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インタビュー

2025.7.30

遺言を書いた方へインタビュー「猫は一番大切な生命体。万が一を考えた結論が猫のために遺言を書くことでした。」

もし飼い主が先に旅立ち、愛猫や愛犬が路頭に迷ったら…と考える方は多いとしても具体的に対策はしているでしょうか。そのうち考えよう、と先送りにしている方も多いかもしれません。

今回は愛猫2匹が遺されてしまったときのために公益社団法人アニマル・ドネーション(以下アニドネ)への遺贈を申し込まれたSさんにお話しをお伺いしました。もしSさんに何かあった場合、猫ちゃんはアニドネの認定団体が保護する取り決めを交わしました。

 

なぜこの決断をしたのか、をお聞きしました。

「猫のために遺言を遺したい。さんざん探した先がアニドネさんでした」

きっかけは、義理の父母様が旅立たれたことだったそうです。

 

「亡くなったことで残された家族がもめたわけではないのです。ただ、遺されたものをどうするべきかを、家族がとても迷いました。そんな経験を経て『人が旅立つときは事前に準備をしておかないと家族が困ってしまう、私も考えないと』と思ったんです。」

 

実はSさんはまだ50代。ネット通販企業にお勤めのワーキングウーマンです。急いで遺言を書かねばならない方のようにはお見受けしません。

 

「そうですね、私の周りには遺言を書いた、という友達はいないです。今回の件を話すと驚かれますよ。」と笑いながらお話くださいました。

 

では、なぜ、このタイミングで、そして遺言先をアニドネにされたのか、を聞いてみました。

 

「私は今は健康で仕事も趣味も楽しんでいます。主人といろいろなところによく旅行に行くんですよ。もし旅先で2人共事故にでもあったら家で待っている猫達はどうなるんだろう、と思いしっかり考えねばと思ったんです。

 

それから、ネットでいろいろと探すも私のニーズにマッチする情報は見つからず、いろいろと探して行きついたところがアニドネさんでした。公益社団法人として長く活動しておられますし、HPには収支などの情報もあがっており『きちんとした団体』というイメージを持てたので、コンタクトしました。」

 

実は、遺される猫ちゃんの行き先を含めた遺贈をアニドネでお受けしたのは今回が初めてとなります。アニドネは動物福祉を第一に考え行動しています。ですから、万が一の際にすぐに動ける団体さんと事前に契約をしておかないと遺言をお受けすることはしていません。また、その時がいつ起こるかはわからない、そのときに猫の飼い主さんのお気持ちを受け止められないことがないよう保護団体との連携は大変慎重になります。また受ける団体さんも猫ちゃんの個性や病歴などをしっかり把握して判断します。将来起きるかもしれない考えらえるすべてのパターンを想定して事前に話をしっかりとする必要があるのです。

 

非常に柔らかく優しく話されるSさん。過去9匹の猫ちゃんのエピソードを一瞬でスラスラと。愛の深さを感じました

9匹もの猫と共に暮らしてきた愛猫家

深く猫を愛しているSさん。現在は、モアナちゃん(13歳の女の子)とロコちゃん(3歳の男の子)と暮らしています。モアナちゃんはお姫様気質そのもの。男の子の猫のロコちゃんはまさに天真爛漫なやんちゃ君だそう。

 

なんと、これまでの子は全頭で9匹。一時期は5匹の猫と一緒に暮らしていた時代もあるそうです。

 

「人同志は時に嘘をついたり、深く傷つけあうこともありますよね。けれど猫は常に今をまっすぐ生きています。たくさんの猫たちと暮らしてきたので見送ったこともありますが、最後の最後まで彼らは本当に頑張るんです。その姿は人間に生き方を教えてくれています。

 

また私はどんなに辛いことがあったときも、猫をみれば笑顔になれる。目の前に豪華なものがあっても楽しくはない。けれど猫がいるだけで、笑わせてくれる。こんな存在はいないです。猫こそ私の一番大切な生命存在なのです。」

 

モアナちゃん(13歳の女の子)。畑に捨てられていたところをSさんが保護。今は幸せそのもの

 

ロコちゃん(3歳の男の子)。千葉にある保護施設から迎えたそう。歴代の中で唯一の男の子猫。甘えん坊さん

 

犬猫のために遺言を検討したい方へアドバイスを

アニドネへ遺言の連絡をくださる方は年々増えております。そして、50代や60代と年齢がお若い方が多いのが特徴です。万が一をしっかり考えておきたい、とみなさん一様におっしゃいます。どのように準備を進めるとよいのかをSさんに聞いてみました。

 

「当然ですが、遺言なんて書いたことがありませんから、私は何をすればいいかさっぱりわかりませんでした。まずは半年くらいをかけて情報収集をしました。本を買って遺言の書き方を学びました。ただ、具体的に進めていくと、例えば『遺贈には遺贈先の具体的な団体名がないと遺言が書けない』や『遺言執行人が必要で亡くなったときに発生する業務』など知らないことばかりで。ですので、私は自筆遺言の添削をしてくれる方を探しました。そうですね、遺言を書くと決めてから約1年半ほどかけてやっと完成しました。」

 

1年半も!?と思う方もおられるかもしれませんが、けっして長い期間をかけたわけではないと思います。自身の財産や行先をしっかり考えることはとても時間がかかることだと思います。

 

Sさんとモアナちゃん。以前一緒に暮らしていた猫ちゃんが旅立ち、深いペットロスになってしまったモアナちゃん。豊かな感情を持つモアナちゃん

 

遺言を書き終えてどのようなお気持ちかを聞いてみました。

 

「私は『死ぬまでにしたい100のこと』というチェックリストがあるんです。そのひとつが遺言を書き終えることでした。完了チェックができて、本当にすっきりした気分を味わいました。私はこれまでジェットコースターのような人生で、試練も楽しいこともたくさん経験してきて、今はとても幸せです。そして大切な家族である猫たちの万が一を心配しなくてよくなったことは大きな安心感を私にくれました。もちろん、愛猫たちの看取りは飼い主さんが行うことが一番いいと思っています。ですが何が起きるのかが判らないのも人生です。セーフティネットは作っておくべきだと強く思います。

 

実は数年前に旅行の国家資格(総合旅行業務取扱管理者)を取得しました。今は動物系の資格取得を目指しているんです。猫達と楽しく暮らしながら、自分のスキルを活かして今後の人生をより豊かにしていきたいのです。」

 

 

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Sさんには「アニドネさんの活動を末永く続けていってください」と期待を込めたメッセージをいただきました。私たちは寄贈を受ける法人として、遺贈はその方の人生で最後に遺してくださるとても大切なギフトだと思っております。ですので、その想いの持った大切な遺贈を公益事業のために大切に使わせていただきます。

 

あたたかいお気持ちをお聞きできた大変ありがたい機会であると共に、身の引き締まる想いを感じた場でもありました。

 

アニドネレガシーギフト(遺言)公式HP

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