特定非営利活動法人 ねりまねこさんは、人と猫が平和に共生できる社会を目指し、地域猫活動の普及啓発や行政との連携を通じた課題解決に取り組んでいます。最近の活動状況や今後の活動について、代表の亀山さんにお話を伺いました。
行政とボランティアが連携する終生飼養支援
ー最近の活動について教えてください
「練馬区で2025年度から始まった『ペット終生飼養相談・支援事業』への協力を行っています。この事業は、身寄りのない飼い主が死亡や施設入居、病気などのやむを得ない事情により犬や猫を飼えなくなった際に、区・ボランティア・獣医師会が連携して新たな飼い主につなぐ取り組みです。事業開始から約1年で30件ほどの相談が寄せられました。親族がいる・経済的な余力がある場合は自助努力で新しい飼い主を探してもらうよう促し、それらが難しいケースについては支援が行われ実際に引き取りに至ったのは3件、頭数としては8頭でした。その中の2件、7頭の猫を私たちねりまねこが受け入れました」
行き場を失った猫たちを、新しい家族へ繋ぐ
「引き取った猫たちは飼い主の高齢化や病気、経済的困窮などの影響を受けていました。不妊去勢手術が行われていない、命に関わる病気や身体的なトラブルを抱えている。また、長期間にわたり適切な飼育環境を得られなかったことで精神的なケアが必要な猫もいました。それぞれに適切な医療ケアを施しながら、心穏やかに安心して暮らせる環境も整え、人との暮らしに安心して馴染めるよう愛情を持って接し続けました。私たちはこれまで約1,000頭の保護譲渡を行いその中で培ってきた経験があるので、今回の譲渡もなんとかできると考えていましたが決して簡単なことではありませんでした。インターネットでの里親募集は子猫に人気が集中し、若くはない成猫には応募が集まりません。そこで、画面越しではなく実際に見てもらい譲渡につなげようと地元の企業に場所を提供してもらい、練馬区の後援もいただきながら譲渡会を開催しました。練馬区は譲渡会の後援だけではなくホームページやXなどのSNSで新たな飼い主探しのための情報発信も行い、その成果もあって受け入れた全頭を新しい家族のもとへ送り出すことができました」

飼えない人から、迎えたい人のもとへ
「ペット終生飼養相談・支援事業を通して、7歳と10歳のシニア猫も素敵なご縁に恵まれました。ちょうど先代猫を看取ったばかりだったご夫妻が2頭を迎えてくださり現在は穏やかに暮らしています。


また、3年間小さなケージに閉じ込められ、人だけではなく環境に対しても強い恐怖心を抱え怯えていたオリオンという猫もいました。オリオンは引き取った当初、食事もせず黙って動かず。かと思えば大きな声で鳴き続け、ケージの中を行ったり来たりする常同行動もある難しいタイプでした。



ですが一緒に暮らすうちに徐々に本来の猫らしさ、性格を取り戻し甘えん坊の可愛い猫になりました。愛らしい性格を取り戻したオリオンはそのユニークな見た目も魅力となり、新しい家族とのご縁に繋がり幸せな日々を過ごしています」


「高齢・貧困・孤立などを背景とした飼育継続が困難になるケースや飼育放棄は全国で社会問題となっていますが、飼い主の責任とみなされ支援は行き届いていません。練馬区の事業を持続可能にするために、地域住民への制度の周知・飼育放棄させないための予防措置の実施・ボランティア育成などに取り組み、今後も練馬区と連携しながら人と猫が共に安心して暮らせる地域づくりを進めていきます」

ー今後予定されているイベントやセミナーなどはありますか?
「7月18日 埼玉県新座市で地域猫セミナーを開催します。練馬区で地域猫制度設立時に担当された地域猫活動アドバイザーの石森信雄さんと、行政・ボランティアそれぞれの立場からお話します。当日は講演だけでなく、参加者も一緒に情報交換を行うワークショップも行います。一緒に問題解決について考えていきましょう」

飼えなくなったその先 を支える仕組み
ペットを迎えた以上、終生飼養は飼い主の大切な責任です。しかし病気や入院、施設への入居、突然の死など、どれほど大切に思っていても飼い続けることができなくなるケースは誰にでも起こり得ます。そのような状況に陥ったとき「飼えなくなったのだから仕方がない」と飼い主だけの問題として片付けてしまえば、そのしわ寄せは何の罪もない動物たちと善意で手を差し伸べたボランティアに向かいます。だからこそ、行政・ボランティア・地域住民が連携し、動物たちの未来を支える仕組みづくりが重要なのだと感じました。また、今回の取り組みは単に猫たちを保護するだけではなく「飼えなくなった人」と「新たに迎えたい人」をつなぐ仕組みとしても大きな可能性を感じます。このような取り組みが広がることで行き場を失う動物が減り、ひいては過剰な生体販売に頼らない社会づくりにもつながるのではないでしょうか。「飼えなくなった」という事実だけが責められるのではなく、その後どう命をつなぐかに目を向ける。今回のお話を通して、飼育放棄という社会課題を解決するための新たな一歩を感じました。
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