
断耳をとりまく状況
2021.07.29

歴史的に、闘犬等で他の動物と戦う際に怪我を負いにくいようにという背景があったものの、現在行われている断尾・断耳のほとんどが審美目的のもの。ヨーロッパでは2000年代前半には法律でおおむね禁止されています。AWGsではありのままの動物と共生することを目指し、苦痛を伴う審美目的の断尾・断耳を法律で禁止するために、署名活動を行います。この記事では犬の断耳を取り巻く状況を解説します。
日本の「断耳」の現状は?
そもそも「断耳」とは
古くはヨーロッパの警察犬などが、外敵に襲われた時に危なくないようにという趣旨で断耳が行われてきました。しかし、その機能としての断耳は形骸化し、現在は慣習という形で残っていることがほとんどのようです。ピンと立った耳がかっこいいという人間の視点から断耳が行われています。
「断耳」対象犬種
ミニチュアシュナウザー
スタンダードシュナウザー
ジャイアントシュナウザー
ミニチュアピンシャー
ドーベルマンピンシャー
グレートデン
ボクサー
ブービエデフランダース
アーフェンピンシャー
マンチェスターテリア
ボストンテリア
ブリュッセルグリフォン
ナポリタンマスティフ
「断耳」の方法
・美容耳形成術
時期:生後7~12週
1.全身麻酔をかける
2.耳介の2/3以上を切り取り、切断縁を縫いこむ、もしくは、医療用粘着液で糊付けする
3.耳がぴんと立つまで金属製の副木などとともに包帯で固定する
(包帯が取れるまでには最低で3週間長ければ8週間)
(手術後の出血や痛みのコントロールをするため、最低1日以上の入院が必要)
(感染症を防ぐため、手術後の数週間は1日数回、消毒のためにケアが必要)
「断耳」のデメリットは?
・麻酔の副作用
・麻酔が切れてからの痛み(数週間)
・傷口からの感染
・傷跡が残る場合がある
・トラウマの形成
「断耳」にまつわる世界の状況は?
ペット動物の保護に関する欧州条約によりヨーロッパでは、1996年に審美目的の手術の廃絶を推奨するというスタンスを発表しました。北アイルランドを除くイギリスでは、2006年動物福祉法によって非医療目的の体の一部切断を有罪と認めています。ただし、警察、軍務、災害救助、合法的有害獣駆除など労務する犬は例外です。これらの法律から、「審美目的の断耳については禁止」の姿勢を持っていることがわかります。
「断尾・断耳」を取り巻く世界の法整備の記事も合わせてご参照ください。
cf)The European Convention for the Protection of Pet Animals 第10条1項
cf)Animal Welfare Act 2006 第5条 第6条
もし審美目的の「断耳」は犬にとって必要ないと共感いただけたら、ぜひアクションをお願いします!
※掲載の文章・写真はアニマル・ドネーションが許可を得て掲載しております。無断転載はお控えください。
このテーマのゴール

ゴール 7
ありのままの姿を愛そう
トイプードルのように尻尾が短い犬、ドーベルマンのように耳がピンと立った犬。あれは生まれつきではなく、生後間もなくして人の手によって切断されています。麻酔なしの手術は、痛みも伴います。人が決めた見た目の基準を守るのではなく、自然な姿を愛しましょう。