寄付したお金の使い途レポート

野良猫への餌やり、予期せぬ飼い主の入院‥‥多頭飼育崩壊がなくなる日を願って

アニマル・ドネーションではみなさまからお預かりした緊急支援基金を、10頭以上の多頭飼育崩壊レスキューに入り5頭以上引き取られた団体様へお届けしています。


今回は北海道を中心に多頭飼育崩壊からのレスキューや、飼育放棄、野良猫への餌やり問題などに積極的に取り組んでいる『特定非営利活動法人 猫と人を繋ぐツキネコ北海道』さんへ20246月に180,000円をお届けしました。

 

小樽張碓町、函館七飯町で行った2件レスキューの詳細と基金の使い途について、代表の吉井さんにお話をうかがいました。

飼い主の入院で取り残された猫たち(小樽張碓町案件)

━ 今回のレスキューの経緯について教えてください

 「飼い主さんが入院してしまい猫が取り残されてしまったことから、北海道後志総合振興局環境生活課から地元のボランティアさんへ相談がいき、頭数の多さから当団体にレスキューの相談があり、協同でレスキューを行いました」

 

━ 現場と猫たちの様子はいかがでしたか

 家族が居なくなったその家は、予想以上に朽ち果てており、人間も猫も暮らしていけるような場所ではありませんでした。

多頭飼育崩壊の現場(小樽)
飼い主の入院で劣悪な環境の中に取り残された猫たち

猫たちはみんなガリガリで栄養失調状態のほとんどがFIVキャリアでした。まだ大人になっていない3匹の猫を一旦保護して面倒をみることになりました。3匹とも猫風邪に感染しており食も細く、1匹はトイレを覚えることができず、いまだにケージで面倒を見るしかありません。

 

一番大きめの猫がご飯を食べなくなり、病院で検査したところ重度の貧血で、すぐに輸血が必要となりました。しかし、残念なことにこの子の寿命はここまででした。少し前まで元気に走り回っていたのが嘘の様です。鼻の頭に黒い模様があり貧血なのに気付いてあげられなかったのが悔しいです。

飼い主の入院で取り残された猫
猫風邪、栄養失調になりながらも必死に生き抜いていた

年齢にかかわらず生きていれば誰にでも思いのよらない病気や怪我などのアクシデントがあります。改めてペットの飼い主は自分に何かあった時に備えることが大切だと思いました。決して他人事ではないことを皆様にご理解頂けたら幸いです」

野良猫への餌やりが全ての始まり(函館七飯町案件)

━ レスキューの経緯について教えてください

「自宅まわりに来ている野良猫に餌を与えて迎え入れたために、あっという間に増えてしまい、近隣から鳴き声や糞尿の臭いなどのクレームが入る様になってしまいました。自宅内が多頭飼育崩壊になりつつあるのをみかねて、地域の個人ボランティアさん達がサポートに入り、不妊去勢手術を順に行って生殖制限をしていましたがケアなどが追いつかない状況で譲渡にも繋がらないと当団体にレスキューの相談が入りました」

多頭飼育崩壊の現場(函館)
足の踏み場もない自宅で、ひしめき合って暮らしていた猫たち

 

━ 現場と猫たちの様子はいかがでしたか

自宅内はたくさんの『物』と猫のトイレなどで溢れ返り、足の踏み場も無く、普通の生活が出来ていない状況でした。猫たちもひしめき合って暮らしており、相談者さんの疲労もピークに達しており精神的にも疲弊しているのが見て取れました。その日は視察だけのつもりでしたが、札幌から片道4時間半と遠く離れていることもあり、比較的人慣れしている猫を連れ帰ることにしました。ところが、

 

『この猫だけは連れて行ってくれないでしょうか?』

現地のボランティアさんから帰り際、懇願にも近い声がもれてきました。ダンボール箱の中の猫を覗いて驚いたのはその臭いと猫の状態の悪さでした。長毛と思われる毛はガチガチに固まり、涎まみれ。まさしくカリシウイルスが発症したと思われました。すぐに連れ帰り、かかりつけ医で治療スタート。

 

必死のケアが続いています。ミーモと名前がついているその猫は、食べることが大好き。体調が悪いにも関わらずすぐに甘えてくるのです。どうにか体調を整えさせてデンタルケアを施して元気にさせて、優しい家族のもとへミーモを届けてあげたいです」

治療を終えた保護猫
7月8日~11日まで入院し、無事にデンタルケアを行いました。全抜歯、治療、鼻カテーテル、薬浴などを終えたミーモ。まだ涎が止まらず、治療は続きます。
優しい家族を待つ保護猫
ずっと陽当たりの悪い所にいたので、窓際で外を見れる場所に。「空は青いね、緑が綺麗だね、カラスもいるね。ふつうの生活が出来るように、頑張ろうね!」

いつかきっと不幸な猫がいなくなる日を信じて

寄付はどの様にお使いになりましたか

 血液検査、ワクチン、耳垢検査、便検査、駆虫薬、点滴などの医療行為に使わせて頂きました」

 

治療を受ける保護猫たち

寄付支援のおかげで治療を受けることが出来た

━ 最後に支援者様へのメッセージをお願いいたします

「いつもご支援頂きまして有り難うございます。

『あの1匹の生殖制限を怠らなければ‥‥』多頭飼育案件に向き合うたびに不妊、去勢の大切さを痛感します。家族と同じ様に大切な愛猫も、多頭飼育で増えてしまうと、《負の遺産》にしかなりえません。まだまだ適正飼育が浸透していない世代や地域も多いです。

 

身の回りに気になる世帯はありませんか?声をあげてみませんか。

いつかきっと不幸な猫がいなくなる日を信じて‥‥私たちは声をあげ続けていきます!これからも応援のほどよろしくお願いいたします」

 

函館七飯町のレスキューは1回で終わらず、この後もまだ続いています。十分な行政の協力を得られない中、個人ボランティアさんと連携して解決に向けて奮闘する特定非営利活動法人 猫と人を繋ぐツキネコ北海道』さんへ、寄付でのご支援を引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

 

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