アニマル・ドネーションでは、皆様からお預かりした緊急支援基金を、10頭以上の多頭飼育崩壊レスキューに入り、5頭以上引き取られた団体様へお届けしています。
今回は、2026年3月から5月にかけて、北海道・石狩管内および函館の多頭飼育崩壊現場から合わせて48頭の猫をレスキューした『特定非営利活動法人猫と人を繋ぐツキネコ北海道』さんへ、7月31日に480,000円をお届けしました。 レスキューの詳細と基金の使い途について、代表の吉井さんにお話をうかがいました。
ー今回の寄付は何にお使いになりましたか
「健康診断・耳ダニ治療・ノミダニ駆除・駆虫・風邪症状への治療など、すべて医療費として使わせていただきました」
病気・高齢・孤独・経済的不安‥‥多頭飼育崩壊は“人と地域の問題”
ー石狩管内でのレスキューは3~5月にかけて5回にわたって行われましたが、レスキューの経緯や現場の様子を教えていただけますか

「北海道の動物行政である振興局の担当者より、『多頭飼育している猫たちの不妊手術に協力してほしい』との相談があり、石狩地方での対応に着手しました。
現地確認の前に送られてきた写真には、自宅内に多数の猫たちがいる様子と、糞尿が堆積した劣悪な飼育環境が写っており、早急な対応が必要であることがうかがえました。
代表と副代表がすぐに現地へ向かい、飼い主ご本人、振興局担当者、役場担当者立ち会いのもと状況確認を行いました。
室内には40頭を超える猫たちがおり、糞尿の強い臭気と汚れが広がる環境は、人が安心して生活できる状態とは言えないものでした。猫たちにとても健康的な環境とは程遠く、対応は急務であると判断しました。
飼い主の方は高齢のお母様と同居していましたが、数か月前にお母様が亡くなられ、現在は一人暮らしとなっていました。
また、飼い主さん本人も就労支援を受けていることもあり、多くの猫たちを抱えながら一人での日々の世話や掃除にまで手が回らず、限界を迎えている状況は明らかでした。
当初は不妊手術の支援相談でしたが、それだけでは根本的な解決にはならないと判断し、猫たちの保護と並行して、自宅内の清掃支援も申し出ました。
2026年3月24日、TNRを専門とする獣医師とスタッフで現地へ入り、猫たちの捕獲と不妊去勢手術を実施しました。翌日も引き続き手術を行い、並行してスタッフとボランティアが室内の清掃作業にあたりました。2日間で45頭全頭の初期医療を終えることができました。
今回は、猫たちに早急な医療介入が必要な状況でした。これ以上不幸な命を増やさないための不妊去勢手術や、猫風邪などの治療を一刻も早く行う必要がありました。

一方で、受け入れ体制を整えるには時間が必要だったことから、猫たちは一旦飼い主宅で管理を継続し、その間は当団体がフード支援を行うとともに、行政機関にも継続的な見守りと連携をお願いしていました。その後、4月27日に10頭、5月14日に13頭を段階的に引き出しました。
今回の現場では、猫たちだけではなく、飼い主自身も孤立し、限界を迎えている状況でした。多頭飼育崩壊は、決して特別な人だけに起こる問題ではなく、病気・高齢・孤独・経済的不安など、さまざまな要因が重なった先に起こる『地域の問題』でもあります。
私たちは、猫たちを助けることはもちろん、その背景にある問題にも向き合いながら活動を続けています」
保護活動を行なうボランティア団体で発生した壮絶な多頭飼育崩壊
ーまた函館では、個人ではなく「保護ボランティア」による100頭以上の多頭飼育崩壊が発生しました
「はい。レスキューのきっかけは、関係する動物病院から地元NPO法人へ連絡が入ったことでした。該当団体のボランティアとともにシェルターへお世話に入った際、施設内に猫の亡骸が放置されていることが判明しました。確認された亡骸は6体にのぼり、さらに衰弱した犬1頭、適切な医療処置を受けていないと思われる猫たちが100頭以上確認されました。
また同時期に、団体代表者が緊急搬送される事態となり、自宅を含む複数箇所で保護されていた猫たちも、十分な管理が行き届かない深刻な状況となっていました。唯一、一部のボランティアが継続的に管理していたシェルターのみ、最低限の維持がされていた状態でした。
その後、警察および行政機関への通報が行われ、渡島総合振興局(渡島保健所)、函館市動物愛護センター、北海道動物愛護センター道南センターが対応に入りました。
代表者は所有権放棄を行いましたが、100頭を超える猫たち全頭を行政だけで収容することは難しく、北海道内の愛護団体・保護団体が協力してレスキューを行うこととなりました。

