認定団体の活動レポート

急増する飼い主の孤独死と保護猫に起きた3つの奇跡

アニマル・ドネーションでは皆様からお預かりした寄付をお届けする認定基準通過団体へ、定期的に使途や活動報告をうかがって記事にしています。

今回はアルマさんをご紹介します。東京は葛飾区にある一戸建てのシェルター、世田谷区の猫シェルターの二拠点で保護動物を預かり、迎え主さん(新しい里親)へ譲渡して命のバトンを繋げています。最近の活動状況を代表の竹本さんへうかがいました。

 

飼い主の孤独死 現場に残された保護猫ミルミル

ー最近の活動内容を聞かせてください。

「今年に入ってから、孤独死で取り残された犬猫の相談が増えていますその猫のことをお伝えします。

6月18日、葛飾警察署から相談がありました。飼い主さんが孤独死して、猫が1頭、取り残されており、警察で保管しているとのこと。事情を尋ねると、飼い主さんは60歳の男性、身寄りがなく、火葬なども区で行ったとのことでした。

 

発見されるまで少し日数を要したようです。その間、この子はどんな思いだったでしょうか。

警察署からアルマが運営する葛飾区の保護シェルター『アルマ東京ティアハイム』まで猫を連れてきていただきました」

 

保護猫
成猫・スコティッシュフォールド メス グレイ白

「まだ若そうで推定2〜3歳。食欲はあるので健康チェックのために動物病院へ連れて行きました。飼い主さんは、ご病気だったのか、それとも突然の死だったのか。猫との暮らし、毎日の会話、それは楽しみだったかもしれません。まだ60歳という年齢、早すぎます。私たちもいつ何があるか、わかりません。何かあった時に残されたペットをどうするのか、元気なうちに考えておかねばなりません。

 

特に最近は孤独死で取り残された犬猫の相談が増えています。

発見が遅ければ、この子たちの命も危うくなります。誰かに気が付いてもらえるように対策が必要です。

新聞の購読、ヤクルトや牛乳、お弁当などの宅配を取るなど。

ポストや玄関に溜まっていけば、あれ?おかしいなと気付いてもらえます。一番はご近所付き合い、身近な方の見守りですが、高齢者、単身者も増えて、現実は世間との関わりも希薄になってきていると感じます」

保護猫
入院中のミルミル

 

絶食状態で発症しやすい肝臓疾患 肝リピドーシス

「ミルミルと名付けたこの子ですが、警察から引き取った当初はそんなに具合が悪く見えなかったのに、後日まっ黄色のオシッコをして検査すると黄疸が。肝リピドーシスを発症していました。

 

猫に特徴的な肝臓疾患で、様々な原因によって猫が食欲廃絶、絶食状態となると体内の脂質が肝臓へ沈着することで発症。脂肪変性した肝臓は機能が低下し、徐々に肝不全の状態となり、無治療では致死的な状態となる疾患。肝リピドーシスは、肥満体の猫が、3~7日間絶食状態となると発症しやすいと言われているそうです。

 

皮下補液や強制給餌で対応しましたが、中々良くなる傾向がみられないので7月1日に入院しました。エコー検査の結果、肝腫大も見られました。病院では輸液しながら、食べない場合は強制給餌を。

 

二週間後に黄疸の数値も下がりましたが、肝酵素の数値が上がってて肝疾患の疑いもあり、肝臓の治療を中心に入院継続。体重は入院時より0.5キロ増えました。未登録のマイクロチップが入っており、年齢も過去の既往症もわからないので、治療に迷うこともありましたが、とにかく今は体力を取り戻して元気になってほしいと願っていました」

 
保護猫
入院中よくゴロゴロンを見せてくれて、看護師さんに甘えていたミルミルの姿

「7月後半になって、黄疸の数値も肝臓の治療もだいぶ回復に。体重は4,1キロに増え、自力で食べる量も増えてきたとのこと。そして、奇跡的な復活を果たしたミルミルですが、729日に無事に退院することが出来ました。その後の回復も順調で食欲もあります。そうして頑張っているミルミルに三度目の奇跡が!

一度目の奇跡は、飼い主さんが孤独死されたけれど生き残ったこと、二度目の奇跡は、肝リピドーシスという重篤な疾患から生還したこと。そして三度目の奇跡は、『ぜひミルミルちゃんを』と迎え主さん希望のお声がかかったことです!

大きな病気をしましたが、ご理解あるご縁に恵まれました。8月15日からトライアルに出ています。

3歳になる先住猫さんがいるおうちです。相性もありますが、マイペースのミルミルくんは、きっと大丈夫。私たちも全力でサポートしています。

 

保護猫
奇跡的な復活を見せてくれたミルミル 食欲も出てきました

 

ミルミルには幸せの風が吹きましたが、まだまだたくさんの子がご縁を待っています」

 

ーぜひたくさんの子がご縁を待っている譲渡会についても教えてください。

 

「8月も毎週日曜午後13時から15時までテイアハイムにてオープンシェルターを開催しています。(8月30日のみ土曜開催)

保護猫だけでなく、保護犬たちも新しいご縁を待っています。これから新たに家族を迎えたいと考えていらっしゃる方はぜひ葛飾区までお越しください」

 

 

 

 

一般の飼い主だけでなく、行政や警察からの相談にも応じながら、毎日保護犬猫たちの命と向き合うアルマさん。

罪のない動物たちの穏やかな明日のために、寄付でのあたたかいご支援をよろしくお願いします。

 

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