譲渡して終わりではない。高齢者とシニア犬をつなぐ「シニアforシニア」

特定非営利活動法人DOG DUCAさん(以下DOG DUCAさん)では、高齢犬とシニア世代をつなぐ「シニア for シニア」の活動に取り組んでいます。
保護された犬の中には、年齢や持病、必要となる医療費といった理由から、成犬に比べて里親さんが見つかりにくい高齢犬も少なくありません。

その一方で、
「もう一度犬と暮らしたい」
「これまで犬と暮らしてきた経験を活かして保護犬を迎えたい」
と考えているシニア世代の方がいても、年齢を理由に譲渡を断られてしまうケースがあります。

また、長年犬と暮らしてきた経験があり、犬との生活に必要なスキルや環境、深い愛情を持っている方ほど、
「自身に何かあったらどうするのか」「犬を最後まで看取れるか」という責任感から、犬を迎えることを諦めてしまいます。

「シニア for シニア」はそんな高齢犬とシニア世代の方をつなぐ取り組みです。

DOG DUCAさんでは「シニアドッグ・サポーター制度」という独自の取り組みを通じて、不安を抱える高齢者の方にも、安心して保護犬との暮らしを始めてもらえるよう、丁寧なマッチングと譲渡後の継続した相談やサポートを行っています。

今回は実際にシニア犬を迎えたご家族とのやり取りをご紹介していただきながら、この活動でどんなサポートを行なっているのか、DOG DUCA代表・高橋さんにお話を伺いました。

14歳の保護犬「エヴァン」と里親さんの歩み

エヴァンは、家族の事情からDOG DUCAさんに保護された14歳の男の子。
前の飼い主によるDVがあり、このままでは安心して暮らせないという状況の中、飼い主の家族から託されました。

怖い思いをたくさんしたエヴァンですが、14歳という年齢を感じさせないくらい元気いっぱい。
明るくてまっすぐな性格が魅力のわんこです。

一方、新たな里親さんも、先住犬を大切に育ててきたご夫婦です。
愛犬を看取ったあと、「もう年齢的に責任が持てないから」と犬との生活を諦めていらっしゃいました。

しかしテレビでDOG DUCAのシニアドッグサポーター制度をご覧になり

「もしかしたら私たちでも助けてあげられる子がいるかもしれない」
と会いに来てくださいました。

LINEの内容から伝わる里親さんの懸命さ

DOG DUCAさんでは、譲渡後もLINEを通して、里親さんからの報告や相談など密なコミュニケーションを取っています。

エヴァンの里親さんとのLINEでのやりとりの一部を見せていただきました。
そこには、お家にやってきたその日からのエヴァンの幸せな変化が丁寧に綴られていました。

「1日目の夜から、お布団で一緒に朝までぐっすり寝ていました。ご飯の準備中から大騒ぎしています」
「食事の時間と、そのほかの時間はまるで別の子のようです笑」
「毎日の行動の変化が面白いです。ありがとうございます」

譲渡会を行わないDOG DUCAさんは、一対一の面談で丁寧なヒアリングを行い、わんこと里親さんの相性を見極めます。
里親さんとの息は初日からぴったり!
ずっとそのお家の子だったように、幸せなリスタートをした様子が伝わってきました。

「3日目になりました。本日はエヴァンに爆買いの日。おもちゃに興味津々だったので🦴のぬいぐるみを買いました。帰宅して渡したら大喜びで、振り回して遊び始めました!」
「、、、なんとおもちゃを渡してきて、『わんわん』投げて!と大催促」
「我が家も明るく活気が出てきました。エヴァンのためにも頑張らなくっちゃ」

3日目には、すっかり嬉しくなって遊ぼう!と里親さんに催促する様子が。


元の飼い主から長年のDVを受け、つらい思いをしてきたエヴァン。
そんなエヴァンが感情をさらけ出して、里親さんに全力で喜びや興奮を表現することができる。素晴らしいご縁となりました。

保護された時すでに13歳だったエヴァン、2ヶ月後に14歳となった誕生日にはケーキも準備してもらえて盛大にお祝いされたそう。

今ではお出かけも旅行もいつも一緒、幸せな表情がたまりません!