ツキネコ北海道では、2026年4月28日に札幌~函館間約250キロを往復して、24頭の猫を引き取りました。引き取った猫たちの多くは、不妊去勢手術を含む基本的な医療処置が未実施であり、全頭に耳ダニ感染が確認されました。5月8日・9日には往診専門の獣医師に来ていただき、全頭への医療処置を実施しました。
今回の案件は、私たちにとっても大変重く、考えさせられる現場でした。保護活動を行う団体であっても、適切な管理体制や支援体制が整わなければ、多頭飼育崩壊は起こり得ます。
実際に現場では、多数の猫たちが十分な医療や衛生管理を受けられないまま生活しており、保護された猫たちの多くに耳ダニ感染や風邪症状、栄養状態の悪化が見られました。
また、この案件が明らかになった後には、その団体に猫を預けていた飼い主の方から、涙ながらに相談のお電話をいただくこともありました。猫たちの行方や健康状態を心配し、不安な気持ちを抱えている方々がいる現実にも直面しました。
私たちは日頃から多頭飼育崩壊の現場に向き合っていますが、今回は同じく動物を救うことを目的として活動していた団体で起きた問題であったことから、決して他人事ではないと強く感じています」

両目を失った、甘えん坊の保護猫“かつしん”の幸せを願って
ーその後の猫たちの様子はいかがですか
「石狩管内多頭飼育崩壊の現場からレスキューされた“かつしん”のことをお話しします。
現場は壮絶な環境でしたが、猫たちはみんな仲が良く、身体を寄せ合って過ごしていた姿がとても印象に残っています。
かつしんは、レスキュー時にはすでに両目が落ち窪んでおり、目として機能している様子はありませんでした。そんな状態でも人が大好きで、レスキュー時には何かを感じ取ったのか、私にぴったりと寄り添い、すでに甘える姿を見せていました。

レスキュー後、かかりつけ医と相談しながら、このままの状態で経過を見るのか、眼球を摘出した方がよいのかを検討。かつしん自身の体調も考慮しながら慎重に判断し、5月28日に両目の眼球摘出手術を行うこととなりました。
手術後は順調に回復していましたが、猫同士のケンカが原因と思われることで縫合部分が裂けてしまい、6月9日に再度縫合処置を行いました。
その後の経過は良好で、両目が見えなくても元気に過ごしていました。とても人が大好きな穏やかな男の子で、子猫にも優しく接してくれる子です。


そして、そんなかつしんに嬉しいご縁がつながりました。
迎えてくださったのは、これまでにもツキネコ北海道から2頭の猫を迎えてくださっている里親さんご家族です。そのうちの1頭は、かつしんと同じ現場からレスキューされた仲間です。ご縁のあるお家に、かつしんも3頭目の家族として、8月11日にトライアルへ出発しました。

壮絶な環境からレスキューされ、両目の眼球摘出、そして再縫合と、いくつもの治療を乗り越えてきたかつしん。こんなに早くトライアルが決まるとは思っておらず、嬉しいような、少し寂しいような気持ちで送り出しました。
賑やかなご家庭で、先住猫たちやご家族と仲良く、これから穏やかで幸せな毎日を過ごしてくれることを願っています」
ー最後に支援者様へのメッセージをお願いします
「いつも支えてくださる皆さまのご支援が、こうした緊急案件に対応する大きな力となっています。心より感謝申し上げます。
風邪治療や重度眼疾患の手術など、保護直後には多くの医療費も必要となりましたが、皆さまからの応援が猫たちの命を繋ぐ大きな力となりました。
これからも1頭でも多くの行き場のない猫たちを安心できる未来へ繋げられるよう、スタッフ一同力を合わせて活動を続けてまいりますので、今後ともツキネコ北海道の活動を温かく見守っていただけますと幸いです」

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