STORY with Pet

Vol.10  俳優 川上麻衣子さん

愛猫も保護猫も、すべての猫のために

アニドネでは、さまざまな分野の第一線で活躍する方へペットとのスペシャルな関係をインタビューしています。

今回お話を伺ったのは、5月24日(金)公開の映画『三日月とネコ』に友情出演されている俳優の川上麻衣子さん。川上さんは「人と猫との心地よい暮らしを提案する」をテーマにアカデミーや譲渡会を開催する「ねこと今日(neko to kyo)」 など猫の活動も行っています。

今回は、映画『三日月とネコ』や川上さんの猫の活動についてお伺いしました。​​ 

PROFILE

1966年、スウェーデン・ストックホルム生まれ。14歳で芸能界デビュー。テレビドラマ「3年B組金八先生」(TBS)第2シリーズで生徒役を演じ、注目される。数々の映画・ドラマ・舞台で俳優として活躍する他、ガラス工芸作家活動やスウェーデンの小物を扱うショップSWEDEN GRACEを経営。2018年、一般社団法人「ねこと今日」を立ち上げ、猫に関する情報発信やセミナー活動等を行っている。

猫と暮らすことの魅力が詰まっている映画

ー映画『三日月とネコ』にご出演されることになったきっかけを教えてください。

映画に関わっていたペット業界の方から私にぴったりの役があるとお声掛けいただいたのがきっかけです。以前私の猫の活動にも力を貸していただいたこともあり、思い出していただいたのだと思います。

 

ー撮影現場はいかがでしたか?

私は保護猫団体の代表役で、主人公の3人が譲渡会で保護猫の譲渡を受けるシーンに出演しています。実際に譲渡会をされている会場をお借りしての撮影だったので、撮影の合間にボランティアさんに保護猫活動の話をお聞きしたり、とても充実した撮影でした。本物の現場でリアリティのある撮影ができたのはよかったと思います。

猫の映画はよくありますが、譲渡会のシステムまでを伝えられる映画ってなかなかないんですよね。譲渡会がどういうものか知らない方も多いと思うので、今回の映画のように猫を飼いたい人に向けての知識や人と猫との関わりを描いて取り上げてくださるのは嬉しいですね。

©2024映画「三日月とネコ」製作委員会 ©ウオズミアミ/集英社

※映画『三日月とネコ』公式サイト ​​​​​​​​https://mikazuki-movie.com/

世界中で猫を飼う人同士コミュニケーションが取れる街に

ー川上さんご自身が活動されている「ねこと今日(neko to kyo)」についてお聞きかせください。

2018年に猫と今一緒に暮らすという<今日>と、東京から発信しましょうというのを合わせまして「ねこと今日」= という一般社団法人を立ち上げました。

谷中(東京)でSWEDEN GRACEというスウェーデン暮らしのデザインを中心としたセレクトショップをオープンしたのですが、このエリアは猫好きの方が多いせいか、保護猫の譲渡会をやりたいとか色々な方からご相談を受けることがあって、(猫のために)何かできたらいいなとスタッフとも話していたのです。

「ねこと今日」では、谷中を拠点に”人と猫との心地よい暮らし”を提案することをテーマにセミナーや譲渡会などの活動を行っています。

初めて譲渡会を開催する際、私たちの借りているマンションに飲食店が20店舗ぐらい入っていたので、全ての飲食店に署名をお願いしたら全員の方が賛同してくださいました。猫に理解のある人が多く、谷中に来て本当に良かったと思いました。

🐱SWEDEN GRACEの店内では、川上さんが描いた素敵なNYANAKAのネコたちのアートも販売してます🐱


ー「ねこと今日(neko to kyo)」の活動の1つ、Webサイト「にゃなかタウン」についても教えてください。

「にゃなかタウン」とは、WEB上に人と猫が幸せに暮らす架空の街です。また日本中、世界中の猫好きの方と繋がれる場です。犬を飼っている人同士はお散歩時などに情報交換できますが、猫を飼っている人同士で情報交換をできる場がないと思ったのが開設のきっかけです

 

