。
今回は、そんな行政の中でも全国から注目されている
「熊本市動物愛護センター」をレポートします。
偉業は本となり出版され、さまざま方面から
ノウハウを知りたいと年に50ものセミナーや
講演依頼があるとか。。。
その根底にあるものとは?
今回の前編では、施設紹介を主体として
ご紹介いたします。
後編は、取り組んでいる具体事例を紹介する予定です。
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「熊本市動物愛護センター」 取材/2013.4
【施設概要】
敷地面積:10,729㎡
建物:管理事務所、収容施設
スタッフ数:23名(うち9名が獣医師)
収容数:犬50匹、子犬10頭、成猫30匹が収容可能
今回は、所長の村上睦子さん(獣医師)と
職員の後藤隆一郎さん(獣医師)にお話をお聞きしました。
所長の村上睦子さん。昨年2012年から所長になられました。「自ら希望してこちらの職場に参りました。処分ゼロをかかげ、活気のある職場で働きたいと強く思いまして。前任者の功績をストップすることのないようがんばっております。」
後藤隆一郎さん。「私も希望してこちらで勤務をしております。動物が好きな人もキライな人もいるとは思いますが、どちらの方も豊かな気持ちで暮らせる社会を作りたい、と思っております。」
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【 1 】「施設の概要についてお聞かせください」
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「はい、昭和45年に作られた施設でして、
今いらっしゃる事務所と、向かい側にある収容施設のみ、です。
近年、ありがたいことにたくさんの方が見学をしたいと来訪されますが
みなさん『え、これだけ!?』といった感じで驚かれます。
多分、アニマル・ドネーションさんが今まで取材された行政施設の中で
一番狭くて古い施設だと思いますよ(笑)。」
着いた時には、この収容施設の柵にずらりとワンちゃんたちが
つながれていました。日向ぼっこタイムだったそうです。
職員さんたちの手作りでしょう。幸せそうなワンちゃんや飼い主さんたちの様子が写真となって貼られています。
こちらは、倉庫の場所に作られた猫舎。猫ちゃんのお家は職員さんの手作りだとか!『来年には猫舎を新築することがなんです!』と職員の後藤さんは嬉しそうにおっしゃっていました。
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【 2 】「全国から注目されています。なぜでしょうか」
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「そうですね。前所長の時代となりますが、
平成21年度に殺処分数を犬1頭、猫6頭とすることができました。
その後も、感染などのやむおえないケース以外は
処分は行わず、できる限り里親さんを探しています。
結果、大変低い数字で推移しています。
その取り組みは、10年以上をかけ職員ひとりひとりの
努力から成功したと言えるのですが、
そういった実績は他の行政にはないから、だと思います。」
取材日も里親希望だと思われる家族がワンちゃんたちを見ていました。中型犬以上のミックス犬が多くいて、それぞれ個性的なかわいい犬達でした。
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【 3 】「どうしてそのようなことが出来たのでしょうか」
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「ご存じのとおり、行政の愛護センターには
獣医師が多数勤務しております。私共の施設もそうです。
仕事とはいえ、仕方ないとはいえ、動物が好きで獣医を目指したのに
処分するようなことは、とても耐えられるものでは
ありません。
その正直な気持ちに向き合い、できる限りの
チャレンジをしてきたからだと思っています。
平成14年に「殺処分ゼロ」を目標としてかかげました。
そのために安易な犬猫の引き取りを断るということから始めました。
飼い主さんへ『なぜ飼うことができないのか』ということを
徹底的に聞くことから始めました。
もちろん、言い合いのようになることも多々ありましたよ。
ですが、根気強く説得することは諦めませんでした。
その後、こういった行政の姿勢に対し賛同し、
なにか協力できませんか?と言ってくださる
市民の方の協力活動が始まりました。
これが、なにより大きなことでした。
処分をせねばならない行政に対して責めるのではなく
一緒に解決に向かって動いてくれる、とうのは
心強くうれしかったですね。
『動物愛護推進協議会』という組織も立ちあがり、
啓発を主体に活動をしてくださっています。
また仔猫たちの哺乳に必要な物品の寄付や里親探しなどの
犬猫好きボランティアさんには日々本当に助けていただいております。
『殺処分ゼロ』という明確な目標は
官民の垣根なく行動できる指針となったんです。」
過去使用されていた殺処分機。全国の施設での稼働がとまることを望みます。
使用されなくなった殺処分機の前は物置きの場所に。ボランティアさんから寄せられた毛布です。
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今回のレポートは長くなりましたので、
2回に分けてお届けします。
意外と便利な場所にあった熊本市動物愛護センター。
(インターからすぐでした)
もともとは辺鄙な場所だったとのことですが、周りが栄えてきたそうです。
どうしても、こういった施設はひと目のつかない場所に、、という
ことが多くなっておりますが、市民からのアクセスがいいのは
とてもいいことだと思いました。
そして、その開放的な雰囲気は
働いている職員さんにも、収容されている動物たちにも
感じることができました。
活気あふれる事務所、そして動物たちもおびえる雰囲気はなく
とてもフレンドリーで元気にお出迎えしてくれました。
性格の合う猫ちゃんは同じケージに入っていました。そして、高低差を付けたり毛布を敷くなど過ごしやすいように工夫されていました。
しっぽをブンブン降っていました。早く新しい家族が見つかるといいね!
後編では、より具体的な施策をご紹介させていただきたいと思います。
お楽しみに!