不安な時もDOG DUCAさんが拠り所に

DOG DUCAさんの特徴は、代表の高橋さんがプロのドッグトレーナー。そして高橋さんの奥様も、動物病院でのご勤務経験があります。
しつけの悩みや体調の変化にもプロとして寄り添うことができるのが強みの一つです。


トラウマを抱えていることも少なくない保護犬たち。さらにはシニアであることで持病や体調の変化など心配事も日々起こりえます。

数か月後、エヴァンのご家族から「朝方に吐いてしまう」という相談が届きました。

「過去に散歩中、小石などを拾い食いしていたことがあるので、念のためレントゲンやエコーをで問題がないか再確認してみてください。」と高橋さんは提案しました。

そのアドバイスを受け受診した結果、大きな異常はなく、お薬と療法食を続けながら経過を見ることになりました。

その後届いたLINEには、
「おかげさまで体調も良くなり、食欲も戻りました。」
「今日は楽しそうにミニミニ運動会をしていました。」

という嬉しい報告がありました。

高橋さんは、
「譲渡して終わりではありません。体調の変化など、困った時に相談できる場所があることも、シニア世代の方には大切だと思っています。」
と力強くおっしゃっていました。

シニア犬だからこそできること

もう一頭紹介したいのが「ココア」です。

前の飼い主さんが孤独死されてしまい、数日間独りでお家に取り残されていました。
幸い大家さんが異変に気付いたことで、保護につながりました。
近年、高齢者の一人暮らしが増える中、このようなケースは決して珍しくありません。


大切に飼われていたようで、人懐っこく社会性もあり、病気もないココア。
ココアを迎えたのは、ドッグトレーナーとして活動しながら動物保護にも携わるご家族でした。
以前からDOG DUCAの活動をSNSで見ていて、「保護犬を迎えるならDOG DUCAから」と決めていたんだそう。

ココアは今、人も犬も大好きな性格を開花させて、新しい家族とともに穏やかな毎日を送っています。

「シニア犬だからこそ、そしてシニア世代の飼い主さんだからこそ、できることがある」
とDOG DUCAの高橋さんはおっしゃいます。
シニア犬は、穏やかで落ち着いた子が多く、膝の上で甘えたりするのが大好き。そして飼い主さんの歩幅に合わせてゆったりお散歩するのも得意だったりと、その年齢ならではの魅力がたくさんあります。



高齢者の方も、先住犬と長年暮らしてきた経験がある方は、先住犬の看取りを通じて犬と本気で向き合ってきたことによる愛情や知識、飼育スキルが素晴らしいと話してくださいました。

譲渡はゴールではなく、新しい暮らしのスタート

今回、高橋さんから見せていただいた里親さんとのLINEには、幸せをつかんだシニア犬の様子はもちろん、わんこを絶対に幸せにしたいと真摯に向き合う里親さん、そして丁寧に寄り添うDOG DUCAさんの姿がありました。

譲渡はゴールではなく、新しい暮らしのスタート。

「困ったら相談できる」「一緒に考えてくれる人がいる」という安心感があるからこそ、60代・70代の方でも保護犬を迎えるという選択ができるのだと感じました。

シニア犬にも、シニア世代にも、「もう遅い」はありません。
これからも、たくさんの優しいご縁がつながっていくことを願っています。

「シニア for シニア」のような取り組みは、全国的に見てもまだ多くありません。
高齢犬とシニア世代の双方が安心して新しい暮らしを始められるよう、譲渡後まで寄り添うDOG DUCAさんの活動は、これからますます重要になっていくのではないでしょうか。

「シニア for シニア」の先駆者として、日々懸命に活動をされる、特定非営利活動法人DOG DUCAさんに今後もご支援をよろしくお願いいたします。

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