認定団体の活動レポート

迎え主へ託される大切な約束~終生飼養~

アニドネ認定保護団体認定特定非営利活動法人アニマルレフュージ関西(通称アーク)』は、大阪と東京を中心に、様々な動物の保護を続けておられる認定団体です。そんなアークさんの年に1度の大イベント『アーク同窓会』が、今年も10月26日(日)に篠山アークで開催されました。

2025年同窓会
毎年、楽しみなイベントです!

雨でもへっちゃら!再会の場『アーク同窓会』

当日は、雨が降ったり止んだりと不安定な天気でしたが、可愛いハロウィン仮装のアーク卒業生が続々と集合。1年振りの再会にあちらこちらで歓声が上がります。

ハロウィン仮装1
迎え主様の愛が溢れる仮装で登場!
ハロウィン仮装2
それぞれの個性を生かした仮装もステキ❤
ハロウィン仮装3
旬なキャラクター「ミャクミャク犬」も大勢参加!
ロペ
ロべも変わらず元気そうですね♪
マロウ
スタッフに会えて喜び爆発のマロウ
アスペン・ヒッコリー・マンゴー
アスペン・ヒッコリー・マンゴーも今年は仮装大会に参加!

 

そんな中、立派なカートで登場したのは、ばちこちゃん。推定16歳のおばあちゃんワンコですが、そのつぶらな瞳は子犬の様です。迎え主の奥村様にお話しを伺いました。

ばちこ
2017年に推定10歳で入所したばちこちゃん

大変でも幸せを感じるシニア犬介護

ーばちこちゃんは、いつから奥村家の家族になりましたか?

 

「2021年にお迎えしました。推定2017年生まれの元野犬で、体重は17kg程度の中型犬でした」

2025年のばちこ
奥村ばちこです!

 

ー去年の同窓会では立派に仮想大会の舞台に立っていたばちこちゃん。いつから介護になりましたか?

 

「2024年の年末頃から立てなくなりました。最初はお散歩の時、動きが左に傾く程度だったのですが、それが楕円形の動きになり、2024年の10月頃には左回りの回転運動が始まりました」

2024年の仮装大会
2024年の仮装大会には元気に出場していたばちこちゃん

「壁中にプチプチ(エアキャップ)を貼り付けて、ケガをしないよう対策しましたが、夜通し回り続ける、5時間でも6時間でも力尽きるまで回り続けるばちこを、どうする事も出来ず、ただ見守るしかありませんでした」

乗り越えたばちこちゃん
大変な時期もありました

「およそ1ヶ月が経つ頃には立てなくなったので回転運動はなくなりましたが、次は認知機能障害からくる”鳴き叫び”です。昼夜関係なく脳が興奮している様で、まともに睡眠が取れなくなってしまいました。体重が減ってきた事も心配で、仕方なく病院でお薬を処方して頂くことにしたのです」

偉いね
良く頑張ったね。ばちこちゃん!

「けれど、処方された鎮静剤・抗不安薬は依存性が強いもの。インターネットで調べると、人間用ではあるものの、より依存性の低い薬が新しく開発されている事を知り、その薬に変更して頂きました。そこからは本当に手探りです。犬に処方した結果データなどありませんから、『日々細かい投薬管理を行い、ばちこの様子を見て調整していく』を繰り返しました。その結果、投薬は約4ヶ月で終了。現在はお薬なしで穏やかな毎日がコントロール出来ています」

ナデナデばちこちゃん
穏やかな表情で迎えてくれるばちこちゃん

 

ーばちこちゃんの体調は落ち着いても、日々のお世話は大変になったと思います。例えば、排泄などはどうされていますか?

 

「まだ立てていた時は、オムツを使っていました。そこら中にうんちっこをまき散らすので(笑)寝たきりになってからは、オムツだと皮膚に負担がかかるのでペットシーツをメインに、お出かけの時だけ、オムツを併用しています」

 

ー寝たきりだと、今度は褥瘡(じょくそう=床ずれ)対策が必要になるのでは?

 

「床ずれ防止のベットを購入しました。でも使い始めは効果が見られなくて、メーカーに問い合わせたところ、”ペットシーツを何枚も敷くと体圧分散が変わる”とアドバイスを受けました。汚れるのがイヤで、ベットの下に何枚もペットシーツを敷いて使っていたんですね(笑)1枚だけ敷くようにしたら、効果がありました」

お出かけバージョン
本日はお出かけバージョン

「かかりつけの病院でシニア犬介護のセミナーなども最近やっと見受けられる様になりましたが、シニア犬の介護は、基本手探りです。私達は、先天性の病気を抱えた先住犬を看護した時に、”自分達で情報を探して試す”という経験があったのですが、高齢になったワンコをお世話したいのに、介護の仕方が分からなくて追い詰められて涙ぐんでおられる飼い主さんもお見掛けしました。ばちこの介護を通して、シニア動物のお世話に関する情報が少ない事を痛感しました」

娘と一緒のばちこちゃん
娘犬に囲まれるばちこばぁちゃん

「先住犬は余命1ヶ月と言われながら、1年間延命する事ができました。けれど本当はもっともっと長生きして欲しかった。今、ばちこを介護する事は大変ですが、生きてくれているからこそ。毎朝、ばちこの穏やかな顔を見て幸せを感じています」

甘えん坊
最近はますます甘えん坊なばちこちゃん

一生涯、最後の時まで家族だよ

毎年多くの卒業生が参加する同窓会には、大きく元気になった子もいれば、ばちこちゃんの様にカートに乗って参加する子も数匹います。それは、迎え主様が『大切な約束~終生飼養』を守って下さっているからに他なりません。担当の秋山様にお話しを伺いました。

 

ー雨マークが消えない天気予報でしたが、今年も大賑わいの同窓会になりましたね。

 

「開催しても参加者は少ないのでは?と心配でしたが、例年と大きく変わらず118名、63頭のご家族にご参加いただけました。この場をお借りしてお礼申し上げます」

 

ー人間でも大変な介護。言葉の通じない動物介護は相当なものかと思います。けれど、同窓会で再会するシニア犬はみんな丁寧なお世話を受けていますね。

 

「卒業犬猫の介護報告をいただくことはしばしばあります。終生飼養とひと口に言っても、簡単なことではありません。奥村様のように一筋縄ではいかない介護と真摯に向き合われる姿に、頭が下がる思いと同時に、活力をもらっています。今後も、1匹でも多くの動物達が素晴らしい迎え主様と巡り合えるように活動してまいりますので、引き続きご支援下さいます様、よろしくお願い申し上げます」

 

 

迎え主様の家族になって、社交的になった子・甘えん坊になった子・年老いた子、みんな様々ですが、共通しているのは『愛されている』こと。会場には、迎え主様の『一生涯、最後の時まで家族だよ』という愛が溢れていました。

愛されワンコ
迎え主様の腕の中でくつろいでいます
愛され飼い主
人もまた、愛する事で満たされている様です

来年もまた、元気な顔でお会いしましょう!

 

元気でね
来年も待ってるワン!

 

アークさんでは、保護動物と触れ合えるボランティア活動を、毎月10日~15日頃に公式ホームページで案内されています。お散歩やお世話を通じて命を預かる素晴らしさと責任の重さを、是非とも実体験して下さい。そして『保護動物を家族に迎える』という選択肢を検討して頂きたいと思います。(インスタグラム では、保護動物のリアルタイム情報発信も行っています)

今後ともアークさんへのご寄付・ご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

 

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※掲載の文章・写真はアニマル・ドネーションが許可を得て掲載しております。無断転載はお控えください。

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