寄付したお金の使い途レポート

【特定非営利活動法人アルマ】寄付したお金の使い途レポート

 

特定非営利活動法人アルマ」さんは、都内葛飾区にアルマ東京ティアハイムとして一戸建てのシェルターを構え、これまでに5000頭もの犬や猫を保護して譲渡へつないできた団体です。 2022年12月には、みなさまからお預かりした寄付金99,684円をアニマル・ドネーションを通じてお届けいたしました。今回はどのようなことに使われたのか、代表の竹本さんに詳しくお話を伺いました。

フィラリアにかかる保護犬たちの治療費へ

ーー今回の寄付はどのようなことに活用されたのでしょうか?

アルマは主に関東圏の動物愛護センターからの引き取りが活動の主軸です。そこで今回は、保護した犬たちのフィラリア治療費やシニア犬への医療費、そして多頭飼育崩壊から引き取った子猫たちの医療費に使わせていただきました。最初に茨城センターから引き取ったフィラリアに感染していた保護犬たちについてご紹介します


 

茨城センター収容施設にいた保護犬たちの様子


 

 

茨城県動物指導センターには常時170頭前後の成犬が収容されています。収容される成犬の7~8割は、既にフィラリアに感染している状況です。これは未だに外飼いや放し飼いの犬が多いこと、フィラリア予防をしていない飼い主も多いことが原因として考えられます。そのため、引き取り後に治療が必要になっています。フィラリア症は治療をしないと、犬の心臓に大きな負担を与え、末期には腹水がたまり命にも関わる感染症ですので、早期に治療することが大切です」

 

ーー具体的にどのような犬たちにどんな治療をされたのでしょうか?

「現在、こちら5頭のフィラリア陽性の犬たちがいて、継続治療を行っています」


 

お散歩中の笑顔かかわいいアースちゃん

 

 

落ち着いた様子でカメラ目線を送ってくれるかなとくん

 

 

お茶目で人気者のまちこちゃん

 

いつも元気いっぱいのもずくくん(中央の犬)
お散歩が大好きで目を輝かせながら歩くラキちゃん

 


 

「治療には、通年のフィラリア予防薬の投与に加えて、早期にフィラリアを根絶するための『ボルバキア』という菌を殺すための抗生剤投与が有効です。『ボルバキア』はフィラリアが生きていくために必要な菌で、いなくなるとフィラリア虫は犬の体内で生きていけません。そのため、ビブラマイシンという抗生剤投与を 1日に2回、30日間の連続投与で行いました。3ヶ月毎に連続投与を行うことにより、1~2年後にフィラリア陰性に転じます」

 

1〜2年もかけて投薬治療を継続するとは根気のいるケアです。まさに団体さんの”あきらめない精神で命と向き合う姿”がうかがえました。

 

飼い主に放棄されたシニア犬 終末期医療で生き抜く

ーー次に、引き取ったシニア犬の医療費についてもお話を聞かせていただけますか?

 

「2年前に高齢の飼い主さんが亡くなり、親族の方から放棄の相談がありました。親族の中で飼える人がいないとの相談は多く寄せられます。犬のことを気にかけていても飼えない理由はさまざまです。ペット可の住宅でない、子供にアレルギーがある、既に先住動物がいて多頭飼育が難しい等々。その中でも今回は『タルト』というシニア犬の治療費にも使わせていただきました」

 


 

 

保護シェルターでのびのび休憩中のタルトちゃん

 


 

パピヨンとチワワのmix犬として生まれた『タルト』は、当時11~12歳でした。少し気難しいところがあり、慣れない人にはお口が出る(咬む)ということもあり、譲渡はなかなか進みませんでした。約2年間をアルマの動物保護シェルターで過ごし、2022年3月から預かり家庭に移動しました。

 

引き取り後から咳が続き、気管支炎の治療を行う中、心臓にも問題があることが判明。心肥大があること、心臓の僧房弁の腱索が切れている個所があることもあり、いつ何があってもおかしくない状態で、気管支拡張剤と心臓薬の投与が必要でした。預かり家庭に移動後も定期的に通院を続け、温かい家庭で大切にお世話していただき終末期を迎えました。2022年12月には、週に1~2回の通院が続きました。最後は酸素室にも入りましたが、危ない状態を何度も乗り越え、いくつもの奇跡を起こして生き抜きました」

 

酸素室でがんばるタルトの姿

 


「家庭犬であった子たちが、飼い主の事情で放棄になる事例が多くあります。家族や親族がいても、その命が保障されたわけではありません。『最後まで寄り添って生きることが叶わないときに誰に託すのか』をしっかりと考えておく必要があると思います」

 

 

多頭飼育家庭から救われた子猫たちの小さな命

ーー子猫たちも保護されたと伺いましたが、どのような状況だったのでしょうか?

 

「他団体さんや個人ボランティアさんと連携して、協働で保護を進めることもあります。今回は千葉県市川市で、多頭飼育家庭があり、メス猫2頭が子猫を出産、合計9頭の子猫がいるということで相談を受け、うち5頭兄妹を引き取りました。生後3ヶ月くらいの兄妹猫たちは、皆、猫風邪の症状が酷く、下痢もあり、コクシジュウムという体内寄生虫がいました。猫風邪の治療と、寄生虫の駆除に3週間かかりました」

 


保護されたばかりの子猫たち  遊びも大好き、人も大好きな甘えん坊のかおるちゃん
人なつこくてすぐに抱きついてくるほど人のそばが大好きなゆうとくん

 

少し控えめで怖がりやさんのミキちゃん 慣れるのに少しだけ時間がかかります

 

 

引き取り後、元気を取り戻した子猫たち
おかげさまで毎日モリモリと食べ、日ごとに大きく成長しています


「現在は体調もよくなり、里親様へのトライアルが決まりました!母猫含む成猫3頭は、地域ボランティアさんが不妊手術をして、家庭に戻しています」


ーー最後に寄付してくださる方へメッセージをお願いいたします。

 

「アルマの活動を応援していただき、ありがとうございます。多頭飼育問題も多く関わる案件ですが、日常の活動の中では、上記にご紹介したような保護犬・保護猫へ適切な治療ケアの積み重ねがあります。どんなに重い病状があったとしても、治療できる可能性があるなら、出来る限りのことを前向きに検討しています。元気になって新しい飼い主さんに繋ぐことが一番の目標ではありますが、ご縁が遠く、終生飼育になることもあります。預かり家庭では、1頭1頭を大切にケアいただき、目が行き届きますので、温かい家庭で終末期を迎えることも、その子にとっては幸せだと感じています。

今後ともアルマの活動を応援していただけますと幸いです。スタッフ一同、皆様からの応援が力になります。どうぞよろしくお願い致します」

 

アルマさんは20年間、たとえシニア期でも病気を持っていても「最後の砦」として犬や猫たちを引き取って、その命と向き合ってこられました。今回のお話は、その活動のほんの一部に過ぎません。これからも小さな命たちが救われ守られていくよう、応援をよろしくお願いいたします。

 

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