北海道全域の犬猫のために!イベントや多頭飼育崩壊のレスキューに奮闘
2023年12月に新たにアニドネ認定団体となり、北海道で保護活動・啓発活動に奮闘されている「認定特定非営利活動法人 HOKKAIDOしっぽの会」さん。人と動物が共生する幸せな社会を目指し、北海道全域からの犬猫を保護・譲渡しておられます。そんなしっぽの会代表の上杉さんに、日々の活動の様子や多頭飼育崩壊からレスキューした際のお話を伺いました。
「私たちにできること2024Summer」開催!
2024年6月15日(土)、16日(日)の2日間、札幌市駅前通地下歩行空間で「私たちにできること2024Summer」が開催されました。
イベントでは「卒業わんにゃんフォトコンテスト」を開催、卒業犬猫のお写真を3部門で展示、2日間の展示期間中にご来場された方に投票いただきました。
会場には一般のご来場者や飼い主さんが大勢お見えになられ、「可愛い~」という声が飛び交っていたようです!
フォトコンテストで賑わう会場の様子
投票方法は、卒業わんにゃんの中で一番気に入った写真に、シールを貼っていくという方法です。
代表の上杉さんは、「このイベントを通じて、保護犬猫への理解や命の尊さを感じていただけると嬉しいです」とコメント。
なお、応募いただいた全てのお写真は、当会の来年のカレンダーに掲載予定とのことです。
入賞した卒業わんにゃんのお写真
無くならない多頭飼育崩壊現場へのレスキュー
日々のお世話やイベント活動の他、しっぽの会さんでは多頭飼育崩壊へのレスキューに取り組むこともあります。
2024年2月、千歳市内で犬の多頭飼育崩壊が発生し、石狩振興局と愛護団体と協働で取り組むことになりました。この案件は、10年ほど前には廃業した繁殖業者が飼育している犬をこれ以上世話が出来ないと振興局に相談したのが始まりでした。
―実際の現場はどのような状態でしたか?
「多頭飼育崩壊現場は、強烈なアンモニア臭が鼻を突き、犬たちもケージに閉じ込められたままのため体は糞尿で汚れ、悪臭が染み込んでいます。そのうえ満足な食事も与えられておらず、完全にネグレクト状態、動物虐待でした。荒れた室内には、年老いた犬を中心に大型犬4頭と小型犬の純血種25頭が。繁殖に使われていた犬や若い犬も数頭いました。中でも、衰弱の激しい犬を最優先に引き取りました」
ケージに入ったままで生きてきた犬たち
ー引き取った犬の様子を教えてください。
<推定8~10歳のラブラドールのオス ピュア>
ガリガリにやせ細り、歩くのもやっとでフラフラ。口の中いっぱいにメラノーマと思われる腫瘍ができていました。また、右足が腫れて出血し、DIC(播種性血管内凝固症候群)が発症していました。
<推定8~10歳のミニチュアダックスのメス チョコ>
首とお腹とお尻に腫瘍があり、お腹には複数の乳腺腫瘍がありました。歯石も酷く、右上の歯茎に穴が開いていたので、避妊手術時に一緒に口のケアもすることになりました。
<推定8~10歳のダックス クッキー>
目は真っ白で見えてません。病院で健康診断を行いましたが、歯石が酷くグラグラの歯が何本かあり4本抜歯し、残りの歯は4本になってしまいました。また外耳炎もあり洗浄をしていくことになり、乳腺腫瘍は避妊手術の時に一緒に手術しました。
<推定8~10歳のメスのチワワ レート>
元気がなく、呼吸が変で苦しいのか歩きませんでした。しばらくご飯も食べていないようで胃も腸も空っぽの状態。肺の圧迫や、気管支が狭くなっているかで、肺の炎症等も考えられました。入院して酸素室に入り点滴と抗生剤の投与を行いました。心雑音が酷く肥大が確認されたので心臓薬を飲み、抗生剤も続けることになり、気管支の狭窄等が原因で苦しいと思われるためCT検査等行いました。チワワのレートちゃん
レスキューした保護犬の成長
レスキューされたチワワのレート。現在は譲渡され、「アイナ」として里親さんのもとで暮らしています。そんなアイナちゃんの様子について、里親さんの声をご紹介します。
「アイナがきて3ヶ月になります。感情や情動が『無』だったアイナですが、食べたいという『生理的欲求』や、家族のそばにいたいという『愛の欲求』を見せるようになり、感情の動きが出てきました。先住犬2匹の動きのそばに寄ってこようとする姿が見られ、アイナなりに群れという意識がで来ているのだと思います。目はぼんやりとしか見えてはいないようで、全く違う方向を見たり、私たちの顔の前に接近する距離感となったりしますが、それも含めて笑いとなり、とても可愛がっています。
両膝蓋骨脱臼グレード4は変わりません。自宅のドッグランを歩かせたり、室内を歩くうちに歩行自体に慣れてきたようです。また心雑音は大きいですが、当初の処方の心臓治療薬を継続で問題なく経過しています。ハンデを背負いながらも一生懸命に走り回る姿を、今では微笑ましく感じるようになりました。健気に生きようとする姿は、私たち夫婦にとっても希望の光となっています。これまでの推定10年間の悪い記憶をここから先で上書きできるよう、残りの犬生は幸せな日々を送ってもらいたいと考えています」
先住犬2匹(左)とアイナ(旧レート)
最後に、多頭飼育崩壊について代表の上杉さんに伺いました。
「国民の動物愛護の意識が多少なりとも向上し、昔より多いというよりは表面化するようになってきたのだと思います。安易に動物が入手できる状況も良くないですよね。愛護団体はより適正な譲渡をすることや、猫を屋内外自由に出入りさせている飼い主には指導を行い、愛護法でも義務化してほしいと思います。
いつも思いますが、繁殖業を営まれている方々にとって動物は命ある価値ある商品であったはずです。また、犬たちがいたからこそ商売が出来て、生活できたのではないでしょうか。もっともっと動物たちを愛し感謝すべきです。
今年になって当会が引き取りした犬たちは、遺棄疑いや虐待の案件が多く、人間の身勝手さには正直憤り悲しくなることばかりです。どうしたら、小さな命を慈しみ大切にする社会になるのでしょうか。罰則を厳しくすれば無くなるのか。罰則はあった方が良いですが、人の心が豊かになるのは幼いころからの教育と環境だと思います」
なかなか無くならない多頭飼育崩壊。しっぽの会さんは、なんとしてもそれらの犬猫を助けようとしています。根本的なところから解決していく必要があると同時に、保護団体さんの力が犬猫には必要です。北海道のどんな犬猫も救うべく活動し続ける「認定特定非営利活動法人HOKKAIDOしっぽの会」さんに今後もご支援をお願いいたします!
*********************************
◆「しっぽの会」さんのご紹介ページはこちらからご覧いただけます。
※掲載の文章・写真はアニマル・ドネーションが許可を得て掲載しております。無断転載はお控えください。
*********************************