リッキー、ありがとう

To:リッキー

From:後藤一郎

リッキーがうちに来たのは、先住犬の友達、出来れば伴侶を探していたときでした。 立ち寄ったペットショップにたまたま先住犬と同じシェルティの子犬が売れ残ったような感じでいました。一目惚れでした。 一頭だけケージに入れられて、寂しそうに伏せていました。 一見、元気が無く弱弱しく見えましたが、この子しかいないと即決しました。 リッキーは貧弱で、お腹にはアレルギー性の湿疹のようなものもあり、腸には虫もいましたが、何とか無事に育ってくれました。 来た当初は先住犬から手痛い歓迎を受け、すぐに仲良く馴染むというわけにはいかず、可哀そうなことをしました。 でも、リッキーはめげずに耐えて、そのうち先住犬も何とか受け入れた感じとなり、たまに激しい喧嘩もしましたが、楽しい日々を送っていました。 リッキーはいつもニコニコ、優しく、勇敢で、のんびり屋でもあり、人一倍感受性が強い子でした。 私が仕事から帰ってくると、ドアを開けるまでは喜んで吠えてバタバタしていたのに、ドアを開けてただいまと言った瞬間には部屋の隅で伏せて、じっとこっちを見て、なんだパパかみたいな仕草でクールな出迎えでした。 散歩が好きで、たくさん歩いて帰ろうとすると、帰る方向には行きたがらず、ごねて伏せてしまい歩かないのでいつも遠回りで帰りました。 寝るときは、人の枕の上で仰向けで寝て、おならをしたかと思うと、どこかに行ってしまい、さあ寝られると思い枕に頭を乗せるとおならの残り香が…。 そんなリッキーでしたが、数年前に鼻に出来た悪性腫瘍のため亡くなりました。 健康診断で異常が見つかり、精密検査で末期癌状態で、余命僅かと診断されましたが、幾度の危機的状況を乗り越え、半年近く頑張って生きてくれました。 あと数か月で13歳の誕生日でした。 闘病中はかなりの痛みがあったはずなのに、頑張って、亡くなったときはとても安らかな、穏やかな顔をしていました。 リッキーには感謝しかありません。 うちに来てくれてありがとう、リッキー。