Heart to Heart Story 【特定非営利活動法人ファミーユ】
看取りまで行う老犬老猫シェルター
特定非営利活動法人ファミーユ 代表理事 熊崎純子さんにお話を伺いました
愛知県名古屋市を中心に保護活動を行なっている特定非営利活動法人ファミーユでは、譲渡対象になりにくい老犬老猫のシェルターを運営し、名古屋市を6年間犬の殺処分ゼロに導いています。
「『ファミーユ』はフランス語で『家族』という意味です。犬猫も大切な家族の一員と考えて、私たちは引き取り手のない老犬老猫を終生飼育するシェルターを立ち上げました。『殺処分ゼロ』が合言葉のように使われていますが、自治体から譲渡対象にならない犬猫を保護しないとそれは実現できません。2021年からは猫白血病ウイルス感染症(FeLV)の猫も受け入れています。
今、シェルターと看取りボランティアの家で暮らしている犬猫は合計17頭いて、そのうちの5頭が心疾患を抱えています。雅彦(トイ・プードル/15歳)は三尖弁閉鎖不全症と僧帽弁閉鎖不全症、セイラ(猫/7歳)は肺動脈弁下狭窄症。ピーチ(チワワ/15歳)は慢性腎臓病と僧帽弁閉鎖不全症、ピント(ミニチュア・ダックスフンド/17歳)は心肥大と不整脈と診断されています」
「優作(チワワ/8歳)はまだ若いのに、僧帽弁閉鎖不全症で心肥大が進んでしまいました」
「この犬猫たちは心疾患を抱えていても投薬で長生きできるようになりました。軽度の状態なら治療で譲渡可能になることもあります。サポートくださる動物病院のお陰で活動は継続できていますが、それでも毎月の医療費は多いときで50万円を超えることも少なくありません。シニアになると心疾患をはじめ複数の病気を抱えるので、Heart to Heartキャンペーンによる治療費のご支援はすごく助かります。
じつは老犬老猫シェルターを立ち上げるときに、スタッフ全員で話し合って『高度治療はせず、痛みや苦しみをやわらげる緩和治療で楽に逝かせてあげよう』と決めました。でも命を前にするとそう簡単には割り切れないんですね。『奇跡が起きるかもしれない』と望みをかけてしまう。もしかしたら苦痛を長引かせることになっているのかもしれませんが多くの犬猫を見送ってきても、何が良いのか答えが出ません」
「シェルターで看取るつもりだったシニア犬猫を家族に迎えたいと希望する方もいます。『自分もシニアだから穏やかに暮らしたい』という60歳すぎの方が多いですね。シェルターの様子をSNSなどで見ているうちに愛情が湧いてきて、引き取りを申し出てくださいます」
「老犬老猫はのんびりしていてかわいいんですよ。彼らに適切な医療を行なったうえで、これからも穏やかな時間を積み重ねていきたいと思います」
特定非営利活動法人ファミーユ https://www.npo-famille.org
※掲載の文章・写真はアニマル・ドネーションが許可を得て掲載しております。無断転載はお控えください。