犬を通じた体験授業「こども笑顔のラインプロジェクト」見学レポート

アニドネへさまざまなカタチで支援をいただいている企業であるマース ジャパン リミテッドが協賛している「こども笑顔のラインプロジェクト」。文部科学省と環境省が後援する全国の国公私立小学校1〜2年生対象のカリキュラムとして、犬との触れ合いを通じた体験授業を実施しています(主催:一般社団法人マナーニ)。今回アニドネで、授業の様子を見学させていただきました。

 

まずは犬のことを知ろう

 

見学に伺ったのは、大田区立中萩中小学校。

体育館に1年生1クラス分の生徒さんが入ってきました。

 

児童は基本的には全員参加で、アレルギーをもった子や犬への恐怖心がある子には、十分注意を払いながら犬と接していきます。事前に保護者の方へアンケートを取り、アレルギー児童は赤帽子、犬に恐怖心のある児童は白帽子をかぶり、スタッフがすぐに適切なサポートをできるようして授業に参加します。

 

 

犬が登場する前に、講師の方からの説明が始まります。

 

「犬と仲良くなるためには犬をよく知ることが大事です」

 

まずは犬の目線を体験してみることに。

すると、講師が大きな手のパネルを子どもたちの上で仰ぎました。

「びっくりした!」「大きい!」「怖い!」

 

「この手は犬から見た人間の手と同じ大きさなんだよ。犬に触れ合うときは、そっと撫でてあげようね」

 

犬の目線を身をもって体感することによって、犬の気持ちに寄り添って行動することを覚えます。

犬の笑った表情や不安な表情の写真。犬にも感情にあった表情があることを知ります。

 

犬への理解を深めたところで、犬との3つのお約束を伝えます。

「大きな声を出さない、急に触らない、急に走らない」

みんなお約束は守れるかな?

元気よく返事をする子どもたち。

いよいよ犬とのご対面です。子どもたちは今か今かと待っている様子。

 

犬と触れ合って仲良くなろう

 

ハンドラーに導かれ、大型犬から超小型犬まで6匹の犬が登場しました。

それぞれ1匹ずつ自己紹介と特技を披露し、個性豊かな犬たちにみんな興味津々。

この授業は、地域の飼い主と愛犬が地元の子どもの教育関わることで地域の安全や飼育者のリテラシー、犬の社会的価値の向上を目指しています。そのため活動にはセラピー犬などではなく、学校教育に必要なトレーニング受けた一般家庭の犬と飼い主が参加しています。

 

ここからは、1匹につき5〜6人のグループに分かれて、犬と触れ合います。

 

まずは、犬とご挨拶。講師とのお約束通り、手をそっと差し出します。

 

犬は嗅覚が優れているため、匂いをかいで挨拶。手をグーにしてそっと犬の鼻の前に差し出します。
アレルギー児童も、適切なケアをすることで安心して触れ合うことができます。

 

続いて犬の体を観察。目、鼻、手足をじっくり観察します。

「人間と同じところ、違うところはどこかな?」

ハンドラーが問いかけをして、子どもたちは見たり触ったりして確かめます。

「犬の鼻ってぬれているんだ」「こんなにふわふわしているんだ」

実際触れるからこそ気づく発見がたくさんありました。

 

犬のことを観察したあとは、どうしたらもっと仲良くなれるかを考えて触れ合います。

特技のハイタッチ、どうしたらできるかな。試行錯誤しながらコミュニケーションをとります。

体験授業の振り返り

 

犬との触れ合いの時間はこれで終了。

「え、もう終わり?」「まだ遊びたい!」

犬とすっかり仲良くなった子どもたちは寂しがっている様子。

 

 

最後に振り返りをします。

「犬に触ったとき、どんな気持ちだった?」

「言葉が通じないのにどうして仲良くなれるんだろうね?」

 

講師からの問いに、子どもたちは感じたことを次々にあげていきました。

 

さらに人と犬との違いを教えてくれました。

進む速度の違う時計2つを使って、視覚的に犬と人との時間経過の違いを理解します。

人の時計に比べると、犬の時計の針はとても早く進みます。

犬の寿命は人より短いので、人と同じ時間を過ごしていても、犬にはとても早く感じてしまうそう。

犬と過ごす時間は大切にしなければと改めて気づかされました。

 

本日の授業はここまででしたが、後日道徳の授業で今日の体験を振り返り、命についての学びをさらに深めていくそうです。

 

犬を通じた体験授業で子どもの可能性を広げたい

 

運営の方にお話を伺いました。

 

ープログラムを小学校1〜2年生のみと定めているのはどうしてですか?

 

東京学芸大学と3年間、教育的観点から動物介在教育を調査研究した結果、低学年の生活科と道徳科が有効的な対象であると検証されました。『犬が介在することでより学習が深まる教育プログラム』を同大学と共同開発したことも、このプロジェクトの特徴でもあります。

ただし、「犬からの学び」というのは年齢関係なく得られるものであると考えているので、今後は対象を広げることも検討しています

 

ープログラムの意義についてどうお考えですか?

 

思いやりの心や命の大切さを学ぶには、言葉だけではなく体感として知る『きっかけ作り』が大切であると考えています。実際、事前のアンケートで怖いと回答した子も、仲の良い友達が犬を触っているのを見て、苦手意識を克服できることもあります。誰もが受けられる教育の場だからこそ、価値観が変わったり、新しい選択肢の幅を広がったりする『きっかけ作り』ができます。人とは異なる他者との触れ合いによって、周りの人や動物への接し方も考える。言葉に頼らないコミュニケーションには、子ども間のいじめ、ペットの飼育放棄など、さまざまな社会問題の解決につながるヒントも沢山詰まっていると考えています

 

近年は、動物との触れ合いによって人の心を癒したり、痛みを緩和したりすることが研究の成果から分かっています。介在犬として活動する犬も年々増えてきています。

 

将来に多くの可能性がある子どもたちと、能力を秘めた犬。

交流を通して一人一人の心に思いやりの心が根付き、犬と人との双方が幸せになる未来の実現に近づくのではないかと感じました。

 

アニドネでも介在動物活動の素晴らしさを伝えていきたいと思います。

最後に、今回取材にご協力いただいたマナーニ様、ハンドラーの皆様、学校関係者の皆様、誠にありがとうございます。

 

こども笑顔のラインプロジェクトのページはこちらからご覧いただけます。

 

※掲載の文章・写真はアニマル・ドネーションが許可を得て掲載しております。無断転載はお控えください。