保護猫たちの未来をつなぐ地域支援~動物福祉を繋ぐ優しい輪を広げたい~
埼玉県八潮市を中心に活動する「特定非営利活動法人 ねこひげハウス」さんは、交通事故や虐待、地域で暮らせなくなった猫たちの保護活動や、シニア・傷病猫の終生飼育支援に力を入れています。
行政や他団体と連携しながら、毎月2回の譲渡会や24時間体制の医療ケア、サポートを行っており、現在40人ほどのボランティアさんが空いている時間のなかで、それぞれの得意分野を活かしながら保護活動に携わっています。
譲渡会で感じた動物福祉への意識の高まり
ねこひげハウスさんは、他団体と合同で毎月2回、保護猫の譲渡会を開催しています。今回は、つくばエクスプレス八潮駅から徒歩2分の株式会社シバ工芸店舗前で行われた譲渡会の様子を取材させていただきました。
約2年前、コロナ禍の影響で通常の譲渡会を開催していた商業施設が使用できなくなったことから、シバ工芸さんのご厚意で店舗前をお借りし現在に至るそうです。定期的に譲渡会を開くことで、地域住民の方々とも密な交流をはかっておられます。
取材時は5月下旬で、気温も高めでしたが、保護猫たちが安心して過ごせるように、ケージには布カバーがかけられていました。(※夏季期間は暑さ対策が難しいことから中止し、天候によっては猫の参加を控えることもあり)
この日は成猫を中心に7匹程度の保護猫が参加。多頭飼育崩壊で取り残されたり、TNRでは暮らせなくなった保護猫たち、預かりボランティアさん宅で暮らす保護猫の姿もありました。
この時期は今春に保護した子猫たちがまだワクチン接種が終わっていないため、参加できる猫の数も少なめでした。それでも入れ替わり立ち替わりお客さんは途切れず、幅広い年代の方が訪れて、スタッフさんとともに思い思いの会話が楽しく飛び交っていました。
隣りのブースでは、ボランティアスタッフさんによる手作りのチャリティー品や支援企業さんによるチャリティグッズもたくさん販売されています。なかにはチャリティー品だけ購入しにきた方や、寄付金だけ納めに訪れた男性も。
また、この日は可愛い手作りテディベアの縫いぐるみをチャリティー品として持ってきた地域住民の方や、自宅用に購入したキャットタワーを飼い猫が使用しないためお譲りしたいと来られた方もいらっしゃいました。
代表の石川さんいわく、「こうやって陰ながら保護活動を支援してくださる方には感謝しかありません。とても励みになります。このような優しい輪がもっともっと広がるように、すぐに譲渡に繋がらなくても、地域の動物福祉への意識の底上げになっていくよう今後ともがんばっていきたい」と熱く語っていらっしゃいます。
今回取材してみて感じたのは、譲渡会は保護猫の里親を探す場だけでなく、地域住民の方から届く保護猫に関する相談や情報提供等、動物福祉を考える交流の場としての役割を果たしていること。また、ねこひげハウスさんの保護活動が地域のなかでしっかり根差していることが分かりました。
特に印象的だったのが、小学生の男の子2人がふらりと自転車に乗ってきて、保護猫を見たりお喋りしたりして楽しんでいたことです。
譲渡会の風景や保護猫たちの存在がごく当たり前に受け入れられている雰囲気がして、とても温かい気持ちになりました。
ともに生きた証:るりちゃんの尊厳ある最期
エイズキャリアで重度の鼻腔狭窄のあったシニア猫るりちゃんは 継続的な医療ケアが必要な状態でしたが、あえてそのような子をと、里親のS様によって迎えられました。
るりちゃんはその後、鼻腔腺がんが見つかりましたが、S様は治療方法について相談しながら、るりちゃんが最期まで尊厳をもって生活できることを一番に考え、緩和ケアを選択されました。
半年後、るりちゃんはS様のお膝の上で苦しむことなく旅立ちました。
「私とるりが共に生きた証であり何物にも代えることはできない。お母さんになれて本当に幸せでした。ありがとうという感謝の言葉しかありません」
最期の時までるりちゃんに愛情をたくさん与えてくださったS様には感謝の気持ちでいっぱいです。
交通事故で大怪我をした銀次郎くんの奇跡
今年2月、交通事故で背骨骨折という大怪我をした銀次郎くん。緊急手術により命は助けられましたが、下半身麻痺のため歩くことも自分で排泄することもできなくなりました。
毎日数度の排泄ケアが必要でしたが、リハビリの成果により前脚の力をつけていき、自分で移動できるまで回復しました。
大きな銀次郎くんですが、お部屋の猫ちゃんとも仲良く穏やかに過ごしています。
動物福祉の理念に基づき、終生飼養を可能にするシェルターと24時間体制の医療ケア体制を整えるねこひげハウスさん。
譲渡が難しいシニア猫や傷病猫を保護し、愛情を込めて医療ケアを行っている姿には感銘を受けます。
今後も地域に根差した保護活動を継続していくため、多くの人に団体の活動を知っていただき、ご寄付・ご支援など様々な方法でご協力いただければ幸いです。
ねこひげハウスさんの活動を通して、保護猫たちが幸せな未来を手にすることを心より願っています。
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