Vol.11 保護猫写真家 三𠮷 良典さん
偶然の出会いから始まった、保護猫写真家への道
アニドネでは、さまざまな分野の第一線で活躍する方へペットとのスペシャルな関係をインタビューしています。
今回お話を伺ったのは、保護猫写真家の三𠮷 良典さんです。三𠮷さんは『こねこと暮らす 保護猫チャリティーカレンダー』(山と溪谷社刊)を出版されており、その売上の3%をアニドネに寄付していただいています。保護猫写真家として活躍するかたわら、猫の保護活動も続けられている三𠮷さんに、活動のきっかけや夢について伺いました。(2025年8月取材)
-保護猫写真家になったきっかけを教えてください。
「約8年前、母と訪れたフリーマーケットで偶然出会った保護猫のブースがきっかけです。最初は販売かと思い驚いたのですが、実際は猫を譲渡していたのです。そこで子猫の写真を撮らせてもらい見せたところ、『カワイイ!』『ステキ!!』ととても喜ばれ、実際に譲渡へのスピードが早くなったのです。さらに、その写真を自分のSNSに投稿したら『めちゃカワイイ!』と大きな反響があり、フォロワーもどんどん増えていきました。自分の写真で保護活動に貢献できると気づき、本格的に保護猫の撮影を始めました」
-ミルクボランティアなど、猫の保護活動もされているんですよね?
「はい。ミルクボランティアもやっています。3時間ごとの授乳は大変ですが、小さな命が懸命に生きようとする姿をそばで感じられる、とても貴重な体験です。今は母や仲間のサポートを受けながら、離乳後の子猫を中心に預かっています。
保護活動を続けているのは、どの子もかけがえのない存在だからです。新しい家族が見つかり、幸せに暮らす姿を見ると「やっていてよかった」と心から思います。そして何より、写真を撮らせてもらうだけでなく、自分自身が保護活動をするからこそ、猫たちの本当の姿を写せるのではないかと考えています。写真家としての活動と保護活動は、僕にとって切り離せないものなんです」
写真は猫と人をつなぐ大切な架け橋
-山と溪谷社から『こねこと暮らす 保護猫チャリティーカレンダー』を出版されていますが、経緯を教えてください。
「インスタに投稿していた猫の写真を見て、「山と溪谷社」さんから声をかけていただいたのが始まりです。まさか自分の写真がカレンダーになるなんて思ってもいなかったので、本当に驚きました。さらに「売上の一部を寄付できないか」と相談したところでアニドネに出会い、この形が実現しました。
10月に発売予定の2026年版で4冊目になりますが、ありがたいことに毎年とても好評です。フォロワーの皆さんが「写真を見て癒されるだけじゃなく、少しでも力になりたい」と買ってくださる。その想いにどれだけ励まされているかわかりません。カレンダーは写真を届ける手段であると同時に、猫たちと人をつなぐ大切な架け橋になっていると感じています」
-4回の出版で、変わってきたことは?
「カレンダー自体は、毎回同じように可愛い保護猫たちの写真を載せています。そこは変わらないのですが、周りの状況はずいぶん変わってきました。保護猫に関心を持つ人が増え、「保護猫を迎えたい」という声をいただくことも多くなりました。カレンダーをきっかけに活動を知ってくださる方や、応援してくださる方が年々広がっているのを感じています」
-保護猫を迎え入れたこともあるんですよね?
「はい。茶トラの雌『ちゃちゃ』です。最初は譲渡の予定だったのですが、いろいろな事情が重なり、気付けばうちにずっといることになりました。
保護してから一年近く一緒に過ごす中で、すっかり家族のような存在になっていて、手放すことはできませんでした。朝は布団まで起こしに来てくれたり、そっと隣に座ってくれたり。けれど、ほかの保護猫がいると甘えるのを我慢してしまうこともあって、その健気さに胸が締めつけられます。今では『ちゃちゃはうちに来るべくして来てくれたんだ』と感じています。保護猫活動をしているからこそ出会えた、かけがえのない家族です」
-今後の目標はありますか?
「地元滋賀県の琵琶湖畔に保護施設を作るのが夢です。湖を眺めながら猫たちが安心して暮らせる場所をつくりたい。カレンダーや写真活動を通じて、その夢に少しずつ近づきたいと思っています」
※掲載の文章・写真は公益社団法人アニマル・ドネーションが許可を得て掲載しております。無断転載はお控えください。