J-PETS サミット 「なぜネコは伴侶動物となりえたのか?」レポートです。
ペット系サミットにアニドネスタッフが参加しました。とても面白い内容だったので、動物福祉に興味を持つ方々にも知ってほしくレポします!
今回のテーマは 「なぜネコは伴侶動物となりえたのか? -進化と対ヒト社会的認知能力からの考察-」 講師は齋藤慈子先生でした。
イヌとネコの社会性の違い、ネコの家畜化の歴史、ヒトとの共存で起きたネコの変化について、様々な研究論文からの考察がありました。 私が面白いと思ったのは、ヒトとネコの共存生活が始まって 1 万年ほど経つなかで、 ネコの鳴き声が変化しているということ。
リビア山猫の「ニャー」より、ネコの「ニャー」の方がヒトにとって心地よく聞こえるという研究結果があるそうです。
ヒトに可愛いニャーを言える猫が淘汰の中で生き残ったのかもしれません。 もともとネズミ捕りとしての有用性からヒトとの共存が始まったネコ。 古代エジプトで穀物をネズミの害から守るためにリビア山猫が活用されたところが起源。捕獲を仕事とするため、野生的であることが好まれ、餌もヒトに完全には供給されず自分で捕獲し、単独行動が多く、「飼育」や「家畜化」とはまた違った環境にいたと言えます。
これが使役動物として長い歴史を持つイヌと違うところ。
そんなネコでも、ヒトとの共存も約 1 万年となり、飼い主の声を聞きわけたり、社会的参照もすることが研究でわかってきているそうです。 (社会的参照:ヒトの乳児が親の表情を見てそれが危険か危険でないかを判断するように、ネコも飼い主の表情を見て情報を得ているそうです。)
ただ、イヌの研究は進んでいるものの、ネコは気まますぎて研究対象に向かず、 まだまだ研究が進んでいない部分もあるそう。 研究結果として公表されていなくても、ネコを飼っている人はネコの可愛らしさやコミュニケーション能力は肌で知っていること。
ヒトとの共存生活のなかで、社会性を身につけてヒトの感情も理解してくれる存在に進化しつつあるネコ。 ネコラバーな方が集った今回の例会。皆様、野性味を残して単独行動で孤高を守るネコの性質も愛おしく、、完全室内飼いが定着し、ネコの(イヌ的な?)社会的変化をみると少し葛藤もあるそうです。
それでも、伴侶動物として感情を分かち合えるのは楽しいですよね。 記憶に残ったのは、 「犬と猫で、人との関わり方は違うもの。自分にあった伴侶動物を迎えてほしい。」 という先生のメッセージでした。 相性の合う伴侶動物を迎えること、もしくは共存しながらいい距離感をはかって、ペットもヒトも楽しく暮らせたらいいですね。
* J-TETS 様は、「どうぶつ達と共に暮らす幸せな社会を作ること」を目的として、東京大学の西村亮平先生が中心となって設立された会。 動物をとりまく企業や団体、個人やアカデミズムを柱に様々なシンポジウムやセミナーを実施されています。 J-PETS 様 HP http://www.j-pets.jp/
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