犬とともに

To:花太郎

From:ヨースー

 僕が犬を飼いたいと思ったのは今から11年前の2008年のことだった。仕事も上手くいかず家族との関係のも思い悩んでいた時だった。未熟な僕は犬を飼うことで今の状態を変える事が出来るのではないかと思ったのだ。  そんな時、家の近くのペットショップで黒いラブラドールのオスを見つけた。ラブラドールはおりこうな犬と聞いている。なんってったって盲導犬になる犬だ。今まで犬を飼ったことはないが、大丈夫だろうと、あまり悩むこともなく子犬を迎えることとなった。名前は花太郎と名付けた。 しかし、子犬を育てることは想像以上に大変だった。 まず、トイレトレーニング。トイレのタイミングが分からない。家じゅうあちこちで、オシッコやらウンチやら。外出で戻ってきたらウンチだらけで、すぐに掃除なんてことも。 それから、甘噛みとは言えないほど痛く指を噛むことがあり、これも悩みの一つとなった。また、なんでも噛む癖がありいくつものイスがダメになった。  僕はますますイライラした日を送ることとなった。でも、花太郎はそんな風な僕にもシッポをブンブン振り近寄ってきて、無邪気に顔をペロペロと舐めてくるのだった。  それからの僕は、自分の子供が小さいときは育児書なんて読んだこともなかったに、犬のしつけの本を何冊も読んで、しつけスクールにも通った。そして、育児日記ならぬ犬のトイレノートを作り、犬のおしっことウンチをした時間を記録し、トイレの失敗を防ぐようにした。  そして散歩の回数が少ないから犬のストレスがたまるのだと本で書いてあったので、いつもより30分早く起きて早朝に散歩に行くようにし、遅く帰っても夜の散歩をするように、自分の生活リズムを変えていった。  そんな毎日を繰り返し、いつしかトイレも出来る様になり、甘噛みもずいぶんと収まってきた。  その後、仕事にも余裕が出来、自分のイライラが少なくなっていることに気が付いた。もしかすると花太郎から、色々とやってみる心構えを教わったのかも知れない。  今でも仕事で躓くことはあるけど、そんな時でも花太郎は無邪気にシッポをブンブン振って無邪気に顔をペロペロと舐め、僕をなぐさめてくれる。ありがとう花太郎。