ー確かに猫の飼い主さん同士でつながる機会はなかなかないですね。

そういった情報交換がないと、意外と病気につながることもあるんです。「にゃなかタウン」には獣医師さんもいて、本当の街みたいに市役所も学校も病院もあって、猫に関係する人がコミュニケーションを取れる場所なのです。セカンドオピニオン的に活用される方も多いです。獣医師さんとゆっくり話すことってなかなかできないので、病気じゃない時にもインターネット上で話を聞くことができるのは心強いのではと思っています。

あとは、猫楽塾という災害時の対応などを楽しく学ぶ塾もあります。ペット専門の救急救命士さんを呼んで心臓マッサージの練習をしました。人間のマッサージとは全然違うので、ペット専用のぬいぐるみを使ってやるのですが、とても好評でした

 

ー何かあった時のためにも猫に関わる人とつながっておくと安心ですね。

医療が発展したことで、病気になった時に安楽死をするかどうか等、飼い主が考えなければいけない選択肢が増えます。日本では死生観についてまだ自分の意見をオープンにしづらく、自分で決めなければいけない最期の段階でも獣医師さん頼りになることが多いと思います。私も、最初愛猫の死の間際を経験した時はそうだったのですが、自分で選択できなかったことにモヤモヤして、死生観について考えるようになりました。

「にゃなかタウン」では、ペットロスになった方に対して話を聞いてくれるグリーフケアの先生にも入っていただいています。今後もそういった先生にご協力頂きながら一緒に飼い主さんと死生観について考えていければと思っています。
人が幸せでなければ猫を幸せにすることは出来ません。また猫のことを勉強することによって人を知るきっかけにもなる。猫から学ぶことはまだまだたくさんあると思っています。

 

人と猫の共生を目指して


ー今後活動でやっていきたいことや目標はありますか?

最初はエンジニアの方に教えていただきながらサイト上で「にゃなかタウン」の街を動かすことに必死でした。現在は、なんとか動かせるようになってきたので、企業さんとのコラボレーションなど、もっとできることを増やしてこの街を大きくしていきたいです。あと、「にゃなかタウン」に登録する猫ちゃんが増えて欲しいですね。登録した猫ちゃんは<マイニャンバーカード>を有料で作ることができます。マイニャンバーカードには何かあった時に飼い主さんの連絡先を書いておくことが出来るスペースがあります。今後このカードに病歴などのデータを入れることができれば理想ですが、チップを入れるのがなかなか進まないので難しいですね。

 

ー川上さんが猫と暮らし始めたきっかけは?

元々は犬を飼いたいと思っていたのですが、一人暮らしじゃ厳しいなと思いまして。最初にヒマラヤンのフワフワの猫ちゃんに一目惚れしたのがきっかけです。7年間はその子だけを飼っていたのですが、溺愛しすぎて死ぬことを考えると泣いてしまうことがありまして。周りの人からもう何匹か飼ったら気が楽になるんじゃないかと勧められて、もう1匹飼ったんです。

 

ー2匹目を迎えて何か変わりましたか?

まず猫が変わりました。先住猫が母親のように新しく来た子を可愛がっていて、それを見たら愛しくて気持ちが楽になりました。それまでは猫1匹と人間1人との関係性だったので、猫と猫同士の関係性が生まれたことによって、猫と人間という境目ができたように思います。3匹になった時にはバランスが凄く良くて、高齢の子が亡くなったらまた1匹飼うことにしてずっと3匹いる状態です。でも、私も高齢になった時に猫を看取る体力を考えると辛いので、今後どうするかは検討中です。

ー確かに高齢になって猫を飼うのはためらいますね。

これは夢なのですが、老人向けのシェアハウスで年配の方たちはそれぞれ部屋を持って、シェアスペースには猫がいっぱいいて、猫たちと戯れることができる。そんなところがあればといいなと思っています。

 

ー最後に、川上さんにとって猫ってどんな存在ですか?

猫って、“気配”みたいな存在なのですよね。命があって、その魂の光がそこにあって、目には見えないけれど、魂で繋がっていて、自分と同調してくれるエネルギーみたいな感覚、それがすごく好きです。私にとって物凄く大事な存在です。

       

※一般社団法人 ねこと今日 https://neko-to-kyo.com/

 

※掲載の文章・写真は公益社団法人アニマル・ドネーションが許可を得て掲載しております。無断転載はお控えください。