寄付したお金の使い途レポート

野犬問題 人との関わりを知らなかった犬たちに手を差し伸べるために

アニマル・ドネーションでは、独自の選定基準で通過した認定団体へ確かな寄付をお届けしています。2025年6、7、8月には、「非営利ボランティア団体「犬のM基金」」さんへ、皆さまからお預かりした690,350円、44,388円、34,780円をお届けいたしました。今回、どのように使われたのかについて、代表の秋田さんに詳しくお話を伺いました。

元野犬「チョロ」の手術代に

ーここ数ヶ月のアニドネからの寄付は何に使われていますか?

「主に、医療費とドッグトレーナによる訓練費用に使わせていただきました

ー具体的な活動事例や背景、エピソードをお聞かせください

当会は、北海道札幌を中心に活動をしておりますが、この数年は野犬と多頭飼育崩壊現場からの引き取りが多い状況です。2025年春に道東の牧場に住み着いていた野犬の雌チョロ(体重18kg)が捕獲されました。食事については、住み着いた牧場のお爺さんからご飯をもらっていました。

(before)野犬時代のチョロ。よく吠えられ、近くによることは困難でした
(before)野犬時代のチョロ。よく吠えられ、近くによることは困難でした

当会で引き取らせていただき健康診断を行ったところ、以下の結果でした。

・左奥歯茎が後退して穴が空いている箇所は抜歯の治療が望ましい

既に左奥2番目付近歯茎の色が他より悪く、今後内部で菌が増殖し頬が腫れて皮膚を破き膿が出ることも予想される

上記診断結果のもと、口腔外科手術をさせていただきました。

歯の状態が悪かったため、口腔外科手術を実施
歯の状態が悪かったため、口腔外科手術を実施

また、引き取り当時は、体調が悪いのもあり、大人しく暴れる事もなく過ごしていました。人への攻撃性はなく、逃げる素振りもなかったのですが、臆病で首輪とリード装着で外へ出ることや歩行ができない状況が続き、家庭の生活音、都会での音を怖がる様子で体を震わせてフリーズしてしまうことがありました」

ーその後の様子をお聞かせください

「1番目ご夫婦2人の預かりボランティアさん宅にて、庭に出ることからゆっくりはじめました。都会音、人通り、公園、ホームセンターなどを経験を繰り返し、4人家族2番目預かりさんへ移動、環境を変えてさらに家庭犬としての子どものいる家庭生活、住宅街の散歩訓練などを経験していきました。毎日少しずつの社会化を進めて家庭犬になるための訓練を経て、2025年9月に無事、正式に家族に迎えていただくことができました!」

(after)無事に家族に迎え入れられたチョロ
(after)無事に家族に迎え入れられたチョロ

犬のため、時間も根気も惜しまない姿勢で

ーそのほかにも具体的なエピソードがあればお聞かせください

「飼い主さんが亡くなり、2頭の犬だけが家に取り残されたミニチュアダックスのクロ君。頑固でマイペースで、気に入らないと噛むことがあるわがままboyです。もう1頭のシーズーは、保護活動を協力してくださるドッグトレーナーに訓練と里親様探しをお願いしました。 

ケージ訓練中のクロ
ケージ訓練中のクロ
たくさんの人に出会う訓練
たくさんの人に出会う訓練
穏やかな顔つきへと変化してきたクロ
穏やかな顔つきへと変化してきたクロ

当会のボランティアも2人ほど噛まれており、噛み癖を軽減してあげることで里親様が見つかりやすくなること+クロ君の精神状態を穏やかにしてあげることを目標に、ドッグトレーナーに預託でお願いしております。引き取り当初は、体重10kg以上もあることでダイエットが必要で、また家庭生活のルールを教えていく過程では『ダメ』という言葉には歯を向いて唸る、しかると歯を剥く、抱き抱えると人の耳などを噛むなどの行為が見られました訓練は時間と根気が必要になりますが、ケージの中に入る訓練や、たくさんの人に出会う訓練など、さまざまな訓練の甲斐あり、2025年8月頃には、精神的にも落ちつき顔つきも性格も穏やかになり、里親様募集を開始しました」

 

ー最後に、寄付くださる方にメッセージをお願いいたします

「北海道全域の課題でもある野犬問題や多頭飼育崩壊から保護する犬たちは、過程も特性もその現場によって異なります。保護するまでにもお世話に通ったり、危険な環境の整備は必然になっています。皆様からのご支援のおかげで手の届かなかった案件にも着手でき、それぞれの現場に合った身体や心に傷を持つ犬たちのケアができることに感謝の想いでいっぱいです。当会は、保護施設を持たずボランティアによる自宅預かり制度の中で、人との関わりを知らない犬たちと家庭生活を共にスタートし、それぞれの個性を見極めていきます。まだまだ数多く残っている野犬や現場の犬たちが生きてきた環境と全く違う遠い札幌の地で生まれて初めて首輪をつけ、毎日ごはんを食べ、病気を癒し、幸せな家庭犬として巣立っていくために、今後ともご支援をよろしくお願いいたします」

 

北海道では、野犬や多頭飼育崩壊がまだまだ後を絶ちません。そんな環境の中、犬のM基金さんは辛抱強く犬たちと向き合い、犬たちが幸せになれるよう手を尽くしておられます。これからも、犬のM基金さんへのあたたかいご支援をどうぞよろしくお願いいたします!

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「犬のM基金」さんのご紹介ページはこちらからご覧いただけます。

※掲載の文章・写真はアニマル・ドネーションが許可を得て掲載しております。無断転載はお控えください。

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