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活動レポート

保護犬・猫の生涯飼育【第一回】日本の高齢者問題と殺処分

2023.02.01

目次

日本の犬・猫殺処分数と人間の高齢化に伴う問題

日本の年間の殺処分数は23,764頭。

うち犬は4,059頭、猫は19,705頭となっています。(※1)最近はメディアなどでも保護犬や保護猫の認知度も高まり、年々減ってきてはいるもののまだゼロにはなっていません。

※1 2020年度環境省統計資料

殺処分されてしまう犬や猫のほとんどが、飼い主の身勝手な理由により行き場をなくしてしまったというイメージがあるのではないでしょうか。飼い主が、飼っていた犬や猫を手放す理由は様々で、例えば転居や家族のアレルギー、吠える噛み付くなどの問題行動などが挙げられます。猫の場合、無計画な繁殖で増えすぎてしまうことなどが挙げられます。

その一方で、その中でも近年増えているのが飼い主の病気や死亡により犬や猫が行き場をなくしてしまうケースなのです。(※2)

■犬の飼えなくなった理由 上位5位

 実数による結果順位による結果
1飼い主の病気・死亡飼い主の病気・死亡
2問題行動転居
3転居問題行動
4動物の病気・老齢増えすぎた(無計画な繁殖)
5増えすぎた(無計画な繁殖)動物の病気・老齢

■猫の飼えなくなった理由 上位5位

 実数による結果順位による結果
1増えすぎた(無計画な繁殖)増えすぎた(無計画な繁殖)
2飼い主の病気・死亡飼い主の病気・死亡
3近所からの苦情転居
4転居近所からの苦情
5十分管理できない動物の病気・老齢

※2 地球生物会議発行「全国動物行政アンケート平成25年度版」より

全国で保護活動を行っているアニマル・ドネーション認定団体の取材を通じても、飼い主が病気や亡くなってしまうことで自宅に残された犬猫をレスキューするケースは年々増えているとのことです。これには日本の高齢化問題が大きく関わっています。人口の3人に1人は高齢者であるとされる日本では、飼い主も高齢化が進んでいます。現在の日本の犬猫を取り巻く問題のひとつは、このように日本の社会問題とも密接に関わっているといえます。

飼い主が亡くなってしまい飼っていた犬猫が取り残されてしまうケースでは、飼い主が孤独死されて何日も経ってから、取り残されていた犬が親族や大家などに発見されて保護団体がレスキューすることもあります。また飼い主が亡くなるだけではなく、病気で長期入院したり、施設に高齢者施設に入居したりすることで犬猫が飼えなくなるケースも多く、その場合親族によって動物愛護センターに持ち込まれてしまいます。ここ数年は新型コロナウイルス関連で、高齢者から動物愛護団体への引き取りの相談も相次ぎました。

高齢者が飼っていた犬猫は、同じく高齢である場合も多く、子犬子猫や成犬成猫に比べると里親が見つかりにくいという現状があります。また、加齢に伴う身体のトラブルも多く、適切な予防や医療ケアがなされていないことで保護団体が引き取ったときには病気が進行していることも少なくありません。放置されて何年も外に出ておらず不安がったり、トリミングもされていないため爪や毛が伸び切っている犬も多くいます。猫の場合も、不妊去勢がされなかったことで数が増えすぎてしまい、多頭飼育崩壊として、劣悪な環境の中レスキューされるケースがあります。そのような場合、里親は、ますます限定されてしまうのが現状です。

伸びる生体販売数

飼われていた犬猫が、止むを得ない事情で手放される一方、ここ数年で生体販売の頭数が伸びています。コロナ禍の影響で在宅ワークなどが進み、ペットを飼う人が増えたと言われています。

(出典:矢野経済研究所プレスリリースより

また幸いなことに、最近ではメディアの影響で保護犬や保護猫の認知が広がり、保護犬や保護猫を迎えたいと考える人が増えています。

しかし、各保護団体にはそれぞれに里親になる条件があります。保護単体から引き取る際に、条件が厳しいと感じられることもよくありますが、その条件は、保護された犬猫が次こそ安心して生活できる場所を確保してあげたいという思いからくるものです。長く幸せで安定した環境を提供したいという思いから、里親の年齢による条件を設定している保護団体も多くあります。

高齢で、保護犬を希望していたものの、条件を満たすことができず、立て続けに保護団体で断られたため、諦めてペットショップで子犬を買ってしまったというケースもあります。

このように、自身の年齢やペットの寿命を考慮せず寂しさを理由にペットショップで子犬子猫を買ってしまう高齢者がいる一方で、長年犬猫と暮らしてきた経験もあり、体力的にも経済的にも充分に飼育能力が伴っていても、自分の年齢を理由に犬猫を迎えることを諦めている高齢者もいます。その問題を正面から捉え、高齢者や高齢犬猫たちの問題を解決すべく新しいチャレンジを行う保護団体をご紹介します。レポート後半をご覧ください。

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ゴール 8

殺処分をゼロに

殺処分される犬猫は年間約1万4,000頭(令和3年度)。16万頭以上だった10年前と比べると激減しています。しかし譲渡向上は改善の余地があり、ゼロを目指すべきです。あらゆる角度から譲渡向上を考えます。

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