認定団体の活動レポート

命をつなぐ活動の一環として ― 【命の授業】と保護の現場から

アニドネでは、認定基準を通過した団体へ寄付をお届けした後、その活動内容や直面している課題などをお伺いし、活動レポートとしてご紹介しています。

今回のレポートは、福井県を拠点に猫の保護・譲渡活動を行う『しあわせにゃん家』さんからお届けします。

代表の渡辺奈々美さんは、保護活動に加え、未来を担う子どもたちに「命の大切さ」を伝える【命の授業】にも力を注いでおられます。どれだけ保護しても、どれだけ迎え主さんへとつないでも減らない「外で懸命に生きる命」。その現実に向き合いながら、一つでも多くの命を救うために尽力されている日々の活動についてお話を伺いました。

【命の授業】という取り組み

『しあわせにゃん家』さんが大切にしている取り組みのひとつである【命の授業】について教えてください。

「私たちの保護活動の中には【命の授業】という取り組みがあります。活動を始めて8年になりますが、どれだけ保護し、どれだけ迎え主さんへ繋いでも、外で過酷な状況にある命や、悲しい運命の中で生きる命はなかなか減りません。

だからこそ、次の世代に命の大切さを伝えること、そしてSNSを通じて現実を知ってもらうことも、私たちにとって非常に重要な活動です。これまで地域の小中学校や、譲渡型保護猫カフェ『しあわせにゃん家』内、さらには遠方の小学校からのご依頼でZoomを使った授業も行ってきました」

命の授業

ー【命の授業】を通じて、社会にどのような変化を望まれていますか?また、今後の展望についても教えてください。

「日本全国には、多くの団体や個人が保護活動に取り組んでおられます。私たちもその一員として、命を救いたいという想いで活動しています。ただ、現実には多頭飼育崩壊、遺棄、虐待、保健所への持ち込みなどの問題が後を絶ちません。

こうした問題は保護活動者だけで解決できるものではなく、日本に暮らすすべての人(世界中の人々も含めて)が意識を変えていく必要があると、強く感じています。

10年後、20年後に命にやさしい社会を築くため、子どもたちに命の重みを伝える【命の授業】は、これからも継続していきたいと思っています」

保護の現場から:命と向き合う日々

最近の保護活動の現場で印象に残っているエピソードがあれば教えてください。

「日々寄せられる多くの保護依頼の中でも、特に印象的だったのが犬(けん)くんのケースです。飼い主さんが亡くなり、約1ヶ月間、誰もいない荒れた家に取り残された犬くんは、猫用の餌をこじ開けて食べ、必死に生き延びていました。発見時にはガリガリに痩せ、腰から下の長毛は毛玉で固まり、過酷な状況がうかがえました。

歩行もままならず、病院での検査では心臓に異常があり、背骨も変形、下半身は麻痺していることが分かりました。現在は治療を続けながら、元気を取り戻しつつあります。ただ、後ろ足に力が入らないため、圧迫排尿が必要です。一時は呼吸困難に陥り、酸素室に入るほどの状態でしたが、懸命な治療の結果、今は落ち着いて過ごしています」

保護猫の現場

保護猫

他にも印象的な保護事例があれば教えてください。

「公園に遺棄された、生後1日の子猫を保護したケースも忘れられません。カラスに突かれたのか、怪我をした子たちを保護しました。3匹いたうちの1匹は、すでに命を落としていました。残る2匹も、顔や耳、お尻などに傷があり、お尻には穴があいていて排便もできない状態でした。

その後、別件で保護した2匹の子猫と一緒に育てることになりました」

保護した子猫

「怪我をした子は片目を失いましたが、それ以外は元気に回復。今は迎え主さんの元で、愛情に包まれて暮らしています」

保護した子猫

渡辺さんからお話を伺って見えたのは、保護活動が喜びと同時に多くの悲しみと向き合う現場であること。『しあわせにゃん家』さんは、過酷な状況にある命に寄り添い、力強く活動を続けていることがわかりました。

『しあわせにゃん家』さんは、譲渡型保護猫カフェとして、猫たちに安心できる居場所を提供しながら、温かなご縁もつないでいます。新しい家族を迎えたいとお考えの方は、訪れてみてはいかがでしょうか。また、インスタグラムでも保護活動の様子や、最新情報を発信していますので、ぜひチェックしてみてください。

そして、こうした活動を支えるために、『しあわせにゃん家』さんへのご寄付もよろしくお願いいたします。


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