多様性を学ぶ大学生向けビデオ講義「 犬猫に対する多様性について」
多様性推進を大学にて教えておられる非常勤講師のあかいゆかり先生からのご依頼があって、ビデオ講義をさせていただきました。
講義コンテンツと学生さんたちの意見をこのレポートで紹介したいと思います。
犬猫だって「多様性」のひとつでは?
とあるご縁があり、あかいゆかりさんからアニドネ代表 西平衣里にビデオ講義のご依頼がありました。
あかいさんは、ご自身で劇団を運営されたり、こども食堂の運営や経営者向けセミナーなど、多岐に渡るご活動の中で大学で非常勤講師を務められております。
「犬猫も感情がある存在で人と共生することで人も幸せになる」
そんな話を西平が伝えたところ、あかいさんから以下のようなお話がありました。
「同じ地球で一緒に生きている犬猫の存在も『多様性』として認められるべき。ぜひ多様性を学ぶ学生さんに犬猫のことを伝えて考える場を作ってほしい」というご依頼により実施が実現しました。
◆日時:2025年5月30日 金曜日 9:00-10:00
場所:オンライン
対象者:多様性推進を学ぶ大学生
人数:12名
テーマ:「犬猫に対する多様性について」
講師:西平衣里 *あかいさんとのインタビュー形式
「ペットはモノですか?動物ですか?」
簡単に学生さんたちへお伝えした内容を資料と共に紹介します。
まずは、現在犬猫を取り巻く状況をお伝えしました。「動物福祉」という一般的には聞きなれない概念ですが、人が犬猫と向き合う際に考えねばならないことです。
日本は、減ってきたとはいえ要らなくなった犬猫たちをいまだ殺処分をしている国であり、それ以外の問題も諸所抱えている、そんな現況をお伝えしました。
またアニドネには「リーガルリサーチ」チームというボランティアチームがあります。
そこでは、各国の動物法を調べており、そこから見えてきた傾向をお伝えしました。
学生さんへ考えてもらう「ペットは物ですか?動物ですか?」
この授業の宿題として、問いかけをしました。
以下、学生さんの回答(一部抜粋)をこちらで紹介します。
///////////////
■学生Aさん「私は動物が苦手。けれど目を向け課題を知る必要がある」
人間の身勝手な行動のせいで、身体的にも精神的にも負担を感じる動物がいるということを改めて実感した。私自身は動物が苦手で、日常生活のなかで犬猫に関心を持つことはほとんどなく、動物福祉に関しては全く知らなかった。そのため、飛行機にペットを同伴させるときに、貨物と一緒になることに抵抗を感じるというニュースを目にしたときにも何も感じていなかった。しかし今回の講義を聴いて、ペットを物のように扱うことに抵抗を感じた。1つの命であることは人間と変わらない。高齢化や貧困、知識の欠如によって辛い思いをする動物をなくすための課題は山積みであると思った。正直、ペットを飼わない人にとって動物福祉に関してできることは少ないように思う。購入場所や育て方など、飼い主だからできることが多い。ただ、犬猫の多様性を知っていれば、身の回りで犬猫に関する問題を抱えている人がいたときに、保護団体を紹介することができる。動物に関わりがない人でも、動物福祉に関心を持ち、知識を得ることでこの先、辛い思いをする動物やペットを減らすことができるかもしれないと思った。
私自身も、もっと動物やペットに関する現状に目を向け課題を知る必要があると思う。世界の国でのペットとの関わり方や飼育に関する規制について調べようと思う。
■学生Bさん「ペットは間違いなく命ある動物です」
実は初回授業の翌日、飼っていた愛犬が息を引き取りました。その子との出会いは母の知人からの紹介で、「勤務先のペットショップに尻尾が曲がって生えている子が来てしまい、バックヤードにいるままになっている。ブリーダーさんに返すとどうなってしまうかわからない」という子を安価で引き取るような形でした。命の値段とは思えないほど安かったのを覚えています。病気になっても力強く生き抜いて、息を引き取る瞬間には家族全員の顔を見てからゆっくりと目を閉じていました。彼女は自分よりもよっぽど強く生きていたと思います。ペットは間違いなく、命ある動物です。
■学生Cさん「奴隷制を調べた。犬猫の代弁者が必要では」
私は、生き物が物として扱われるという点で、奴隷制が近いのではないかと考えた。奴隷制廃止の歴史から、ペットを脱物象化するためのヒントが隠れているのではないかと思い、それ歴史を調べてみた。
奴隷とは、自由がなく、誰かの言いなりにされて売り買いされる、まさに「もの」だった。それはエジプトの時代から始まり、乳母、子供の世話、教育、給仕、輿担ぎ、手紙の朗読、代筆、食事時の演奏者、門番、時報、これら以外にも洗濯、衣服の縫製、散髪、性的奉仕など、使い方はさまざまだった。
私は、人は自分の考えや思いを言葉にできるのに対して、犬猫は言葉が話せないため問題意識も広がらないどころか、人々の共感が非常に得られ難いのではないかと考えた。
犬猫に一番必要なのは、「彼らに代わって人々に啓蒙活動をしてくれる人間」だ。そして、その人間を増やすためにはまず、犬猫に対する共感と想像力を広げることが重要なのではないかと考えた。
///////////////
スペースの都合で全部を紹介できないのが残念ですが、学生さんたちからの視点はすばらしいと感じました。
犬猫に尊厳を持って接することが当たり前になるよう、アニドネの活動は続けねばと改めて思えました。
機会を作っていただきました、あかい先生に心よりお礼をお伝えいたします。
*******************
アニドネでは、動物たちの環境をよくするためにセミナーや勉強会も積極的に実施しております。
数名の少人数からでも掲載可能です。開催方法もリアルはもちろんオンラインでの対応も可能です。
セミナーに関するお問合せ・ご要望はこちらまでお寄せくださいませ。
※掲載の文章・写真はアニマル・ドネーションが許可を得て掲載しております。無断転載はお控えください。