保護猫おもちくんの回復の軌跡
アニドネでは、認定基準を通過した団体へ寄付をお届けした後、その活動内容や直面している課題などをお伺いし、活動レポートとしてご紹介しています。
今回のレポートは、TNR活動等様々な猫の保護活動を行っている『ねこ友会』さんから、心に残る保護猫おもちくんの物語をご紹介します。
通報から始まった出会い
ある日、団体に一本の連絡が入りました。
「とても痩せた猫がいる。今、抱っこして待っています」

スタッフが急いで現地に駆けつけると、そこには黒のラインが入ったキジ柄の成猫の男の子が。去勢手術は済んでいましたが、耳カットはなく、尻尾は長くまっすぐ。
何より目を引いたのはその痩せ細った体で、本来あるべき体重の半分ほどしかなく、長期間食事がとれていなかったことは明らかでした。
しかし彼は、そんな状態でも通報者の腕の中でじっと抱かれているほど、人への信頼を持ち続けていたのです。
「おもちくん」と名付けた理由
動物病院での診察の結果、ウイルス検査は陰性で、内臓にも大きな異常はありませんでした。
ただし、極度の栄養失調による重度の貧血(数値20)、白血球数の上昇、目やにの多さなどが見られ、長期間まともな食事をとれていなかったことが明らかでした。
それでも、歯や歯茎の状態は非常によく、歯肉炎もなく、推定年齢は4〜5歳との診断。
ケージの中の段差を登ることもままならないほど衰弱していたにもかかわらず、人の姿を見つけると大きな声で鳴き、甘えてくる──そんな姿に、スタッフ全員が胸を打たれました。
「たくさん食べて、まるまるふっくらと育ってほしい」
そんな想いから、彼には「おもちくん」という名前が贈られました。
約1か月で見違えるほどの姿に
おもちくんはその後、シェルターのスタッフ全員の手で、1か月間にわたる手厚いケアを受けました。
少しずつ体調を整えながら、栄養のあるごはんを摂り、休息を取り、たくさんの愛情に包まれて生活をしました。
その甲斐あって、やせ細っていた体は標準体重まで回復し、つやつやとした被毛も戻ってきました。
今ではすっかりイケメン猫さんへと変貌を遂げ、スタッフの呼びかけにも楽しそうに反応してくれるようになりました。

現在は預かりボランティアさんのご自宅で、のびのびと過ごしています。人が大好きで甘えん坊な性格はそのままに、毎日幸せそうな表情を見せてくれています。
譲渡会にも参加中で、次は“本当の家族”との出会いを待つばかりです。
ねこ友会さんの想い
今回のように、通報やTNRの現場などから緊急保護される猫たちには、深刻な健康状態の子も少なくありません。
それでも、十分なケアと愛情を受けることで、本来の明るさや甘えん坊な一面を見せてくれる猫たちがいます。
一匹でも多くの猫が、適切な医療と心のこもったお世話を受けられるよう、そして「家族」として迎えてくださる方とつながれるよう、これからも保護団体の活動は続いていきます。
私たちも、そんな活動のひとつひとつを、今後も丁寧に伝えていきたいと思います。
日々現場で活動されている保護団体の皆さんの迅速な対応と、1匹の猫の命を真剣に守り抜こうとする姿勢には、深い敬意を覚えます。
おもちくんのように、過酷な環境を生き抜いてきた猫たちが、再び人を信じ、愛される存在として安心して暮らせるようにと願っています。
そして、こうした活動を日々続けておられるねこ友会さんのような保護団体の存在が、これからも変わらず猫たちの命をつなぎ続けられるよう、皆さまからのご寄付や支援の輪が広がることを心より願っています。
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